2月7日、ブガッティは新型スーパースポーツカー「シロン」の生産過程を公表。同時に、フランス・モルスハイムにある本社工場の写真を公開した。
生産開始から完成まで約9カ月
ブガッティが「アトリエ」と呼ぶ本社工場は、2005年に建設。1000㎡の床面積を誇り、建造物はブガッティのロゴに因んだ楕円形をしている。以来、ヴェイロン・シリーズを10年以上に渡り生産してきた。
このアトリエには、ベルトコンベアやロボットが存在しない。生産ラインは12のワークステーションに区切られており、現在20名の熟練スタッフによって、1台あたり1800以上におよぶパーツからなる新型シロンを、ほぼ手作業で組み上げている。従業員はこのほかに、17名の物流担当や15名の品質管理担当が在籍している。
新型シロンは、内外装の組み合わせが無数に存在。まさにクルマのオートクチュールと呼べるオーダーメイドシステムを持つ。オーナーは、エクステリアでは23種類のトップコートカラーや8種類のカーボン、インテリアでは31種類の色やレザー、30種類のステッチ、18種類のフロアカーペット、11種類のベルトカラー、8色のアルカンターラから好みの組み合わせを選ぶことができる。
これだけでも十分なバリエーションだが、さらにこの基本的な仕様以外にも、無数の色を調合することも可能。例えばオーナーの所有するカバンの色や、好みのミネラルウォーターのラベルの色など…。このほか、リアスポイラーの底面にロゴやイニシャルを入れたり、ヘッドレストに刺繍を施したりすることもできる。ただし手作業による生産に加えて1台1台の仕様がユーザーごとに異なるため、生産開始から車両の配送までにはおよそ9カ月がかかるという。
車両完成後は、250km/h以上の速度も試す走行テストを300kmに渡って行い、トランスミッションオイルを交換後に再度点検。さらに50kmの走行テストを重ねるという念の入れよう。もちろん、点検するのは走行確認だけではない。人工雨を30分浴びせる雨漏りチェックを含め、内外装の仕上げや各パーツの組付け精度も、細部に渡って厳しくチェックする。
なお、新型シロンのオーナーになる人は、自分のシロンが完成するまでに、このアトリエを数回訪れることになるという。デモ車両に試乗する時、購入契約書にサインして内外装の仕様を決める時。さらに希望すれば自分のシロンが作られていく過程を目の当たりにすることも可能だ。
2017年の第1四半期には、最初にオーダーしたカスタマーに車両がデリバリーされ、今年は70台の生産が予定されているという。ちなみに1500ps/1600Nmを引き出す8.0リッターW型16気筒クワッドターボを搭載し、420km/hの最高速をマークするこの新型シロンの燃費は、欧州混合モードで4.44km/Lとのことである。