ポイントは長距離ドライブにおける快適性の向上
2月24日、マクラーレンは570S、540Cに続くスポーツシリーズの最新モデルとして「マクラーレン570GT」を発表した。570Sのグランツーリスモ版にあたり、長距離ドライブに耐える実用性を備えているのが特徴となる。ワールドプレミアの舞台はジュネーブ・モーターショーで、2016年後半からデリバリーを開始。英国価格は15万4000ポンド(約2390万円)から。
570Sと決定的に異なるのはリアのガラスハッチだ。570GTは4シータークーペの後席にあたる部分を220リットルのラゲッジスペースとしており、横開きのリアガラスハッチからアプローチできる構造になっている。フロントフード下に用意されている150リットルの荷室と合わせれば、宿泊を伴う長距離ドライブでもふたりぶんの荷物を楽に収容できるだろう。なお、ガラスハッチのヒンジ位置はハンドル位置に連動させ、路上では歩道側に立って開閉できるよう配慮されている。
荷室になった後部を除けばキャビンは570Sとほぼ共通だが、570GTでは光の透過率が18%のガラスルーフが採用されたおかげで、リアガラスハッチからの外光も含めて室内が明るく感じられるに違いない。ガラス化で気になる遮音性や遮熱性への影響は、SSF(サウンド&ソーラーフィルム)処理と、2段階デュアルゾーンオートエアコンによって保たれているとのこと。加えてタイヤも、ノイズ低減技術が投入されたピレリPゼロを選定しているという念の入れようだ。
3.8リッターV8ツインターボエンジンの仕様も570Sと共通で、570ps/600Nmを発生。ガラスエリアの増加で乾燥重量が570Sの1344kgから1350kgとわずかに増えたためか、0-100km/h加速タイムは570Sの3.2秒に対して3.4秒に落ちているものの、最高速度は328km/hで変わらない。
一方、サスペンションは長距離走行での快適性を考慮した変更を受けており、スプリングレートがフロントで15%、リアで10%だけ落とされた。ノーマル/スポーツ/トラックの3モードを備えたアダプティブダンパーを採用しているのは570Sと同じだ。また、電動油圧式のパワーステアリングもレスポンスをマイルドにする狙いで、ギアレシオを2%だけ低くしている。
スポーツシリーズはマクラーレンのエントリーモデルに位置づけられるラインナップで、イタリアンスーパーカーのオーナーをターゲットとするハイパーカーのP1や主力の675LTおよび650Sに対し、ポルシェやメルセデスAMGといったジャーマンスポーツをライバルに想定しているそうだ。その意味では、この570GTこそスポーツシリーズの大本命といえるだろう。
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