2017年4月18日、アウディは2車種目となる電気自動車「e-tronスポーツバック・コンセプト」を上海モーターショーで発表した。
このモデルは、ショーを飾る単なる華ではなく同社が本格的に電気自動車市場に参入する市販化を念頭においたもの。アウディの伝統を踏襲しながらも、革新性に溢れたクーペスタイルをまとい、電気駆動システムの利点を最大限に活用した大型4ドアグランツーリスモである。
ボディサイズは全長4.90m、全幅1.98m、全高1.53m、ホイールベース2.93mという堂々たるボリューム。6スポークの大口径23インチホイールと相まって、その存在感はコンセプトカーとして十分な説得力を持っている。
そのスタイリングだが、フロントエンドには非常に幅広く水平の開口部が設けられたスリムな八角形のシングルフレームグリルがレイアウトされる。これには電気自動車ならではの理由がある。内燃機関とは異なり、冷却に要するエアをほとんど必要としないためフロントに大きなエアインテークなどを備える必要がなく、デザインの自由度が高くなった結果だ。
シングルフレームグリルの両側には、約250ものLEDから構成された2つの大きなライトエリアを設置。このLEDは、ユニークな機構を持ち、同車を始動させるかドアを開けた場合、システムは微細にライトユニットを切り替えて、動きを伴った「挨拶」のサインを発するという。また、クルマが走行中でもさまざまなグラフィックや特定の意思を伝えることを可能としている。
電気自動車といえども、アウディの伝統であるquattroシステムは健在だ。フロントアクスルにひとつ、リヤアクスルに2つの電気モーターをそれぞれ設置して4輪を駆動。320kW(ブーストモードでは370kW)のハイパワーモーターにより0~100㎞/h加速は4.5秒とピュアスポーツカーを凌ぐ性能を有している。これだけの動力性能ながら、バッテリー容量は95kWhで、航続距離は500㎞を超えるというから驚きである。(NEDC)
フロア下に設置される水冷式のリチウムイオンバッテリーは、前後アクスルの中間に配置されている。これは車両の重心を下げ、前後の重量配分も52:48(フロント:リヤ)という理想的な数値を実現。優れた運動性能と走行安全性の両立を図っている。
なお、このモデルは2018年に発売予定のアウディe-tronに続き2019年に市販バージョンがデビューするという。