エンジン音でここまで聴かせる! それは紛れもないアストン・マーティン
ガラス製のスタータースイッチを押すと荒々しくエンジンが始動。これまでの6リッターV12よりは整っているようではあるものの、依然として荒々しい、いかにもアストン・マーティンらしいサウンドが響き渡る。クローズアップされたエンジンのヘッドには「V12 5.2 TWIN TURBO」の文字。これがこのほど公開されたアストンの新作エンジンを紹介するティーザー映像の概要であり、新作V12エンジンに関する情報のすべてだ。
このツインターボV12エンジンは、おそらくは現在のDB9に置き換えられるニューモデルのDB11に搭載すべく準備されているものだろう。この時期の公開だけに、3月のジュネーブショーでDB11ともども、あるいはエンジンだけでも正式発表される可能性が高いと思われる。
現在、V12エンジン搭載車を用意している自動車メーカーは、ハイクラスサルーンではメルセデスやBMW、BMW系のロールス・ロイス、そして日本のトヨタ、スポーツカーではフェラーリ、ランボルギーニ、パガーニのイタリア勢とアストンくらいのものだ。ダウンサイジングが当然の昨今、たとえ排気量をダウンさせて過給器を装着するとしてもアストンがV12の灯を消さない決意表明をしてくれたのは、スポーツカー好きには本当に嬉しい限りだろう。
気になるのは、その新しいツインターボV12の素性である。パガーニはメルセデスAMGから供給を受けているため、自社製V12搭載スポーツカーに絞ると3メーカーしか存在せず、アストンもそのうちの一社だ。けれどアストンもまた、メルセデスAMGとV8エンジンの供給契約を結んでいるのである。よって、新作V12にまでその契約が拡大されたとしても、なんら不思議はない。
アストンのブランド価値を考慮すると、「自社製V12」という大きな看板を簡単に捨て去るのは得策とは思えない。ましてやアストンはこのところ、ラインナップを高価格化させて生産台数拡大路線を回避する戦略を推進している。自社製V12の看板のもとに生産台数を抑えて単価を上げることができれば、むしろ願ったり叶ったりなはずだ。反対に、メルセデスAMGから供給を受けるのだとすれば、噂されている「メルセデスAMG GTの上位モデル」と基本を共用化する線まで考えられる。
いずれにしても、3月のジュネーブショーである程度、具体的な発表がなされるはず。期待しよう。
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