こりゃホントにスポーツカーだ! ジャガー新型「Fペース」に試乗

 

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ランドローバーの匂いがまったくしない

 

今回試したのはもっともベーシックな20dピュア。価格は639万円と、そのサイズやジャガーというブランドを考えると、ずいぶん安いように感じる。そしていざ乗り込むと、目の前にはXEやXFで見慣れたシンプルでプレーンなインテリアが広がる。このSUV然としていないスマートさもFペースの狙いなのだろう。樹脂パーツのクオリティ、シボのつけ方などはいまひとつ高級感に欠けるのだが、同クラスのライバル、メルセデス・ベンツGLCやBMW X3/X4、ポルシェ・マカンなどよりもボディサイズがひとまわり以上大きく、室内空間やラゲッジスペースといった実用性の面で差をつけている。このあたりもFペースならではの立ち位置といえそうだ。

 

エンジンはパワフルそのもの。ジャガーが新しい工場までを建設、気合いを入れて作った次世代「インジニウム」エンジンだけのことはある。あまりにパワーがありすぎてアクセルコントロールにちょっと気を遣うほどだが、ジャガーを名乗るのだから少しヤンチャなくらいの方がいい。慣れるまでにそう時間はかからないし、2000rpmを超えたあたりから弾けるように1920kgの巨体を加速させる様は快感そのものだ。4500rpmまでストレスなくシュルッと吹け上がる様も心地よく、以前同じエンジンを積むXEで感じた1500rpm前後からの吹け上がりの渋さが消え、アイドリングストップから復帰する際のブルッと身震いするような振動もかなり小さくなっている。モデルが違うから一概には言えないけれど、つまりこのインジニウム・ディーゼル、パワーに加えて洗練をも手にしたと言えそうなのだ。

 

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ハンドリングもジャガーの名に恥じない。セダンであってもスポーツカーばりの敏捷性を持たせるのがジャガー流クルマ作りの哲学だが、それはSUVでも変わらないようだ。ステアリングを切ると想像以上にフロントがグッとインに入り、間髪を入れず首に横Gを感じる様はまるでスポーツカーのFタイプを運転しているかのよう。コーナリング中にアクセルを微妙にオン/オフさせればラインを正確にコントロールできるあたりも、重心の高いSUVを操っているのとはまるで別次元。どうやったら1920kgのSUVをこんなに軽々と曲げられるのか…まさにジャガー・マジック。それでいてホイールベースは2875mmとライバルに比べてかなり長いから、高速道路での直進安定性も悪くないのだ。

 

今回の試乗では高速道路を中心に約850km走行したが、燃費はまさかの(?)JC08モード超えとなる16.0km/Lを記録。これはまったく燃費走行を意識しないでの結果。前述したインテリアの質感やナビの自車位置精度など、まだ詰めが甘いなと思わせる部分はいくつかあったが、この値段とサイズとスタイリングの魅力には抗いがたいものが確かにある。ドイツ系のライバルとも、ランドローバーとも違うジャガーならではのSUV。ライバル車を検討しているなら、一考しない手はない1台といえる。

 

ジャガーFペース 20dピュア

JAGUAR F-PACE 20d PURE

東京標準現金価格 ¥6,390,000
全長/全幅/全高 4740/1935/1665㎜
ホイールベース 2875㎜
車両重量 1920㎏
エンジン型式/種類 204DT/直4DOHC16V+ターボ
総排気量 1999㏄
最高出力  180ps(132kW)/4000rpm
最大トルク 430Nm(43.9㎏-m)/1750-2500rpm
トランスミッション 8速AT
燃費(JC08) 15.8㎞/L
サスペンション形式 前:ダブルウイッシュボーン/コイル
後:インテグラルリンク/コイル
ブレーキ ベンチレーテッドディスク
タイヤ 前:235/65R18 後:235/65R18
問い合わせ先 ジャガー・ランドローバー・ジャパン

 

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