【サーキット試乗】凶暴な猛牛を最新デバイスで調教! 生真面目かつ新感覚の安定感に脱帽「ランボルギーニ・レヴエルト」

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V12+PHEVを搭載するランボルギーニ・レヴエルトを富士スピードウェイで試乗。システム総合出力1015psを発生するモンスターマシンは果たしてどのような走りを見せるのか? 国内で初試乗した第一印象をお届けしよう。

走行モードにより最大出力値は変化

“ミッドシップこそスポーツカーの理想”、“V12こそ究極のエンジン”と受け継がれてきたとはいえ、さすがに時代の流れには逆らえない。先進国を中心にカーボンニュートラルの実現に向けて動き出した今、自動車界における課題は大きく、中でもスポーモデルに関しては、その方向性が問われているのは間違いない。

V12エンジンは後輪を担い、フロントは左右に設けられた電気モーターで駆動させることにより、従来のAWDよりもさらに精度を高めた印象。それでいてV12のピュアさを活かしているから唯一無二。

そんな中、ランボルギーニはV12エンジンを搭載する新たなフラッグシップモデルを用意した。レヴエルトと名付けられたそれは、前作のアヴェンタドールと同じ自然吸気V12ユニットを搭載しながらもフロント左右にモーターを1基ずつ備え、さらに8速DCTにもモーターを組み合わせた3モーター・ハイブリッド・スーパースポーツとして、冒頭の問いに答えた。しかも、それでも諦めることなく、パワーアップを実施。システム総合出力は実に大台を超える、1015psを実現した。

これまで多くのスーパースポーツを試乗してきた身ではあるが、さすがに大台超えのモデルを今から富士スピードウェイでテストするとなると、期待と緊張が同時に襲ってくる。走行モードのデフォルトはハイブリッド化に伴い、新たにシティモードが設けられている。まずはここからスタートするようインストラクターに指示された通り出発すると、EV走行による無音状態に、冷静さと落ち着きを取り戻した自分に気づく。しかし、コースインしてアクセルを踏み込むと、V12エンジンが始動! 荒ぶる鼓動がカーボンモノコックを通じて身体に伝わった途端、自ずとこちらもその気になって戦闘モードに突入した。今回も先導車付きとはいえ、それなりにペースは速いし、軽く迫れば応えてくれるから遠慮はいらない、やるしかない! と肝に銘じて周を重ねた。

先代のアヴェンタドールよりもステアリングホイールに操作系コマンドが増え、インテリア全体はシンプルな仕立てとなった。ダッシュボード中央上部には縦型のタッチスクリーン、助手席には横型のサブスクリーンが備わる。

すぐにシティモードの上となるストラーダモードを選択すると、十分に速いが何か物足りない。それもそのはず。レヴエルトは走行モード毎に出力値が変わり、1015psという最高出力をフルに活かせるのは、コルサモードのみ。ストラーダモードでは886psに抑えられ、あくまでも日常レベルで扱いやすいように設定されている。では、その上のスポーツモードではどうなのかと、自分の問に対してすぐに応えてみると、足まわりが引き締まり、エンジンパワーは907psに到達、ピックアップレスポンスも鋭くなった。特にハンドリングのセッティングは昨今見られるランボルギーニに共通するダイナミックさを垣間見せ、ESCさえオフにすれば、アクセルとステアリングを巧みに操ることでニュートラルステアからテールオーバーまで持ち込むことは容易いだろうと、これまでの経験から素直に想像できるフィーリングであった。しかも前輪を駆動するモーターはトクルベクタリングが働くから安定性は抜群! 例え、しくじってもアンダーステアとは無縁のような動きを予感させる出来栄えであった。

コルサモードでV12+ハイブリッドの真価を発揮

そして、コルサモードに変更。いよいよ1015psを体感する時間だと思い攻めてみると、拍子抜けするほどの安定感に脱帽してしまった。無論、富士スピードウェイのストレートは余裕で250km/hオーバーし、1コーナー手前でのブレーキングでは、カーボンセラミック&10ピストンキャリパーを備えるだけあり、強烈な効きを示したどころか、もっと詰められるだろうと余裕すら感じさせる。コーナーをクリアしていく度にノーズの入りの良さに感心させられるうえ、フロントのトルクベクタリングと優れた後輪操舵のおかげで、楽に速く攻められる。決して軽快とは言えないまでも、ハイブリッド化による極度な重量の増加も思わせないから見事だ。やはりセンタートンネル内にバッテリーを配置した効果は極めて大きいことを実感した。

自然吸気式ながら6.5L・V12エンジンは825psを出力。走行中は、どちらかといえば、このエンジンパワーによるフィーリングのほうが大きい、というのが本音。

乾燥重量で1772kgとアヴェンタドールよりもはるかに重くはなっているものの、V12エンジンで17kg、カーボンモノコック自体も10%軽くしたほか、8速DCTのシャフトを従来の3本から2本に抑えるなど、細部に渡って軽量化が図られているのもランボルギーニらしいアプローチだが、それでも新型車の定番台詞でもある“洗練された”とは思えないのが、ある意味では特徴かもしれない。これは紛れもなく、自然吸気式V12エンジンを存続させるための手法。ハイブリッド化することでその生命を繋ぎ止めたことこそ評価すべきだろう。完全バランスをもつV12の魅力は、いつまでも色褪せないのだから……。

Q.2.5秒を誇る0→100km/h加速や1015psは実感できますか?
A.V12の存在感が先立ち、その感動のほうが実は大きいです。

Q:ハイブリッドシステムの構成に特徴はありますか?
A:バッテリーの搭載位置に注目! 狙いは明白です。

POWER TRAIN

ENGINE

GEAR BOX

カーボンモノコックシャシーはレヴエルト専用に新開発された。その最大の理由はバッテリーの搭載位置。本来、ギアボックスが置かれていたセンタートンネル部にバッテリーを配置させるために、V12ユニットは180度向きが変えられ、ギアボックスはエンジン後端に位置させた。しかも、センタートンネル内にバッテリーを収めた理由が旋回時におけるハンデを抑えるためなのも明白。フロア下全体にバッテリーを置いてしまうとコーナリング時の姿勢に大きく影響することを避けたかったのだろう。実に秀逸だ。

Q:ブリヂストン・ポテンザスポーツを履いたレヴエルトの印象は?
A:クルマの一部として機能する秀逸なタイヤです(鈴木亜久里さん)。

試乗会には元F1ドライバーの鈴木亜久里さんも参加。ブリヂストン・ポテンザ・スポーツの印象を語った。「クルマに合わせたタイヤ作りをしてるいるという印象。(V12+PHEVの)車重も良くカバーできているし、クルマの一部として機能を発揮する秀逸なタイヤだと思います」

ブリヂストンのハイパフォーマンスモデル「ポテンザ・スポーツ」を標準装備するレヴエルト。ブリヂストンはグローバルでのオフィシャルテクニカルパートナーとして、レヴエルトのパフォーマンスを最大限に引き出す専用タイヤを開発。

【SPECIFICATION】ランボルギーニ レヴエルト
■車両本体価格(税込)=65,430,000円
■全長×全幅×全高=4947×2033×1160mm
■ホイールベース=2779mm
■トレッド=前:1720、後1701mm
■車両重量=1772kg
■エンジン形式/種類=ー/V12DOHC48V
■内径×行程=95.0×76.4mm
■総排気量=6498.4cc
■最高出力=825ps(607kW)/9250rpm
■最大トルク=725Nm(73.9kg-m)/6750rpm
■モーター型式/種類=—/永久磁石式同期電動機
■モーター最高出力=前:150ps(110kW)※一基あたり、後:150ps(110kW)/1000
■モーター最大トルク=前:350Nm/35.7rpm※一基あたり、後:150ps(15.3kW)/−
■バッテリー種類=リチウムイオン電池
■トランスミッション形式=8速AT
■サスペンション形式=前後:Wウイッシュボーン(コイル)
■ブレーキ=前後:Vディスク
■タイヤ(ホイール)=前:265/30ZR21、後:355/25ZR22
問い合わせ先=ランボルギーニジャパン TEL0120-988-889

フォト=ランボルギーニジャパン ル・ボラン2024年9月号より転載

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