各社のEVラインナップが増えてきたからこそわかるモデル3の魅力
これまで日米各地で、テスラ「モデル3」を試乗してきたが、今回は欧州各メーカーの最新EVにも試乗したことで、改めて「モデル3」の特長が浮彫りになった。
いまさらながら、ドアを開けた瞬間、少々大げさに聞こえるかもしれないが「何もない」ように感じる。
むろん、ステアリング、アクセル、ブレーキ、ウインカーなど、操作類はあるが、その他の機能のほとんどが15インチのモニター内部機能に集約されている。
自動車メーカーの常識として、車内のディスプレイ表示に対する考え方は、走行に関すること、そして車内インフォテイメントに関することで大きく2分類してきた。その常識をテスラが壊した。現代社会を生きているユーザー第一主義を感じる。
そうした理念は、走り対するシンプルで分かりやすさにむずびつく。例えば、オートパイロットの稼働はレバーを2回押すだけというシンプルさが良い。
試乗車はAWDのロングレンジで、0-100km/h加速は4.4秒だが、市街地ドライブではオーバーパフォーマンスという意識を持つことはない。
乗り心地については、道路の継ぎ目からの突き上げがやや強めに感じるなど、全体としてサスセッティングはやや硬めの印象だ。
充電については、テスラ独自のスーパーチャージャーの他、チャデモ対応のアダプターを採用。「アダプター使用だと、チャデモの出力は若干絞られる」(充電器メーカー関係者)。
さて、日本でもテスラ「モデル3」の販売が絶好調だという。
ただし、日本はもとより、テスラはグローバルで国や地域別の販売台数を公開していないので、詳しい数字は分からない。
そこで、テスラジャパン関係者に現在の日本市場動向を聞いてみると、「2021年前半に、モデル3の価格改定をした後、一気に試乗予約の希望が増えた」という。
「モデル3」のユーザー層は幅広いが、最近は20代の購入者も増加しており、その中には初めてクルマを購入する人も珍しくないそうだ。
また他社のEVから乗り換える人も多く、主な理由として満充電での航続距離が長いことを挙げている。
テスラ全体のモデルラインアップとしてみると、日本では全体の約8割が「モデル3」という状況で、残り2割が「モデルS」と「モデルX」となる。
現在、「モデル3」の納期は北米での生産体制が順調に推移しているため、2~3ケ月程度だという。一方で、「モデルS」と「モデルX」は北米を含めた海外での需要が多く、日本向けは2022年内の納車が難しい状況だ。
【SPECIFICATION】テスラ・モデル3 ロングレンジAWD
■全長×全幅×全高=4694×1849×1443mm
■ホイールベース=2875mm
■車両重量=1850kg
■原動機=電気モーター×2
■サスペンション形式=前Wウイッシュボーン、後マルチリンク
■ブレーキ=前Vディスク、後Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前後235/45R18
■航続距離=689km
■車両本体価格(税込)=6,090,000円
【問い合わせ】
テスラ・ジャパン:https://www.tesla.com/ja_jp/model3
この記事を書いた人
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。
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