ポルシェ・デザインと世界有数の時計プラットフォームであるHODINKEE(ホディンキー)のコラボレーションモデルが登場した。1972年に誕生したクロノグラフ1は当時一般的であったシルバーやゴールドではなく、世界初のオールブラックを採用。今回のモデルは、オリジナルにインスピレーションを受けて、それをホディンキーが再解釈した腕時計に仕上がっているという。
クルマ好きなら自分の愛車ならずともカーブランドのネームがついたアイテムは気になるに違いない。なかでもポルシェ・デザインは別格だ。
ポルシェ・デザインは、1972年にポルシェ創業者の孫であるF.A.ポルシェが創設したデザインハウスである。1963年に弱冠28歳で911のチーフデザイナーを務めた後、一族がポルシェの経営から退くのを機に独立。念願だったインダストリアルデザインの世界に進んだのだった。以降カメラや椅子、家電、さらにボートや鉄道など数多くのデザインを生み出した。
いずれも直接クルマに紐付くというよりも、ジャンルを超えて同じデザイン哲学を共有するという点で特異な存在であり、だからこそ高く支持され、愛好家も多い。
時計もそのひとつ。スタジオの設立当初から手がけ、それだけ思い入れも強かったのだろう。当初オルフィーナ社との協業から始まり、20年近くIWCとパートナーシップを組んだ後、エテルナ社を買収。現在ではスイスに自社工房を所有し、さらなるオリジナリティを追求している。
クロノグラフ1-ホディンキー2024エディションは、スタジオ創業年の1972年に発表された名作の復刻モデルだ。ステンレススチールやゴールドのケースが一般的だった当時、世界で初めてブレスレットまでオールブラックに仕上げた。それは911のダッシュボードのメーターを思わせ、時計の世界にその名を知らしめたのである。
タイムレスなデザインに敬意を表し、復刻モデルはオリジナルをほぼ忠実に再現する。その一方で、素材は軽量のチタンに替え、インデックスはオフホワイトの夜光塗料でヴィンテージ感を演出。ファンにとってはかつてのブランドロゴも嬉しい限り。
25年程前、当時F.A.ポルシェの右腕だったポルシェ・デザインの副社長に話を聞いたことがある。その中でブラックにした理由について、鮮やかな色がフォルムを隠してしまいがちなのに対し、ブラックやグレーの無彩色はデザインをダイレクトに表現するからと答えた。そして自分たちは革新のための革新はしないし、デザインには自由と限界があるといったのが印象深い。ここでいう限界とは、制約があるからこそ創造性が無限に広がるという意味だ。
クルマにレストモッドがあるように、時計にも復刻がある。それもスマートウォッチでは味わえない現代的な楽しみ方だ。手に取ればヴィンテージの911に乗り込むような高揚感が湧いてくる。
【Items】
PORSCHE DESIGN CHRONOGRAPH 1 –HODINKEE 2024 EDITION
オリジナルのデザインはそのままに、最新の技術を駆使して制作。ケースは優れた耐久性と軽量性に富むチタニウム製で、非常に耐傷性の高いブラックのチタニウム・カーバイトでコーティングされる。クローズド・ケースバックには、ポルシェ・デザインの文字、限定生産であることを示す「XXX/350」が刻印。ホディンキーの文字、ホディンキーのアイコン「H」、年号「2024」、そして「TRILOGY –CHAPTER 1」が刻まれる。世界限定350本の限定品。
問い合わせ:ドイツ時計 TEL 03-6277-4139 https://doitsutokei-ag.com
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