いろいろな記憶が蘇る
アルトピア―ノ蓼科(長野県茅野市北山)を日曜日の午前10時前に出て、進路を軽井沢方面に向けた。
国道152号線を車山へ上りのワインディング路。2.8Lディーゼルのコンちゃんは、低回転域のド太いトルクでグイグイ走る。6速ATの制御も良く、下り坂でもしっかりシフトダウン。
コンちゃんがウチに来てから、もう4ケ月近く経ったが、コロナ禍で遠出のチャンスが少ない中、やっとカラダ全体で”ハイエース走り”が染みつきた感じがする。
長野県道40号線で白樺湖を通過すると、「あれ、ここって……」。
数年前に何度か、日産の雪上試乗会で来た。
ということは、この先にあるのは……。氷上コースで有名な女神湖(めがみこ)だ。
クラウド上の画像データをチェックすると、2018年1月にここへ来ており、「リーフ」、「エクストレイル」、「ジューク」、「スカイライン」、「フェアレディZ」、さらに「GT-R」を氷上・雪上で思いきり走らせている。
「あの時はすっごく寒くて、試乗車の乗り換えを急いだものだ」と、そんな真冬の情景がまったく想像できないような、いまは穏やかな女神湖をコンちゃんと一緒にしばし眺めた。
山を下り、立科町、佐久市、御代田町を抜け、中軽井沢でちょっとだけ用事を済まし、佐久ICから上信越自動車道に入る。
昼食は、横川SA。となれば当然、おぎのやさんの「峠の釜めし」。
学生時代、横浜の桐蔭学園中学・高等学校に通っていたが、毎年恒例の団体訓練(略して団訓)で、大型バスで立ち寄った碓氷峠のおぎのやさん。この味が懐かしい。
釜めし完食で、いざ高崎へ。
トヨタ四駆の聖地・群馬トヨタ「RVパーク」
上信越自動車道・藤岡ICを出て10分ほど、烏川(からすがわ)に面した商業地帯を行くと、右手に群馬トヨタ 高崎倉賀野店が見えてきた。
ここには、全国の四駆ファンの多くが知っている「RVパーク」が併設されている。
トヨタ販売会社直轄のアフターマーケット事業として、1991年に発足しており、今年でちょうど30周年を迎える。
新車ショールームを左手に見ながら、敷地の奥手にカスタマイズ専用のショップがある。
さらにその先には、ロックセクション、V字溝、30度ヒルクライム、キャンバー角26度の溝、ウオーターハザードなど11セクションを備える本格的なオフロードコースがある。
ラダーフレームをイメージした「梯子車体」という大きなロゴがあるショップ中に入ると、1世代前の「ランドクルーザープラド」の車体とエンジンが展示され、その周辺には、サスペンション、ホイール、モデルカーなど、トヨタ四駆に関する様々なアイテムが所狭しと展示されている。RVパークのパンフレットにあるように、まさに「オモチャ箱」のような楽しい空間だ。
RVパークの重田浩店長は「会員は累積で約6000名で、関東圏はもちろん、全国からユーザーがおいでになります」という。まさに、「トヨタ四駆の聖地」である。
最近のトレンドはやはり、ハイラックス。現行車では20代から30代のユーザーが増えていて、様々なカスタマイズの要望がある。
そのほかには、「ランドクルーザー70」、「ランドクルーザープラド」の需要が多く、今年8月発売予定の300系「ランドクルーザー」のカスタマイズについて早くも問い合わせがあるという。
店先には、いまでは希少車となった「メガクルーザー」や、販売代理権を持つトイファクトリーのハイエースの姿もあった。
トヨタに限らず、こうした本格的な四駆カスタマイズに特化した事業を新車正規販売店で行うケースは全国的にも極めて稀だ。
時代を振り返ってみると、1990年前後の日本はRVブームに沸いていた。当時のトヨタ店は「ハイラックスサーフ」、「ランドクルーザープラド」など人気四駆車が集約されており、トヨタ本社としては全国トヨタ店を巻き込んだ新規カスタマーサービス事業として
「RVex(ラールベックス)構想」を立案したことで、群馬トヨタRVパークにような事業が全国各地で立ち上がった。
しかし、RVブームが下降すると、管理コストを維持することが難しくなり、多くの販売店がRV専業事業から撤退していった。
そうした中、群馬トヨタは自社の強みとして、オフロードや四駆事業を継続し、ユーザーの要望に真正面から対応する体制を強化していった。現在、約150社の商品を扱い、社外品を装着した新車の整備にも対応している。
重田店長から話を聞くなかで、こうした群馬トヨタRVパークの事例は、現在のキャンバーブームにも大いに参考になると感じた。
告知だが、群馬トヨタはRVパーク30周年を記念し、各種パーツメーカーも参加する「GPS(群馬パーツショー)2021」(2021年10月8日(金)~10日(日):Gメッセ群馬(群馬県高崎市)を開催する。
各地をロケハン
群馬トヨタRVパークを出て、今後は高崎ICで関越自動車道に入り、30kmほどで花園ICで降りた。この日は埼玉県寄居町のホテルで一泊。密を避けるため店内食ではなく、市内各所を巡り中華などをテイクアウト。
明けて翌日月曜日は、台風一過の猛暑日。午前8時、オートキャンプの各所ロケハンに出かけた。まずは、30分ほどで長瀞(ながとろ)。ネットで検索すると、アウトドア系のサイトで関東圏ではお勧めオートキャンプの上位に必ずランキングされる人気スポットを下見。荒川に面した緑いっぱいのグッドロケーション。スタッフの対応もすこぶる良く、口コミ評価が高いのもうなずける。
そこから30分ほどで、秩父へ。秩父さくら湖を浦山ダムから眺めてから、湖畔でボートを乗り入れる場所をチェック。ランチタイムには、秩父市内の道の駅に寄りながら、再び寄居町に戻り荒川の河原へ。
ここは、カヌーやオートキャンプのメッカとして知られている、かわせみ河原だ。環境美化協力費がキャンパーはデイキャンプ500円、1泊1000円でオートキャンプが気軽に楽しめる。
ただし、この日(6月後半)時点では、コロナ禍での密を避けるため「4月28日から当分の間、臨時閉鎖します」という立て看板があった。
さて、そろそろ帰ろうか思ったが、コンちゃんの車内、エアコンONでもなんだか暑い。フロントガラスが熱いのだ。そこで風向きをデフロスターにして、またこれまで一度も使わなかった後部エアコンも合わせてONにすると、やっと車内温度が下がってきた。
これも、キャブオーバーの”ハイエースあるある”なのかもしれない。ハイエース真夏日初体験で、そう感じた。
その後、ホンダの埼玉製作所・寄居工場の前を通る。狭山工場が2021年度目途で閉鎖され、埼玉製作所はここ寄居に集約。「オデッセイ」「レジェンド」「クラリティ」などが生産中止になる。そのほか、「N-BOX」など軽は鈴鹿に集約。
これも時代の流れか……。
そんなことを思いながら、嵐山小川ICから関越自動車道に入り都心へ戻った。
この記事を書いた人
専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。
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