ホントに走る! トヨタが作った”木のクルマ”、SETSUNAの概要が明らかに

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特性の異なる木材を適材適所に配置

 4月12日から17日にかけてイタリアのミラノで開催される「ミラノデザインウィーク2016」への出展をトヨタが表明していたコンセプトカー「SETSUNA (セツナ) 」をご記憶だろうか。そう、外板やフレームのほとんどを木で作ったという、あのオープン2シーター電気自動車である。そのSETSUNAの全容と走行シーンを収めた映像が3月31日に公開となった。

走行シーンはこちら。

 EVなのだから音もなく走るのは当然なのだが、そのファニーな外観ゆえ、どうにもホンモノらしさに欠けるように見えてしまう? 続いてこだわりのディテール11点について紹介していこう。

こだわり その1:家族と時を刻む100年メーター

 アルミケースに収められた時計は短針が時間(1周=24時間)を、長針が月日(1周=365日)を、そしてカウンターメーターが年を刻む。家族の歴史とともに歩んだ時間を示し続ける。

こだわり その2:刹那エンブレム

 「刹那の積み重ね」を円と放射状で表現。時計のようでもあり、刹那に咲く花のようでもあるデザインとすることで、家族とクルマが年輪のように持続的に成長していくことを願っている。

こだわり その3:木を用いることでコンセプトを具現化

 「歳月を経て変わることを愛でる」というコンセプトを具現化するための手段。手をかけ、いたわることで色や風合いが変化し、それを積み重ねることでその家族だけのクルマへと変化していく。

こだわり その4:用途に応じた木材の選定

 クルマの基本である“走る・曲がる・止まる”をきちんとこなすため、フレームには高い剛性を保つ樺(かば)、フロアには強度と耐久性に優れる欅(けやき)、シートには木肌がなめらかな栓(せん)、そして外板には木目の美しい杉と木材を使い分ける。外板の杉は、木目が均等にはっきりと並ぶ柾目と、木目が柔らかに弧を描く板目の、2パターンを用意している。

こだわり その5:日本古来の伝統技法「送り蟻」と「くさび」

 木の接合には釘やねじを使用しない日本古来の伝統技法である「送り蟻」と「くさび」を採用。

こだわり その6:ボディは取り替え可能な木のパネル

 ボディの外板は86枚のパネルで構成、修理の際には1枚単位で交換できる。傷つき外されたパネルを見るとかつて手間を掛けられた跡が残っており、受け継がれてきた想いを感じられるはず。

こだわり その7:拭き漆

 ドアミラーやシートなど、色合いの濃い部分は拭き漆で仕上げられている。塗り重ねる本漆ではなく、塗っては拭く作業を繰り返す拭き漆としたのは、木目を活かすためだ。

こだわり その8:家族を優しく包み込むシート

 誰をも優しく迎え、包み込むような、公園のベンチを思わせるシートを目指し、栓(せん)の木を使用。漆を塗って仕上げ、身体がおもに触れるところには革が張られている。

こだわり その9:コントラストを生み出すアルミニウム

 ホイールキャップやステアリングホイール、シートの構造材などにアルミを採用したのは、木と同じく、時を経ていくうちに傷が刻まれていく素材だから。木とのコントラストが美しい。

こだわり その10:美しいカーブを描くボディライン

 船のような美しいカーブ。木の外板にはこれしかない。正面から見ると七角形、正面や情報から見ると紡錘形を描く。家族が大海原に旅立つような、そんな趣を醸し出す。

こだわり その11:クルマとして……、そしてクルマであるために……

 冒頭の映像のように、SETSUNAは実際に走行可能である。走ること、操縦することの喜びは、クルマとして、コンセプトカーであっても伝えていきたいとのことだ。

木造のクルマはいったいどんな走り味なのかはとても気になるところ。ミラノが終わったらぜひ日本でも、展示と試乗できる機会を作ってほしいものだ。

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