富士スピードウェイで開催されるイベントといえば、スポーツカーや旧車の集まりを想像するだろう。ところが、会場を見渡すと「どこが珍しいの?」と思うフツーのクルマが並んでいる。で、その奥にはパトカー、救急車、消防車、タクシーにバス!? なんなんだ、このイベントは!
2023年10月14日に富士スピードウェイP7駐車場で開催された「第14回自美研ミーティング&第2回商用車ミーティング関東」には300台を超えるクルマたちが集まった。ところで……
「自美研……ジビケンって何だ?」
主催の自美研とは自動車美術研究室の略で、その正体はミニカーやカタログ、そして実車を美術として愛する元・美大生。彼を中心にSNSを通じて輪が広がり、自美研ミーティングというオフ会を主催していたが、やがて社会人になり参加者も爆発的に増え……そして昨年は念願かなって富士スピードウェイで開催。今年は千成バスが開催する「商用車ミーティング関東」とジョイントして、さらに盛大になった。
「バス会社と共同開催!?」と驚き、実は千成バスは会社ではなく引退した旧型バスを自家所有して動態保存している個人と聞いて2度ビックリ!
そんなヤバい人たちが主催するイベントに集まるクルマたちが、どれだけ濃くてマニアックで変態か想像つくだろう。それでは会場で気になった車両たちを紹介していこう。
主催の自美研氏が「フツーに見えて全然普通じゃない車がたくさん」と言うように、ここに並んだクルマたちは、見る人が見れば違いがわかる欧州仕様。日本未発売の並行輸入車から、苦労して輸入した部品を装着した車両まで、異国情緒を醸し出していた。
30系セルシオが並んでいるぞ。一般人にとって珍しくないようでも「このボディカラー珍しい!」「グレードで装備が違う」と盛り上がる。ミニカーのバリエーション違いを研究するように原寸大を比較して研究するのが楽しい。
【写真22枚】超々々マニアックなミーティングの全貌をみる
スーパーの駐車場に止まっていたら素通りしてしまう地味なライトバン。けれど、すぐに車名を当てることできますか? 実際に見たことがある人は殆どいないはず。このヒュンダイi40エステートは韓国車で、さらに英国仕様。オーナーは年に何度も韓国へと足を運ぶほどの韓国車ファン。
2代目プリウスのおかげで一般的になった5ドアハッチバック。ヨーロッパでは定番のボディスタイルも、なかなか日本では浸透しなかった。おかげで今では超希少車となってしまった5代目と6代目に存在していたスプリンターが並んだ。
つい最近、バッテリーのサービスキャンペーン終了がアナウンスされた初代プリウス。旧車と呼ぶには新しいようで、絶滅危惧種に。「そういえば、最近、見ないな~」と思った人も多いはず。トヨタが誇る20世紀の名車だけに、いつまでも走り続けて欲しい。
ここからは、商用車ミーティング関東にエントリーしていた車両たちを紹介。主催者が路線バスを保存しているだけあって、全長12メートルの観光バスから、7メートルの路線バスまで大集合。決して、バス専用駐車場で撮った写真ではないのだ。
黒いキャラバンを見て「これのどこが珍しいの?」と思うでしょう。なんと12人乗りのマイクロバスなのだ。2ナンバーなので普通免許では運転できず、オーナーはこのクルマを購入するために中型免許を取得したそうだ。
空に向けてハシゴを延ばしていた大迫力の30m級梯子消防車も自家所有。しかも、「♪ドドドドドドピョピョピョピョピョピョ」とトラック野郎な走行音で、車体の各部には電飾が組み込まれている、唯一無二のデコトラ消防車だ。
本物のアメリカンパトカー、フォード・クラウンビクトリアも参加。日本と違ってアメリカでは役目を終えたパトカーの払下げが購入できるのだ。取り外されていた車内の装備も忠実に再現。制服姿のオーナーもキマっていた。
はたらくくるまマニアが集まるミーティングだが、最新型クラウンの個人タクシーはコスプレではなく、導入されたばかりの本物だ。3代目クラウンのタクシー仕様と並んで、クラウンの進化を研究した。
セダンのガルウィング!? いえいえ、こちらは文金高島田の花嫁さんが乗り降りしやすいようにとルーフが開閉するように製造された「ブライダル仕様」と呼ばれる元タクシー。クラウンコンフォートとセドリックが競演。
タクシー用として開発された日産クルーは、一般ユーザー向けにも市販され、パトカー仕様も製造された。自美研ミーティングに参加した「走り屋」仕様と劇用車として活躍する「パトカー」仕様が競演。同じクルマでずいぶんと雰囲気が変わるものだ。