国際免許の取得時に前倒しでゴールド免許への更新が可能!
クルマを運転するとなると、どうしても必要になるのが運転免許証です。ドライバーなら誰もが持っている免許証ですが、免許証には意外と知られていないことがあるのです。
まず、最初にお知らせするのが免許証番号の秘密です。免許証番号は12ケタの数字で構成されています。この12ケタの数字は最初に免許を取得したときに割り振られて、免許を失効して再取得しない限りこの番号は一生変わらず、お付き合いすることになります。説明しやすいように仮に免許番号をABCDEFGHIJKLとしましょう。
12ケタの数字のうち、もっとも左の2ケタ(AB)は最初に免許を取得した都府県を表しています。北海道だけは取得した地域によって異なる番号(10~14)が振り分けられます。東京は30という番号なのですが、31~39は番号があいていて、茨城が40となっています。このあと説明する3ケタ~10ケタ(C~J)が個別番号で、1億とおりの数字があります。おそらく、この数字を使い切ったら31が登場することになるのでしょう(これはあくまで予想です)。
左から3ケタ~10ケタ(C~J)までは振り分けられた個別番号です。11ケタ目(K)はちょっと変わっていて、3ケタ~10ケタの数字を特殊な計算方式で算出された数値で、3ケタ~10ケタの数値が正しく入力されていることを確認するために使われているものです。
左から11ケタの数字は変わらないものなのですが、一番右の(L)はある条件で変わっていきます。それは紛失による再発行です。誰もがLの部分は最初は「0」です。免許証を落とすなどしてなくしてしまい、再発行した場合は「1」となります。
交付年月日の横にも5ケタの数字が記載されています。この5ケタ数字には、どこの免許センターか? 受け付け番号は何番か? などの情報が含まれていますが、都道府県によって基準がまちまちで全国統一の規則はないといわれています。
以前、免許証には本籍地が表示されていましたが、現在は本籍地の表示はされていません。これは個人情報の保護のために行われている措置です。本籍は出自(生まれたところ)であることが多く、出自によって差別を受けることがないようにという配慮です。とはいえ本籍は自分で選ぶことができるので、市区町村役場で手続きをすれば変更が可能なので、本籍が出自であるとは限りません。
免許証には本籍地が表示されていませんが、本籍地情報がないわけではありません。本籍情報はICチップのなかに記録されていて、免許取得時や更新時に設定した暗証番号を使って呼び出すことができます。暗証番号は1と2があり、暗証番号1では本籍と写真以外の券面情報、暗証番号2では本籍と写真が確認できます。
呼び出しに必要な機器は、NFC(近距離無線通信)機能のあるスマートフォンとアプリ。アプリは無料でダウンロードできるものがあります。とはいえ、じつは暗証番号を忘れてしまっている人も多いといいます。暗証番号の入力を3回間違えるとロックがかかっていまい、警察署や運転免許試験場に出向かないと解除ができない仕組みです。もちろん入力前に出向いて、照会することも可能です。
運転免許は決められた期限がきたら更新手続きを行わなくてはなりません。更新期限は当該年誕生日の1ヶ月後で、免許に記載されています。期限は誕生日の1カ月後ですが、更新は1カ月前より行うことができます。つまり更新期間は2カ月です。
更新時に気になるのが、ゴールド免許になるかどうか? ということです。一般的にゴールド免許は、5年間無事故無違反が条件と言われていますが、正確にはもっと複雑な仕組みになっています。まず5年というのはいつからさかのぼってなのか? ということです。これは免許を更新する年の誕生日から40日前を基準日として、その日より前の5年間ということになります。免許の更新が誕生日の1カ月前から行えるので、データを確実に把握できるためなのでしょう。
また重大違反教唆幇(ほう)助や道路外致死傷をしたことがなく、危険運転致死傷罪を犯していないということも条件になっています。重大違反教唆幇(ほう)助というのは、自分が運転していなくても運転者に重大な違反をさせたり、違反していると認識しているのに止めなかったりすることをさします。道路外致死傷というのは、道路以外の場所(港湾や工場内など)での致死傷のことです。
ところが免許更新時以外でもゴールド免許になることがあります。それは上位免許を取得したときです。上位免許の取得とは普通免許を持っている人が、大型免許を取得することなどです。この取得タイミングで5年間無事故無違反ならば免許はゴールドになります。
とここまでは、意外と知られていることなのですが、じつはもうひとつ方法があります。それは国際免許(正式には国外運転免許証という)の取得です。国際免許を取得した際に、国内の免許の有効期限が1年を切っている場合、前倒しで免許の更新ができるのです。筆者はこの方法で、ゴールド免許を取得しています。
1のブルーの免許証の有効期限は平成20年3月12日ですが、2のゴールド免許は平成19年5月30日に交付されています。通常の更新期間は1月12日~3月12日ですから、普通に考えればこの期間で更新はできません。筆者は最後の違反が前回の免許更新直後だったことを覚えいたので、平成19年5月30日に国際免許を取得し、同時に国内の運転免許証を更新してゴールドとしたわけです。上位免許の取得、国際免許取得による前倒し更新は、条件が揃えばゴールド免許にすることができますが、紛失による再発行はゴールド免許にはなりません。
もちろん最後の違反が5年以上前である必須条件です。自分の違反については自動車安全運転センターで「累積点数等証明書」を発行することで調べられます。発行手数料は1通につき670円(消費税非課税)です。ゆうちょ銀行・郵便局の払込みにより申込む場合は、別途、払込料金が必要となります。
ところで、国際免許はどこの国でも有効なのでしょうか? じつは国際免許はジュネーブ条約に批准した締約国と特別行政区などで有効な免許となるため、中国などでは運転することはできません。ドイツもジュネーブ条約には批准していないのですが、日本の免許証、国際免許、免許証のドイツ語訳を所持していれば運転することができます。免許証のドイツ語訳は、ドイツ大使館や総領事館、ADAC(ドイツの自動車連盟で日本のJAFに相当)などで受け付けています。また、ハワイでは国際免許がなくても、日本の免許とパスポートを所持することで運転が可能ですが、トラブルの際に警察官が日本の免許を理解できないこともあるので、できれば国際免許を取得しておいたほうがいいでしょう。ハーツレンタカーなどでは、運転免許証の無料翻訳を行っているので、こうしたサービスを利用することもできます。
さて、免許証がらみの話で今もっとも話題となっているのが、マイナンバーカードと免許証の一体化です。現在、マイナンバーカードは希望者にのみ発行されるもので義務ではありませんが、厚生労働省は2024年秋からマイナンバーカードと健康保険証を一体化するとしています。日本は国民皆保険制度で、すべての国民が何らかの健康保険に加入しています(はずです)。ということは、2024年秋からは事実上マイナンバーカードは義務となります。
運転免許とマイナンバーカードの一体化については2022年3月の閣議決定で決まっていて、2024年度末の運用を目指すとされていましたが、デジタル庁の河野太郎大臣はさらに前倒ししたいという意向を示しています。デジタル庁としては、デジタル化の加速をアピールしなくてはならないので、こうした意向となるのでしょう。実際に可能か不可能かは別にして、いずれはマイナンバーカード、健康保険証、運転免許証は一体化されることになるのでしょう。
マイナンバーカード、健康保険証、運転免許証のいずれも更新が必要なものです。マイナンバーカードの更新は登録時に未成年なら登録日から5回目の誕生日ごと、成人は10年目の誕生日ごとです。運転免許証は、3年もしくは5年です。国民健康保険は2年ごとの更新です。
16歳で原付免許を取った時に、健康保険の期限が1年だとすると、17歳で健康保険を更新。18歳で自動車免許を取り。19歳で健康保険を更新。21歳で自動車免許とマイナンバーカードの更新……と頻繁に何らかの更新が行われることになります。従来、国民皆保険は勝手に更新されて新しい保険証が郵送されてきましたが、デジタル化された健康保険証はそうはいきません。オンラインで更新できればいいですが、役所に出向くとなるとこれまた面倒です。いろいろな許可証を一体化するのであれば、更新タイミングなどもシンクロさせていかなければ、利用者は面倒になるばかりです。
不便なことばかりに見える一体化ですが、じつは筆者は期待していることがあります。従来、自転車の取り締まりを行っても、身元の確認が難しいため違反金や罰金などを科すのが難しいとされてきました。マイナンバーカードが事実上の義務化となったなら、自転車運転時にはマイナンバーカードの携帯を義務化すれば、取り締まりがやりやすくなり、交通違反をする自転車の数を減らせるのではないか? という希望的観測です。免許が不要で乗れる電動キックボードなどの取り締まりもキッチリできるようなるはずです。