約400万台が生産されたという大ヒットのミニカー
今回は、コーギーの大ヒット作No.261 ジェームズ・ボンド アストンマーティンDB5をご紹介します。
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1964年に放映された映画007シリーズ第3作「ゴールドフィンガー」に登場したジェームズ・ボンド役の、ショーン・コネリーのボンド・カーのミニカーです。映画では多様なギミックを装備したボンド・カーでしたが、コーギー製のボンド・カーでは、ルーフが開いて助手席の悪役が外に放り出されるイジェクトシートと、フロントのスモールランプからの機関銃並びにバンパーのオーバーライダーが飛び出し、リアウィンドウ下部から防弾プレートが飛び出すギミックが装備されていました。
映画上映中に発売するため大急ぎで開発生産されたと言われ、同社の1960年に発売された、初めてボンネットが開閉し、細部まで再現されたエンジンを装備したNo.218アストンマーティンDB4の金型をベースに、ボンネットの開閉&エンジン装備のギミックをカットし、急遽フロントマスクをDB5に作り直し、上述のギミックを装備して1964年9月の映画放映開始の翌年1965年に製品化されるという、極短期間にて企画開発されたミニカーでした。
小ぶりなDB4のボディに上記の機械式アクションを見事に組み込んだ仕様は感動的な作りです。尚、テールランプはDB4のままで、フロントのヘッドライト下の左右2連のウィンカーの外側部分の造形も残ったままでした。また、実車はフロントのスモールライトのレンズが開閉して機関銃が飛び出しますが、ミニカーでは寸法等の制約から、ラジエター・グリル両端に穴を開けてバンパーのオーバーライダーと一緒に機関銃が飛び出る構造になっています。
尚、映画では、シルバー メタリックのボディ・カラーが何故かゴールド メタリックに塗られて発売されました。大量生産のため金型を作り直したようで、シャシーには、トランクのスペアタイヤの丸い膨らみの高さの違いが確認され、フロントマスクの造形を作り直した金型も確認されており、ヘッドライトの造形が異なり、前述のDB4時代のスモールランプの名残も消滅しています。
その後、No.270として1968年にデビューした新規にギミックを増やしたニュ―・ボンド・カーとバトンタッチするまでに約400万台が生産されたという大ヒットとなりました。一方、ニュー・ボンド・カーは、初めからギミックを実現させるためにボディをやや大きく新規に製作し、リアのホイール スピンナーが伸び、前後のライセンスプレートが回転して異なるライセンスプレートが表示出来るようになりました。ボディ・カラーも実車同様にシルバー メタリックに変更されました。
一般的には、ギミックが追加されたニュー・ボンド・カーの方の人気が高いようですが、ギミック優先のためDB5のプロポーションが崩れ、ワイドトレッド化されているため、私は、DB5のミニカーとしては、初期型のプロポーション及びヘッドライトとラジエターグリルのフロント回りの造形がとても気に入っています。