10年超の時間をかけて進化させたガレージは、盗難のほか錆や汚れからクルマを守り、メンテもできるだけでなく、友人を招く”サロン”にもなる空間に
四国地方のとある都市部に、Sさんは180坪の土地を購入して2004年に自邸を建てた。土地の真ん中に木造2階建ての家を建てて、両脇の土地に日産のヴィンテージカーと奥様の「コルベット」など9台を置き、ボディカバーをかけて保管していた。しかし風雨による汚れや錆からクルマを守るため、1年後にはガレージを建てる決意をする。そこで選んだのは「田窪工業所」が発売しているスチールガレージ「ベルフォーマ」だった。
ベルファーマは、丈夫な耐食性に優れた特殊亜鉛鋼材による高級焼付塗装を施したスチールガレージで、連棟もできる。しかしSさんは、標準型間口である8.2mの3台用ガレージを選んだ。静かなオーバースライダーのガレージシャッターが装備されるほか、コスト的に優れていることから選んだという。建築から19年が経過しているが、劣化などは見られない。
ガレージと同時に「カクイチ」製カーポートを設置した。コレクションのクルマ、オートバイはガレージに格納。普段、仕事などに乗るクルマはカーポート下に停められるよう、設計したそうだ。
【写真15枚】ユニットガレージとカーポートを活用。友人だけが知る秘密のガレージ。
ベルフォーマを建築後、このスチールガレージはSさんの手によって、約10年以上の年月をかけて進化してきた。まず最初に行ったのは、オートバイのスペースと2台のスカイラインのスペースを分けるための間仕切り工事。軽天により壁面を造作している。壁面の骨組みを組んでべニアを貼り、ドアを設けたほか壁面は木造用の塗料でペイントしている。
ガレージの床面には、商店建築に採用されるソフトフローリングタイルをモルタルの上に敷いていて、クルマから漏れるオイル染み対策をしている。また木製の壁面にしたことでクルマのパーツのほか、看板屋さんに依頼して造作したNISSANの看板などをディスプレイすることが可能となった。
豪華ではないが、知恵と工夫を凝らして時間をかけてガレージをカスタマイズ。
9台所有していたヴィンテージカーから”後世に引き継ぎたいクルマ”として選ばれたのは、1972年式「日産・スカイライン GT-R KPGC10」と1977年式「日産・スカイライン GC111」の2台のクルマだ。日産がレースで活躍していた古き良き時代のクルマが好きというSさんは、子どもの頃からのクルマ好きが高じて、「スカイライン・ジャパン」などを乗り継いで現在の箱スカとケンメリの2台に行きついたという。
現在ではカークラブの代表を務めつつ年2回程度のツーリングを行なうなど、国産旧車が好きな人たちをまとめ上げている。また、20年かけてコレクションしてきた日産のパーツなどをすべて収集して、カギをかけた倉庫に収納していて、いつか困ったときに使用する予定だという。
スカイラインを好きになってから、昔のレース日産R380〜381〜382や箱スカが活躍していた資料も読み漁り、完全にこの時代のクルマたちの虜となったという。ヒストリーを持つクルマを、息子さんや孫たちに受け継がれていくことを望んでいるんだそう。そのためにも風雨や錆からガレージでクルマを守っていることが安心だという。ここ数年で価値が上がってしまったクルマたちは、カメラ6台により管理されセキュリティ対策が施されている。
◆PLANNING DATA
所在地:四国地方
家族:7人
敷地面積:594平米
ガレージ面積:51平米
内装仕上げ:構造用合板
愛車:1972年式 日産・スカイラインKPGC10
1977年式 日産・スカイラインケンメリ
2010年式 ハーレーダビッドソン・FLHX ほか
◆OWNER’S CHECK
・一番気にいっているところは?
モルタル施工の上にソフトフローリグタイルを敷いたため、オイル
対策となったこと。この素材はガレージでも有効な素材ですね。
・ちょっと失敗したところは?
特にありません。
・次の夢はなんですか?
好きなクルマだけを残しているので、子孫にこの価値のあるクルマ
が継承されてほしいと願っています。
『GarageLife Vol.97』掲載
1981年式「日産プレジデント」も、Sさんの愛車。普段、ドライブするクルマはカーポートの下で管理されている。