このデカールをどうやって密着させればよいのか!?アオシマ製「一番星 御意見無用」を作る!第5回【CARSMEET モデルカー倶楽部】

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おそらくこのキット最大の難関

アオシマの『トラック野郎』シリーズから、映画1作目『トラック野郎 御意見無用』の一番星号を作っていきますぞという企画、第5回目である。

【画像23枚】困難を極めたデカール貼りの様子を見る!

前回すこし述べたデカール貼りを、今回は細かく説明していこう。実は当キットの一番の難関と思われるのが、このボデーのデカールである。ボデーパネルには一面にリブやリベットがびっしりと、しかもかなり立体的にモールドされており、そこへデカールを馴染ませないといけないからだ。これは他の一番星キットにはない特徴である。というのはつまり、映画2作目からはベース車両が変更されているからで、他のキットではリベットが並んでいる部分はあるものの、パネルパーツの大半は平面となっている。

組み立ての当初からその難しさは予想できたので、デカール貼りをスムーズに行うための対策を色々と考えた。まず、パーツは先にシルバーで塗装し、パネルを組んで箱の状態にしてからデカールを貼ること。これは以前にも説明したが、貼ってから組むのでは接着剤などでデカールを汚してしまうことが考えられるからだ。デカール貼り前なら、修正はまだ楽である。また、箱組みする際にテープで仮止めするのも、デカールが張ってある状態では躊躇われる。

そして、ここが意外と重要なのだが、ボデーを組んでもルーフは接着しないこと。デカールを押し付ける際などにパネルを裏から手で押さえるためである。後部から手を突っ込んで……というのは不可能だ。もしスケールが1/24以上であればそれも可能かもしれないが、このキットの大きさでは無理である。結果として、ルーフを接着しなかったのは大正解だった。綿棒で押し付ける工程は想像以上に多く、これを裏から押さえずに行った場合は、せっかく組んだボデーがミシミシ言って壊れてしまったことだろう。

マークソフターを大胆に使って馴染ませる。ただし必ず事前にテストを!
デカール貼りにあたっては、やはりケミカルを使用して密着させることとなる。筆者はGSIクレオスのMr.マークソフターとMr.マークセッターを使用したのだが、特にマークソフターの使用は必須であろう。念のため説明しておくと、マークソフターは軟化剤でありデカールを柔らかくするもの、マークセッターは軟化剤成分も含んでいるがあくまでデカール接着剤(糊)である。

それまでの細部デカール貼りから、このキットのデカールがかなり強いものであることは分かっていた。メータークラスターのデカールなど、なかなかモールドに密着しないため何度もソフターを塗ったのだが、それでもビクともしなかったからである。しかしこれは、筆者の使っているマークソフターが古く、中身が劣化しているためとも考えられる。また、デカールの方もロットによって違いはあるかもしれない。そのため、この記事を参考に作業を行おうという方は、不要なデカール(品名ロゴ部分など)を使ったテストをぜひ実行してからにしていただきたい。そうでないとデカールを溶かしてしまう事故も起こりうるからだ。それを念頭に置いた上で以下の説明をお読みいただこう。

ボデーへのデカール貼りにあたっては、まずデカールを所定の位置にスライドさせたあと、その上にマークソフターを水たまりになるくらいに塗ってひと晩放置する、というやり方が効果的であった。これによりかなりモールドに密着する。筆者はこれを3、4回実行したが、効果はあまり変わらなかったので、2回も行えば充分だっただろう。

ソフターでも馴染まない部分は?
それでも浮いている部分は、リブのモールドの谷カド(凹断面のカド部分)に沿ってナイフで切込みを入れ、マークセッターを流しながら綿棒で押さえて密着させていく。あまり切込みを入れたくはないが、綿棒で押さえるだけだと(ソフターを使っていても)デカールが裂けるので、結局はこの方法が早い。筆者はこの作業を、デカールがかなり乾いてから行ったのだが、もっと早くにやったほうがよかっただろう。たとえば、ソフター攻撃2回目で馴染まない部分は、すぐにこのやり方で密着させていった方が、結果としては早かったと思われる。

クレオスのマークソフターよりも強力なものが某メーカーより出ていたということだが、今回は残念ながら入手できなかったため、試すことは叶わなかった。あるいはこれがあれば作業がもっと楽だったかもしれないが、強すぎる軟化剤はデカールを溶かすので、どうであったかは分からない。切込みを入れて目立つ部分や裂けた箇所は、下のシルバーが露出してしまうのでタッチアップが必要となるが、いずれにしろデカールでカバーしきれない部分は残るので、筆塗りで補う作業は必須である。

こうしてなんとか密着させたデカールだが、仕上がりはやはりあまり綺麗なものとはならなかった。やはり何度もソフターを塗り、乾いてしまってからも切込みを入れて……と、手荒い扱いになったのがよくなかったのであろう、デカールが全体に荒れてしまっている。パッと見た印象では悪くないのだが、完成状態を撮影して写真になったときにどう見えるか……ちょっと怖いものがある。

できればパーツのモールドをもうすこしマイルドにしておいて欲しかったが、一番星仕様専用のパーツではないので、それも難しかったのだろう。デカールを貼る前に、モールドを潰しきらない程度にサンドペーパーで削っておく、というのもあるいは手であったかもしれない。先に思いついていればよかったが……。

作例制作・写真・文章:秦 正史 Ⓒ東映

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