50年前のデカールを貼って作る、あの(どの?)劇中車!MPC製プラモ「サンダー・チャージャー」【モデルカーズ】

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カスタマイズはあのジョージ・バリスが担当

ダッジ・コロネットのシャシーを流用し、流麗な2ドアクーペ・ボディを載せたチャージャーがデビューしたのは、1966年シーズン中盤でのことだった。この初代チャージャーの1967年型をベースに、同年の映画『Thunder Alley』の劇中車としてジョージ・バリスがカスタムしたのが、今回採り上げた“サンダー・チャージャー”だ。

【画像24枚】1967年をダイレクトに感じさせてくれる作例を細部まで見る!

この映画は日本では劇場未公開だが、テレビで放映されたことがあり、その際のタイトルとして『大暴走』という邦題が存在するようだ。作品としては、ストックカーレースとスタントカーショーを背景とした、アクションありロマンスありのB級(C級?)映画と表現すれば間違いではなさそうである。

主演のファビアン(別名ファビアーノ・フォルテ)は男性アイドル歌手、相手役のアネット・ファニセロは多くのディズニー作品に出演した女優/アイドルで、『ミッキーマウスクラブ』(TVショー)初期のメンバーとして知られる。監督のリチャード・ラッシュは、自動車やバイクに絡んだアクション映画に縁が深いようで、『爆走! ヘルズ・エンジェルス』『フリービーとビーン 大乱戦』といった作品を手掛けており、特に後者は、石原プロの『大都会PARTⅡ』に影響を与えた映画として一部マニアには有名だ。

サンダー・チャージャー最大のカスタマイズ・ポイントはルーフをタルガトップとしたことで、これによりキャビン部は片持ち梁のような形状となった。また前後オーバーハングが延長され(フロントが8インチ=約203ミリ、リアが6インチ=約152ミリ)、これによってボディ後半はチャージャーⅡ(チャージャーの基となったコンセプトモデル、1964年発表)を思わせるルックスとなっている。

リアフェンダーにはブレーキ冷却用エアスクープ(実際に機能する)が設けられ、リアウィンドウ後ろには小さなスポイラーを装着、これは室内から角度を調節できる仕組みだった。ボディはブロンズ味のあるパールホワイトで、映画で使用された時点での側面グラフィックはキャンディレッドとクリアーブルー、そしてホワイトの3色構成である。エンジンは426 HEMIを搭載していた。

映画と異なるサイドグラフィックだが、そのまま制作
さて、初代ダッジ・チャージャーの1/25スケール・プラモデルには、2000年頃リリースのレベルのキットがあるが、当時モノのアニュアル・キットとしてはMPCのものが存在する。そして同社は、サンダー・チャージャーもリリースしていたのだ。ここでご覧いただいている作品は、そのサンダー・チャージャーをほぼストレートに制作したもので、自動車模型専門誌「モデルカーズ」269号(2018年)に掲載された作例である。以下、作者・畔蒜氏による解説をお読みいただこう。

「キットは同社の1967年型アニュアルキットをベースにボディを改修したもので、エンジン/シャシー周り/室内はそのまま。実車が活躍するのは『Thunder Alley』という映画だが、このクルマは主人公の愛車として冒頭とラストに登場するものの、物語を左右するほどの存在ではない。不思議なのは、このクルマのデコレーションが、キットのようなサイケなパターンではなかった点。

映画では大きく赤/白/青に塗り分けられ、「Dodge THUNDER CHARGER」の文字が入っている。キットと同じデコレーションになっていた時期はあったようだ。1970年代のものらしきポストカード状の実車写真を入手したのだが、そこではこのサイケ・グラフィックになっている。映画の公開後に変更し、ショーカーとして活躍したのだろうか? この車両が現在どうなったかは不明だ。

ボディは独特のスタイルをよく再現している。伸びたリアフェンダーはまさにチャージャーⅡで、バリスがインスパイアされたのは間違いない。チャージャーⅡのフロントは当時の常識的な形状だが、対して、前後を同じように延長するバリスの発想が素晴らしい。フロントフェンダーの『426 HEMI』バッジやドアノブは残ったままだが、実車にこれらはない。リアフェンダーのスクープはストックにおけるダミーのままだが、劇中車は後輪のブレーキ冷却のため縦に長く開口されていた。

ルーフは透明のデタッチャブルトップで、キットにもクリアーパーツで付属するが、合いがイマイチで作例では使わなかった。エンジンフードのインテークは別パーツ。接着後、内部を開口した。ボディはパールホワイトだったらしいが、白をそのまま塗った。件のポストカード的な写真の裏には実車の仕様について細かに書かれていたが、入手したのが制作終盤だったため、作例に充分反映させられなかった。グラフィックと一緒に塗装も変更された可能性はあるが……。

そのサイケなグラフィックは左右各1枚もののデカール。さすがに1967年当時の品なのでヒビ割れだらけだが、全体にマイクロリキッドフィルムをたっぷり塗って補修した。グッドスマイルの強力ソフターを使ってやっと馴染ませたが、ヒビが残ったので、色合わせして塗料でタッチアップ。クリアーコートして磨いたが、やや凸凹が残ったようだ」

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=服部佳洋 modelcars vol.269より再構成のうえ転載

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