ガルウィング・ドアは開いてナンボ!タミヤ製プラモ「メルセデス・ベンツ300SL」の精巧な出来栄えを味わう・後編【モデルカーズ】

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名車にふさわしい名作キット

タミヤ製1/24スケール・プラモデルのメルセデス・ベンツ300SLと、その実車については、前編の記事(下の「関連記事」参照)ですでに述べた。この作例は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」229号(2015年)のガルウィング特集のために制作されたものであるが、ここでは、その時に併せて掲載された、作者・周東氏による解説をお読みいただこう。

【画像37枚】フレームの追加やエンジン・内装のディテールアップなど、その工程を見る!

「300SLガルウィングのキットは今までいくつもリリースされてきた。1/24スケールに限ってもエレール製のものなどがあり、これは私も所有しているが、これらのキットと最新タミヤの優れたキットとを比較するのは、いささか酷というものだろう。タミヤ製ガルウィングをひとことで表現するならば、『名車にふさわしい名作キット』と言ったところか。リリースされたばかりなので評価はこれから色々と出てくると思うが、永く愛されるキットであることは間違いない。

今回制作したのは『試作品』の表記のある所謂『白箱』であるが、内容は市販品とおおむね同じものであろう。ボディは非常に良い形をしている。特にトランク周りのボリューム感が素晴らしい。フロント周りは、はじめに画像で見たときは『ヘッドライトが大きいのでは』と感じたのだが、実物を目にするとこの違和感は払拭された。

シャシーフレームはこのキットのアピールポイントのひとつだが、複雑なマルチチューブラーフレームを少ない部品で構成しており、組み立ても楽だ。一部、些細な箇所が省略されているが、ボディにセットすれば問題ない(ボディにセットするためにはしかたない)省略であり、しかもそのフレームを後から見れるよう、アンダーパネルを透明パーツとしているところも配慮が行き届いている。

ベアシャシー状態の作例の方には、省略されたフレームを一部追加したが、実際はもうすこし複雑なものとなる。また、この追加フレームの取り付けのため、フレームを台に固定して歪みが出ないように組み立てたが、フレームの追加をせず、普通にボディに組み込むだけなら、このような配慮は不要である。エンジンや足周りも少ない部品で十分な表現がされており、これはインテリアも同様だ。ドアの開閉機構も、エッチングパーツなどを用いずプラパーツだけで構成しているのが好ましい。

開閉部のフィッティングも最高!メッキパーツの塗り分けには注意
組み立て作業そのものも、実車のアッセンブリーをトレースしているようで楽しい。そして、ここがこのキットの凄いところだが、今回の作例では仮組みはほとんど行っていない。にもかかわらず、何ら問題となるところはなかった。普段であれば、やれ『チリが合わない』とか『パテを使わなければ段差が消せない』とかいったことが当たり前のようにあるのだが、このキットにそうした問題は皆無である。

作例ではA、Bピラー間のランナーを、ボディを仕上げる段階まで取り除かなかった。これはボディの破損を危惧したためだが、逆にドアのフィッティングが確認できないということでもある。しかし、実際に最終段階でボディを組み合わせてみるとまさにドンピシャ!『凄い』のひと言につきる。

制作にあたっての注意としては、ダッシュとホイールキャップにボディカラーで塗る部分があるが、ここはエナメルを使用したい。ラッカー系ではメッキを傷めるからだ。逆に言えば、これくらいしか注意するポイントはない。と、良いことづくめのキットだが、一箇所だけ気になったことがある。シート後の部分(ラゲッジスペース)の奥行きが少々深すぎるのでは? と思うのだが、気のせいかしら」

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars vol.229より再構成のうえ転載

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