My grandpa’s wheel, CROWN
初代トヨペット・クラウンの実車とそのタクシーについては、前編の記事(下の「関連記事」参照)ですでに述べた。ここでは、作例を制作した畔蒜氏に、制作および実車(作例のモチーフとなった個体)について語ってもらおう。
【画像26枚】サイドモール自作やグリル改造など、その制作過程を見る!
「ものごころついた時から家にはクルマがありました。それがこの初代クラウン、私の祖父が個人タクシーとして営業に使用していた車両です。当時の実車を撮った写真は意外に少なく、やっと見つけたのがモノクロ写真2枚。私が小学校1年生(1964年)の頃のものと思われます。
祖父は生真面目で、どちらかと言うと無口な人でした。仕事は月曜から土曜まで、朝8時から夕方6時頃までで、日曜や夜間の営業はしませんでした。ガレージは自宅なので、クルマがあるときは私の格好の遊び場でした。その代わり、帰った後の運行記録の計算などを手伝ったりしていました。特に、休日のクルマのお掃除はとても楽しみ。後席を外すとシートの下から(小銭の)忘れ物がよく見つかり、お掃除のお小遣いになったものです。
その後、景気が悪くなると落とし物はめっきり減りました。一度だけ助手席に乗って仕事に付き合ったことがありましたが、正直、お世辞にも乗り心地は良くありませんでした。クラッチを保たせるためかあまり半クラッチを使わないので、シフトショックは大きめ。車線変更は結構強引だったりしました。おかげで、半日で気分が悪くなって散々な印象でした。
私が自動車免許を取ってアルバイトで買ったクルマを見せた時、『運転してみろ』と祖父が助手席に乗り込みました。この時は、教習所の路上検定より緊張した覚えがあります。交差点にさしかかると『進行方向だけでなく、双方の歩行者の信号を見ろ』と、今思えば当たりまえのことですが、教訓になる一言でした。
シガーケースで準備を進めるも、渡りに船の1/24ミニカー登場!
以前から、祖父の乗っていた車をモデルカーで再現したいと思っていました。ところが、初代クラウンの後期型はモデルカーでは出ていません。考えた挙げ句、シガレットケースを元に出来ないかと考え、初代後期型スタンダードのシガレットケースを入手しました。
ただしスケールが大きめなので、これをレジンで複製して3Dコピーし縮小データを作り、ケミカルウッドを削ろうと段取りを考えていたところ、アシェットの1/24国産名車コレクションがスタートし、待望の観音クラウン後期型がリリースされました。早速これを入手して、祖父のタクシー仕様に仕立てることとなった次第です」