前のクルマが「透けて見える」ヴァレオの「XtraVue」とは?

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右折や追い越しを安全に

2018年10月16日から19日まで千葉県の幕張メッセで開催された、ネットワーク技術とIoTの見本市である「CEATEC JAPAN(シーテック・ジャパン)2018」に初出展したフランスのメガサプライヤー、「Valeo(ヴァレオ)」が披露した「ヴァレオ XtraVue」は、自車のディスプレイに、先行車両の前方が透けて見えるという驚きの技術だ。

世界33カ国に展開し、日本にも16カ所の工場とR&Dセンターを東京、茨城県(つくば市)、愛知県(名古屋)に構えるヴァレオ。現在、日本国内にも5台のデモカーを有し、つくば市から少し離れた場所に新テストコースも建設中だ。さらに、「ハンズオフ・ジャパン・ツアー」と題して日本を1周する自動運転の実証実験も行っている。

先行車両が半分「透けて見える」

さて、「CEATEC JAPAN 」に初展示された「ヴァレオ XtraVue」は、車両(自車)に搭載されたテレマティクスアンテナを使用し、同社のレーザースキャナーとコンピュータ画像カメラシステムによって、ドライバーが視認できない領域も含めて「可視化する」技術。なお、同社のレーザースキャナーは自動車業界で初めて実用化され、新型アウディA8にも搭載されている。これは、先行するクルマにカメラが搭載されていることが前提で、さらに先行車と自車の間で通信(映像を受信)をする必要がある。同会場では、便宜上、Wi-Fiを使っていたが、将来的には5G(第5世代移動通信システム)と「車対車(V2V)」のネットワーク活用を想定しているという。

具体的には、自車のディスプレイに先行車両の先の映像が透けて表示されるもので、同会場では、自車(レンジローバー・イヴォーク)と先行車(日産エクストレイル)を縦に2台並べ、イヴォークの車載ディスプレイに、エクストレイルが撮影した映像が見えるので、エクストレイルの前を通る人が透けて見えていた。これにより、右折時や追い越し時などの正面衝突などが避けられるといった、安全面での大きなメリットが考えられる。

この「ヴァレオ XtraVue」には、テレマティクスアンテナおよび同社のレーザースキャナーとコンピュータ画像カメラシステムが必要だが、先行車のカメラはメーカー純正や汎用品、スマホのカメラはもちろん、ドライブレコーダーが5G通信に対応すれば、同システムに対応可能。なお、デモンストレーションでは、エクストレイルの純正カメラではなく、ヴァレオ製のカメラが使われていた。

視界を遮る先行車が半透明になるため、前方の確認が容易になる同システムは、右折時や追い越し時だけでなく、車両や歩行者、自転車などの急な飛び出し時にもより早い認知が可能になる。もちろん同システムの実現には、先行車や道路沿いのインフラカメラの映像を使うというコンセンサス、セキュリティ対策なども欠かせないだろうが、実現の暁には交通事故を減らせる革新的な技術になるだろう。

Valeo http://www.valeo.co.jp/

フォト:塚田勝弘 K.Tsukada

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塚田勝弘
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2018/10/24 09:00

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