ハイブリッドエンジン搭載の「ポルシェ963」レーシングカーのレースとサービスを世界中でサポートするために全面的改装・近代化された最新施設
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは「FIA WEC」と「IMSA」の2つの耐久シリーズのトップクラスにおいて、ポルシェのグローバルオペレーションチームとして活動している。ファクトリーチームが北米「IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ」に参戦する、2台の「ポルシェ963」レーシングカーを米国ノースカロライナ州のムーアズビルにある拠点で準備している。
一方、WECプロジェクトの作業はドイツのマンハイムにある新しいチーム本部で行われている。ポルシェとチーム・ペンスキーは、かつてのポルシェセンターを、世界選手権キャンペーンのための最新鋭のハイテク施設に生まれ変わらせるために多大な努力を払ってきた。
【写真23枚】伝説の「RSスパイダー」を含むミュージアムの展示品を展示
マンハイムのフリードリヒスフェルト地区にあるアウトバーン656号線に近いこの施設は、2008年からペンスキー・オートモーティブの所有となっていた。ポルシェ・モータースポーツのアメリカ人パートナーは、2014年まで約1ヘクタールの敷地でポルシェセンターを運営している。
その後、この施設は新たな目的を待っていた。それが2020年12月に始まり、2021年5月にポルシェAGの取締役会が新型「ポルシェ963 ル・マン・プロトタイプ」の開発を承認し、ペンスキー・チームとの協力関係を更新した後、マンハイムのレンバッハー通りにある複合ビルの建設が始まった。この施設は、約4,500平方メートルの使用可能なスペースを提供する。
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージングディレクターであるジョナサン・ディウグイド氏は「私たちの最新鋭の施設は、マンハイム、ヴァイザッハ、ムーアズヴィルという2つの大陸をまたぎ、レースチームとしてグローバルに活動するために必要なすべてを提供しなければなりません」と説明する。
もともとポルシェが設計・建設し、その後ポルシェのディーラーとしてペンスキーが取得したこの建物は、ハイブリッドエンジンを搭載したポルシェ963レーシングカーのレースとサービスを世界中でサポートするために全面的に改装され、近代化されたのだ。
2006年から2008年にかけてポルシェとチーム・ペンスキーがアメリカン・ル・マン・シリーズのLMP2タイトルを獲得した伝説の「RSスパイダー」を含む、ポルシェ・ミュージアムの展示品がホワイエに展示されている。3年の建設期間と数百万ユーロの投資を経て、マンハイムの拠点は広々としたオフィススペース、最新の会議室、デジタルネットワーク、清潔なワークショップなど、WECチームにとって理想的な労働環境を提供するようになった。
理想的な作業環境
ポルシェ963の組み立て、メンテナンス、サスペンション、重量調整には4つの作業エリアが使用される。また、プレアッセンブリー、レーシングエクイップメント、カーボンコンポジット加工、高電圧システム、スペアパーツ、倉庫、ロジスティクスなどの部門もあるという。
ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、ル・マンのピットレーンのレプリカを建設した。メカニックは毎日、特別なテスト・トレーニング車両でタイヤ交換や給油の練習を行う。近くのジムでは、クルーが体力、協調性、フィットネスの向上に取り組むことができる。
「この施設には、レースカーやテストカーの作業を成功させるために必要な技術設備がすべて揃っています。アッセンブリーやスペアは、エンジニアやテクニシャンの近くに特別に設計されたエリアに用意されています」と、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの新しいFIA WECジェネラルマネージャー、ヤン・ランゲ氏はコメントしている。
「ジム、カフェテリア、クルールームなどのスタッフ施設は、従業員が大切にされ、チーム全体としてつながっていると感じられるようにするものです。常設の屋内ピットストップリグとマシンがあることは、1年間私たちをシャープに保つために非常に貴重なのです」
チームの戦略的・運営的サポート
マンハイムでの仕事はまだ終わっていない。現在、いわゆる”バトルルーム”の建設が完成に近づいている。そこからエンジニアたちが、サーキットでのレース・イベントやテスト走行中にチームの戦略的・運営的サポートを提供する。
マンハイムで開催されるメディアデー(4月9日)には、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツが正午から午後3時まで、招待されたジャーナリストに門戸を開く。ウルス・クラトレ氏(ファクトリーレーシングLMDhディレクター)、ジョナサン・ディウグイド氏(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ代表取締役)に加え、WECワークスドライバーのアンドレ・ロッテラー氏(ドイツ)、ローレンス・ヴァントール氏(ベルギー)も取材に応じる。