模型になってもひたすらスタイリッシュ!レジンキットで味わう「フロンテクーペ」後編【モデルカーズ】

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適宜取捨選択するのが上手く作るコツ

スズキ・フロンテクーペの実車と、1/24スケールのスペシャル・キットについては、前編の記事(下の「関連記事」参照)にて、すでに述べた。ここでは作例の作者・北澤氏による解説を、以下お読みいただこう。

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「フロンテクーペは1970年代の軽スポーツ・ブームを代表する名車のひとつだが、1/24のまともなプラモデルはこれまで一度も発売されたことがなく、長年キット化が熱望されていた。そんな声に応えてくれたのが、北海道のスペシャル・キットメーカー、SMP24だ。70’sスーパーカーの1/24キットを精力的に送り出しているSMP24のサブ・ブランド『さぶろく模型化計画二四』からリリースされたこのキットは、的確に再現されたプロポ-ション、精密なインテリアやシャシーのディテール、豊富なエッチングなど、いわゆるガレージキットの枠を超えて工業製品的な趣を持っている。

ただし、あまりにもディテールのリアリティを追求し過ぎたせいか、作りやすいとは言い難いのもまた事実。素直に説明書通りに作ろうとすると、自動車プラモデルに相当慣れている手練れでも苦戦は必至だ。そういう意味ではやはり、ガレージキットならではの取っ付きにくさを持っているキットだとも言えるだろう。

この手のキットに取り組む場合、そもそも素直に説明書に従う必要は無いのであって、自分なりに使えそうなところは使い、使えなさそうなところは使わない、という大胆な取捨選択が必要だ。その上で自分が作りやすいように構成を変えてしまえば良いのである。

このキットの場合はドア周りのサッシが難物で、非常に細いエッチングのサッシで内外から塩ビのガラスを挟み、ほとんど接着シロのないボディの窓開口部に嵌め込むという構成、しかもその周りの糸みたいに細いメッキモールも別パーツである。塗装後にこの組立をキレイにやってのけるなど、常人にはおそらく不可能だろう。

キットの作りにくさとアクシデントへの対処は、いずれも冷静に!
そこで作例では、エッチングのサッシは外側だけ使って内側は無視し、サッシもモールも塗装前に全てボディに接着することにした。塩ビの窓ガラスは内側から嵌められるので問題は無い。メッキの部分は塗装を剥がして金属面を露出させる。これは筆者が慣れ親しんでいる1/43レジンキットでは珍しくないやり方だ。窓周りがボディのディテールの中に違和感無く溶け込み、自然な雰囲気になるのが長所である。

しかし、この方法にも思いがけない落とし穴が……レジンとエッチング(ステンレス)では熱膨張率が著しく異なり、寸法の大きな1/24では当然その影響も大きいのである。クリアーコート後に乾燥機で加熱したら、エッチングが全部浮き上がって剥がれてしまった! 当然、塗装も傷んでしまい、最初からやり直しである。2度目の塗装では用心して室温で乾燥させたので、剥がれは起こらなかった。

この他、あちこちに作り手の熱い情熱の暴走が散見されるものの、フロントグリルやインテーク、アウトレット、灯火類などのシャープなモールドは非常に見応えがあり、完成すると普通のプラモデルを凌ぐリアリティを醸し出す。手間をかけて作った甲斐があった、と思わせてくれる好キットであった。ようやく1/24のフロンテクーペを手にする事が出来て感無量である。メーカーに感謝と讃辞を送るとともに、『さぶろく模型化計画二四』のこれからにも大いに期待したいと思う」

作例制作=北澤志朗/フォト=服部佳洋 modelcars vol.230より再構成のうえ転載

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