マセラティがイタリア・リミニで開催した電気自動車(BEV)の祝祭「フォルゴレ・デイ」でグランカブリオ・フォルゴレがワールドプレミアを飾った。
イタリア語で「雷鳴」「稲妻」などを意味するフォルゴレは、マセラティのBEVに与えられるシリーズ名でもある。彼らは2025年中に全モデルにフォルゴレ・バージョンを用意するとともに、当初の予定を2年前倒しし、2028年中にはイタリアのラグジュアリーブランドとして初の「完全電動化」を果たす計画を発表済み。この方針に従い、すでにヨーロッパではグランツーリズモ・フォルゴレとグレカーレ・フォルゴレがリリースされている。
今回デビューしたグランカブリオ・フォルゴレは、端的にいえばグランツーリズモ・フォルゴレのコンバーチブル版だが、そのプラットフォームは実に興味深い構成とされているのでご紹介しよう。
まず、モーターはリアに2基、フロントに1基の計3基を搭載。最高出力は1基あたり400psで、合計すれば1200psと恐ろしくパワフルだが、バッテリー側の都合などでシステムとしての最高出力は761psに絞られる。もっとも、それでも十分以上にパワフルだが、なぜ400psのモーターを贅沢に3基も搭載したかといえば、それは超強力なトルクベクタリングを行なうためである。すなわち、左右の後輪を独立したモーターで駆動することでヨーモーメントを発生。俊敏なハンドリングを実現するのが、このパワートレインの見どころのひとつなのである。
もうひとつ興味深いのがそのバッテリーレイアウト。というのも、一般的なBEVのようにフロア下の低い位置にフラットに敷き詰めるのではなく、センタートンネル内や後席の下などに集中して搭載。このためフロントシートの着座位置はBEVとは思えないほど低いものの、車両の重心高は一般的なBEVよりもむしろ高くなったと思われる。
しかし、マセラティはこれを逆手にとり、重心高とロールセンターを一致させることで、エンジン車並みに素早い姿勢変化を実現したというのだから実に興味深い。
それにしてもグランツーリズモやグランカブリオのデザインはシンプルかつピュアで目が覚めるほど美しい。同社チーフデザイナーのクラウス・ブッセは「私たちは10年もしくは100年先を見据えている」と語ったが、まさにその言葉通りの仕上がりといえる。
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