世界をガラリと変えたコロナ パンデミックは、人々に居心地の良い場所や時間について改めて考える機会になったのではないか。暮らす場所、仕事をする環境、中には新たに庭にフィンランド式サウナを自作したり、サボテンの世話を始めたり、動物を飼ったり、スポーツやアウトドアを始めたり……。そしてライフスタイルの変化では“個人”の移動も見直され、クルマの存在も改めてクローズアップされつつあるように思える。
ではどんなクルマが理想だろう?
ドライブタイムが心身にポジティブな効果を与えてくれることをご存知の方も多いだろう。例えば、年明けの愛車との初ドライブは、心身も心新たに清々しい幸福感に満ち足りた気分になれたのではないか。どうやらこういう体験が、今、注目を集めているウェルビーイングな環境を創り出す要素の一つらしい。ならば、ほんの些細な瞬間でもクルマ好きがクルマで幸福感を満たせるのは理想的ではないか。
今回は多くの方がクルマに求める理想が贅沢にこの一台に凝縮されているベントレーのハイパフォーマンスモデル『コンチネンタルGTスピード(クーペ)/GTスピード コンバーチブル』を幸福感というウェルビーイング視点でご紹介したい。眺めて良し、触れてまた良し。流してよし、踏み込んでまた良し。ベントレーきっての名器と言いたいくらいだ。
ベントレー史上最高の運動性能が備わる『コンチネンタルGTスピード(クーペ)/GTスピード コンバーチブル』。“スピード”の称号はベントレー史上最高の運動性能を誇るロードカーであることを意味し、搭載するV8 6Lターボエンジンの最大パワー/トルクが659PS/900Nmと聞けば、一見、獰猛なGTマシンのように思えるかもしれない。ところがクーペ/コンバーチブルでキャラクターは少しずつ異なるものの、動力/運動性能で感性が刺激されるばかりではなく、デザインやそれを具現化する素材、ホスピタリティに豊かさや癒やし、安らぎさえ与えてくれる。目の肥えたドライビング経験も豊富な大人の満足度を五感で、全方位で、それも高いレベルで満たす要素を持ち合わせていると思う。
その魅力はエンジニア/デザイナー/職人たちの手によって、まるで響き合うように整えられた性能や感性品質にある。
GTスピード/スピード コンバーチブルのエクステリアは、スタンダートのクロームやクリスタルの煌めきに心が躍る雰囲気とは異なり、ダーク色系でまとめられたディテールを滑らかで筋肉質なボディに纏うエクステリアに色気すら抱く。ラジエーターグリルとバンパーロアグリル、ヘッドライト&テールランプをダークティントで仕上げ、スポーツタイプのドアシルがさり気なく精悍さを強めている。22インチのホイールもスピードモデル専用だ。またフロントフェンダーにはクロームの“Speed”バッヂがあしらわれ、ベントレー史上最高の運動性能を誇るロードカーであることを静かに主張していた。
インテリアはまさにベントレーの真価が現れている。デザイン自体はコンチネンタルGTと大きな違いはない。 “スピード”はアルミやカーボンを採用することでスポーティさが増している。それになんと言ってもレザーやアルカンターラで統一された(メインハイドは15色、セカンダリーハイドは11色)シートやトリムの風合い、時計のベゼルのような特別な加工が施されたアルミニウムのスイッチ類の煌めきや感触など、それぞれの感性品質の高さが個々の逸品ぶりを象徴している。しかし究極はそれらが一つの空間で創り出すベントレーの世界感にあり。ここに身を置くこと得られる満足感や癒やし、心豊かな気持ちにさせてくれる感覚は、ウェルビーイングなドライブ体験の大きな要素にもなる。
例えば見るからにサポート性に優れるとわかるシート(フロントはマッサージ機能もつく)やトリムには「ダイヤモンド イン ダイヤモンド」キルトを標準採用。これは一つのダイヤモンドパターンに二重にステッチを施したもので、試乗車のGTスピードのベルーガ(グレー色系)、GTスピードコンバーチブルのインペリアルブルーの滑らかなレザーに立体的に浮き上がるそれらの美しさがキャビンに上質な華やかさを添えている。定番のエアコン ノズルのヌメッとした感触と滑らかで重い操作感、スイッチ類の加工の指触りとキラキラした本物の金属が放つ輝きにも高い満足感や幸福感を満たしてくれる。
視認性に優れたメーター類や最先端のインストルメントパネル、コンチネンタルGTでしか選べないなからくりパネル「ローテーションディスプレイ」もベントレーの手にかかれば素晴らしいエンターテインメントとなる。ラゲッジスペースも358Lと十分な広さを保つ。
コンチネンタルGT/コンバーチブルの豊かなデザイン性を、他にないブランドの個性を上質な素材によって表現された服やアクセサリーを身につける幸福感に例えられる。それは着心地や付け心地の良さ、クルマにとっては動的性能とセットでなければ満たされない。
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コンチネンタルGT/コンバーチブル“スピード”モデルの動的性能はベースモデルに対し、極めて高く正常な性能アップが行われていた。最高出力659ps/最大トルク900Nm、0-100km/h加速3.6秒という性能を発揮する6LW12TSIエンジンを搭載。実際、これだけのスペックを使いこなす環境はほぼ無いが、これだけのスペックが与えられていれば、「もっと速く走らせて!」とクルマから訴えかけられるモデルも少なくない。ところがGTスピード/コンバーチブルは実にドライバーファーストなエスコート上手、なんなら「キレイに走るね」とこちらを気持ち良くしてくれる褒め上手でもある。クルマの性能/制御のおかげでもあるのに……。
ワインディングでのイメージ通りのライントレース性とパワーアップした動力との一体感はサイズ感も車重も、もっと言えばハイスピードドライビングへの期待をそれほど抱かないアベレージドライバーにとっても“スピード”の高性能ぶりはオーバーサイズでもオーバースペックとも感じない。
“スピード”モデルは駆動方式をAWDを基本としながら、より高度な旋回性能を実現するべくエレクトロニック・リア・デファレンシャルをベントレーのモデルとして初採用している。エレクトロニック・オールホイール・ステアリング(4WS)も新設計され単に旋回半径を小さくするのではなく、よりコーナリング性能を高めるべく積極的に働く。これらにフラットな姿勢を保ちやすくするベントレーダイナミックライドとエレクトロニック・リミテッド・スリップ・デフをステアリングに連動させ、ダイレクトでリニアな運動性能を実現しているのだ。ただし、あれこれと搭載されている技術を挙げてはいるものの、いつ、どこで、何が、どう働いているかはわからない。エンジン性能はスタンダートモデルの4L V8+ツインターボの550ps/770Nm 0-100km/h 加速4.0秒に対し、“スピード”の6LV12+ツインターボは659ps/900Nm、0-100km/h加速3.6秒。フロアから突き出たアクセルペダルの高さに両車違いはないけれど、“スピード”のアクセルを踏み込んだ時のトルクは分厚く、より懐の大きさを感じることができる。そしてそれは街中やコーナー出口の再加速のような細かなペダル操作(ドライバーの意思)に対し極めて高い精度でリニアな反応と加速を与えてくれるのだった。
ちなみに乗り心地はスタンダートのコンチネンタルGT(クーペ)やGTスピードコンバーチブルに対し、わずかながら硬めだが、不快感や違和感を抱くほどではない。また走行モードをスタンダードの「ベントレー」から「スポーツ」に切り換えれば、専用セッティングならではの“スピード”の世界を味わうことができる。
GTスピード コンバーチブルは前述のGTスピードと変わらぬ動力性能やドライバビリティを構成する電子デバイスを搭載しているが、ドライブフィールはクーペモデルと比べ滑らかでしなやかな印象だ。これはスタンダードモデルのGTコンバーチブルと同様、若干のキャラクターの差別化が行われているようだ。とは言え、ボディやサスペンションの剛性感、ダイレクトなステアリングフィールと連動した運動性能からは大きなエンジンパワーやトルクを備える“スピード”モデルらしいダイナミックさもその性能の一部ではあったが感じることができた。むしろ様々な電子デバイスの精密な制御によってこのハンドリングや乗り味が生まれていると想像すると、緩め加減の絶妙さに最新のエンジニアリングの質の高さを絶賛したくなった。クーペとは違うしなやかさを隠し味のように備え、ハイスペックな性能にエレガントも兼ね備えた4座のオープンスポーツカーの優雅さは他では味わえない。
上質なインテリアに囲まれながら眺める風景は、クーペ/コンバーチブルのスタイル、内装の雰囲気が変わることで、額縁を変えることで印象が変わる絵画のごとく違って見える。クルマの場合、重要なのは流れる景色は自らのドライビングと一体化して生まれている点だ。ベントレーのインテリアは工業製品なんて乾いた表現ではもったいない。上質な素材を用いた職人による手の込んだ工芸品のようなそれはドライバー自らの操作で生み出す最高に贅沢なフレームになる。果たして感性は刺激され、癒やされ、より高い満足度や幸福感が得られるというのがGTスピード/GTスピード コンバーチブルと言いたい。
スマホやPCからも離れ、ドライビングに集中のできる時間はそれだけで気分転換になる。最新のADASも備わるコントネンタルGTスピード/GTスピードコンバーチブルは個人の移動の“質”を高めるのに理想的なモデル候補になるのではないか。余計な雑音を一切と言っても過言では無いほど取り除かれた独特の静粛さのなか、内燃機関独特のエモーショナルな音質を楽しみながらドライブができる。リフレッシュのために訪れる温泉宿までの道中からウェルビーイングな環境は始められる。車内のスペースはお宿の特別室のソレには叶わものの、素晴らしい動力を従え、最上級のマナーやホスピタリティが備わる、走らせるほどに心身が豊かな気持ちになれるクルマはそうないと思う。
コンチネンタルGTにはカラーバリエーションや素材も豊富で、さらに空気清浄システムも搭載しオーディオも3種類から選ぶことのできる、よりウェルビーイングに特化した「コンチネンタルGTアズール」もある。これまでも何気なく感じていた走る歓びや移動中の幸福感を“ウェルビーイング”という言葉に注目し、特化したモデルまで登場させるベントレー。今回改めて分かったのは、ベントレーはそもそも乗る人すべての快適さも含めウェルビーイングな素質を持ち合わせているブランドであること。それを今回、改めて現代流の解釈で見直すことができたことだ。 “スピード”モデルであっても何かを犠牲にすることなくエフォートレスでウェルビーイングなカーライフが楽しめるモデルの登場に、ベントレーのクルマづくりの本質と本領を改めて心身で確かめることができたのだった。
■全長×全幅×全高=5145×1995×1755mm
■ホイールベース=2995mm
■車両重量=2520kg
■エンジン種類/排気量=W型12気筒+ツインターボ/5945cc
■最高出力=635ps(467kW)/5000rpm
■最大トルク=900Nm/1750-4500rpm
■トランスミッション=8速AT
■駆動方式=AWD
■ブレーキ=前後Vディスク
■タイヤサイズ(F:R)=285/40ZR22:285/40ZR22
■車両本体価格(税込)=33,450,000円
公式ページ https://www.bentleymotors.jp/models/bentayga/new-bentayga-speed/
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