AUTHOR 斎藤聡 この記事をシェアする スノータイヤのコンパウンドに限りなく近い感触 昨年にわかにオールシーズンタイヤが多くのメーカーからは発表・発売されている。一説にはドイツおよび欧州でのオールシーズンタイヤの人気がけん引力になったのだという。そんな中、トーヨータイヤからも興味深いオールシーズンタイヤが発売された。それがSUV向けオールシーズンタイヤCELSIUS(セルシアス)だ。 SUV専用で出してくるあたりいかにもトーヨータイヤらしいが、もう一つ、このタイヤは他のオールシーズンタイヤのほとんどがV字デザインの(ユニ)ディレクショナルパターンであるのに対し、セルシアスは左右非対称パターンを採用。 トレッドデザインはアウト側に2本イン側に1本計3本の太い縦溝が配置されていて、アウト側がドライ&ウエット重視、イン側がスノー重視のデザインになっている。 アウト側ショルダーブロックは、サイプの量を少なくしブロック剛性を高く保つとともに、アウト側の縦溝に溝底補強ブロックの突起をつけることでブロック剛性を補強。またアウト側セカンドブロック(リブ)は周方向のブロックを突起で連結して操縦安定性を高める働きを持たせている。一方イン側は3Dグリップサイプを高密度で施して雪上グリップ力を高めるとともに、ストレートグルーブのイン側ショルダーブロック面をジグザグにすることでスノートラクションを高めている。 という説明を受けたものの、オンロードでの操縦安定性や耐摩耗性を考慮したコンパウンドを使うオールシーズンタイヤだけに、雪上でのグリップ性能やトラクションはトレッドデザインに負うところが大きいので、やはりディレクショナルパターンのほうが有利なのでは? そんな先入観を捨てきれずに試乗を始めたのだが…。 ところがセルシアスはビックリするほど良く雪を捉えてくれるのだ。多くのオールシーズンタイヤは、圧雪路に乗り入れるとブロックを圧雪路面に突き立てるようにしてグリップしている感触がある。ゴム自体のグリップ性能をそれほど高くできないからだ。 これに対して、セルシアスはゴム自体が明らかに仕事をしているのだ。もちろんトレッドデザインによって雪の路面をとらえる感触はあるのだが、加速、減速といった前後方向の動きに対してディレクショナルパターンのようにエッジを立てるような感触が少ないのに、不思議に圧雪路面をとらえているのだ。 グリップしている? 明らかにゴムが硬くならずに仕事をしているように感じられる。 この感触は、コーナーに入ってさらにはっきりと分かった。横方向にもちゃんとグリップしているのだ。感覚的にはスタッドレスタイヤに近いグリップ感がある。スタッドレスタイヤは大げさとしても、普通にウインタータイヤとして通用するくらいだ。 聞けば、セルシアスは欧州ウインタータイヤを想定して作られているのだという。するとかなり雪寄りのコンパウンドを使っているということなのかもしれない。となると気になるのは耐摩耗性とロングライフ性であろう。トーヨータイヤのテストによれば、このタイヤで十分サマータイヤとして使った時の操縦性と耐摩耗性を確保できているのだという。このあたりは実際にぜひ確認してみたいところだ。 少なくとも雪道について言えば、このオールシーズンタイヤ=セルシアスは雪道でよく効く。スノータイヤのコンパウンドに限りなく近いゴムを使ったオールシーズンタイヤなのではないだろうか。圧雪路を走っている限り、コーナーでもそれほど不安を感じないのだ。非降雪地域に住んでいて、積極的に雪道を楽しみたい人でなれば、SUV+セルシアスの組み合わせで、文字通りオールシーズン不自由することなく過ごせるのではないだろうか。そう思わせるくらい雪道のフィーリングが良かった。 商品紹介ページはコチラ 問い合わせ トーヨータイヤ https://www.toyotires.jp/