回転対座シートだけでなく二段ベッドまで導入!「マスターエース・サーフ」【魅惑の自動車カタログ・レミニセンス】第37回

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タウンエースより高級な兄弟車

当コーナーではこのところ、ワンボックスカーについては救急車仕様のカタログをお目にかけてきたが、ここで久しぶりに、普通のワゴンとしてのワンボックス車のカタログをご覧いただきたい。今回採り上げるのは、トヨタ・マスターエース・サーフである。

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マスターエース・サーフは、タウンエースがモデルチェンジして二代目へと生まれ変わるのを機に、その兄弟車として誕生した。1982年11月のことである。タウンエースは元来、パブリカをベースとしたライトエースと、コロナのエンジンなどを利用したハイエースの、その間を埋める車種として、カローラなどのエンジンを流用して生まれたものであるが、マスターエース・サーフはタウンエースよりもちょっと上級のイメージを纏って送り出された。これには、クラウンなど高級車を扱ってきたトヨタ店(当時)扱いのモデルであったことも関係しているのであろう。そういえば、車名の「マスター」はクラウンがベースのマスターラインなども思い起こさせる。

もちろん、タウンエースとは細部のデザイン処理が異なることと、乗用仕様のみのラインナップであることによって違いが持たされているだけであり、自動車としての基本の部分は変わらない。ボディも基本的に同一であり、角型異形2灯ライトのタウンエースに対して、マスターエース・サーフでは角型4灯となり、バンパーも下あごの突き出たような大型タイプが装着されるといったあたりが大きな違いである。

レイアウトはキャブオーバー式FR、サスペンションは前ウィッシュボーン/後ろ4リンク。エンジンは直4 1.8L OHVの2Y(最高出力95ps)を搭載。バリエーションとしては、まずボディにはハイルーフとミドルルーフの2種類を展開、後者はバン(タウンエースのみに存在)の標準ルーフとハイルーフの中間の高さのルーフを持つものである。これにそれぞれサンルーフ(前後にふたつ装備するツインムーンルーフのみ)の有無があって、ボディは計4種類。

さらにグレード構成を詳しく記述すると、ツインムールーフ付きにはツーリングサルーンとスーパーツーリング、無しにはスーパーツーリングとツーリングの2種類がそれぞれあり、ハイルーフのツインムーンルーフ付きのみには、最高グレードのグランドサルーンと、二段ベッドを装着できるカタリナパッケージが設定されている。また、ミドルルーフ・ツインムーンルーフ無しのボディには、最廉価モデルのデラックスが存在した。デラックス以外には回転対座シートが装備されており、グランドサルーンはアームレスト付きとなる。

ありがちな構成であるが、最後の主要諸元などのページが折り畳みになっており、広げると3ページ続きのグレード紹介となる。これで全部ではなく、上級グレードはこの前の見開きに掲載。ツーリングSは2L EFI搭載のスポーティなモデルで、デビュー当初にはなかったグレードだ。

1983年4月には、直4 2Lディーゼルの2C(72ps)搭載車が、1984年2月には2L EFI仕様の3Y-E(115ps)搭載車がそれぞれラインナップに加わった。このあとも、4WDやターボディーゼルの追加(1985年)などが行なわれたが、タウンエースがライトエースとボディを統合するのに合わせて、1992年1月に生産を終了している。

半宙吊りのベッドにはさすがに無理が…
さて、ここでご覧いただいているのは、このマスターエース・サーフの比較的初期のカタログである。発行年月については、「このカタログの内容は昭和59年4月現在のものです。」の注意書きから、1984年4月と考えられる。2L EFI仕様追加直後という時期である。サイズは295×245mm(縦×横)、ページ数は表紙を合わせて全34ページ。

ワンボックス車の発展を追うと、ライバルである日産のバネットが行なった、回転対座シートの導入が非常に重要なものであるようだ。これは1980年6月、上級グレードのSGLの新設に伴い採用されたもので、非常にインパクトのある装備であり、トヨタはこれに非常な衝撃を受けたと言われている。そのため初代タウンエースで同様のシートを慌てて採用、二代目タウンエース/マスターエース・サーフにも最初から回転対座シートが採用されており、カタログでも大きくアピールされている。

また、トヨタはこのシートギミックの上を行くインテリアを必死に考えたのであろうか、前述のように二段ベッドまでを装備したカタリナ・パッケージというモデルが設定されていた。もちろん、車内に二段ベッドをそのまま固定状態として据え付けたものではなく、前列シート上部を支えにしつつ宙吊りのようなかたちでベッドが取り付けられ、その下のフルフラットシートと合わせて二段ベッドとなる、という内容である。しかしこれはやはり少々無理があったのだろう、回転対座シートとは違って、ワンボックス車定番の装備となるには至らなかった。

カタログ協力:宇佐美健太郎

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