メルセデス・マイバッハブランドから初のラグジュアリーSUV 電気自動車が登場した。EQS SUVをベースに、専用のフロントマスクをはじめ内外装にマイバッハならではの高級感あふれる装備が満載だ。
マイバッハと呼ぶに相応しい仕立て
ご存知のようにメルセデスはそのラインナップを積極的に拡充していて、ニューモデルが続々と登場してきている。ブランドも、メルセデス・ベンツ/メルセデスAMG/メルセデス・マイバッハと3つもあって、さらにそれらのブランドをまたぐような車種もあるからちょっとややこしく、きちんとフォローするのも難しい。メルセデス・マイバッハEQS680SUVも「マイバッハ初のSUV電気自動車」とリリースに書かれていて、「そうだっけ? あ、確かに」とようやく認識した。
このクルマは簡単に言えば、EQS SUVの内外装をマイバッハと呼ぶにふさわしい仕様に仕立て直したモデルである。ついでにパワートレインにも手が加えられていて、制御マップの変更により最高出力と最大トルクがEQSSUVよりもそれぞれ114ps/97Nm上乗せされている。動力性能のアップが狙いというよりも、豪華な内装にしたことにより、車両重量が3トンを超えてしまい、その分を相殺するための対処と思われる。重くなってパワーアップを図っても、約640kmの航続距離が確保できているのは、118kWhものバッテリーを搭載しているからだろう。BEV専用プラットフォームのメリットは、こういうところに顕著に現れる。
エクステリアでもっとも特徴的なのは、スリーポインテッドスターがグリル内ではなく、ボンネット先端にそそり立っている点。メルセデスのSUVの中で、ボンネットマスコットを採用しているのはマイバッハのGLSとこのクルマだけである。ツートーンの外装色も、マイバッハならではのオプションである。
室内はより“マイバッハ色”が濃い。多くの専用トリムやグラフィックはもとより、最大の特長はシートレイアウトだ。EQS SUVの3列/7人乗車に対して、このクルマは3列目を取り払い、2列/5人乗車としている。さらに、後方にスペースができた分、2列目シートの位置を後ろに下げて、足元スペースの拡大を実現した。試乗車に装備されていたオプションのファーストクラスパッケージでは2列目を2人乗車とし、ウッドトリムを用いたセンターコンソールを用いてよりパーソナルな空間としている。
マイバッハ初のBEVだそうだけれど、こういった快適性を何より優先するクルマこそ、BEVとの相性はすこぶるいい。爆発を何度も繰り返し、たくさんのパーツが高速回転して振動も発生するエンジンがないのだから、NV(ノイズ&バイブレーション)は内燃機搭載モデルよりも圧倒的に有利である。実際、このクルマではパワートレイン由来の騒音や振動はほとんど感じられない。加えて、空力を追求したボディ形状になっているので、速度を上げていっても風切り音も気にならない。あまりに静かすぎて、本来なら気にならないレベルのロードノイズが聞こえてしまうほどである。
車両重量の重さは、乗り心地にはいい影響をもたらしている。重い分だけばね上は動きにくくなるので、エアサスペンションの制御と相まってゆったりとした乗り心地となっている。ダイナミックセレクトで「マイバッハ」モードを選ぶと、さらに乗り心地重視のセッティングに変わる。でも、重心が低く前後の重量配分も悪くないので、実は運転もそこそこ楽しめるのである。
【Specification】メルセデス・マイバッハ EQS 680 SUV
■車両本体価格(税込)=27,900,000円
■全長×全幅×全高=5135×2035×1725mm
■ホイールベース=3210mm
■トレッド=前:1670、後:1685mm
■車両重量=3050kg
■モーター形式/種類=−/交流同期電動機
■モーター最高出力=前:237ps(174kW)/4858-6937rpm、後:423ps(310kW)/4918-6886rpm
■モーター最大トルク=前:346Nm(35.2kg-m)/0-4858rpm、後:609Nm(62.1kg-m)/0-4822rpm
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■バッテリー容量=118kwh
■一充電航続可能距離(WLTC)=640km
■サスペンション形式=前:4リンク/エア、後:マルチリンク/エア
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:275/40R22
問い合わせ先=メルセデス・ベンツ日本 0120-190-610
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