みんなの窮地を救ったヒーロー!インディ500ペースカーで有名な「1972年型ハースト/オールズ」のレベル製プラモ【モデルカーズ】

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2年の空白ののち復活した内規破りの暴れん坊

高品質なシフターで名高いハースト・パフォーマンス・プロダクツ。当コーナーでもすでにご紹介しているAMCのSC/ランブラーやTHEマシーン、あるいはクライスラー300などで自動車メーカーとのジョイント企画を実現させているハーストだが、中でも、その名を直に冠したコラボレーションとして知られるのがハースト/オールズだ。

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「オールズ」の名で分かるように、これはオールズモビルをベースとした企画だが、具体的には、インターミディエイトの4-4-2が元となっている。この頃のオールズモビルには、フルサイズの98/デルタ88/デルモント88、同じくフルサイズながら設計を異にするFFのトロネード、インターミディエイトのカトラス・シュプリーム/カトラスS/カトラス/F-85 などがあったが、4-4-2はこのカトラス系のクーペとコンバーチブルをベースとしたハイパフォーマンスなモデルであった。

オールズモビルのスポーツ・イメージを高めるべく企画されたハースト/オールズは、1968年モデルで登場した。4-4-2が本来搭載する400-cid(6.6L)に替えて、元来カトラス系には設定のないトロネード用455-cid(7.5L)エンジンを搭載するのが最大の特徴で、最強バージョンでも360hpであった400に対し、455は390hpとなる。これは当時GMにあった内規の、「ミッドサイズ車のエンジンは最大400-cidまで」とする禁令を打ち破るものでもあった。ミッションはターボハイドラマチック3速AT、もちろんハースト製シフター(デュアルゲートシフター)を持つものが組み合わされている。

1968年型ハースト/オールズのボディカラーはペルビアン・シルバーにブラック・ストライプだったが、翌年型ではホワイトのボディにファイアフロスト・ゴールドのストライプとなり、このホワイト/ゴールドのカラーリングは、以後ハースト/オールズのトレードマークとなる。

ただし、続く1970、1971年型には、ハースト/オールズは存在しない。セールス的には成功とは言い難いモデルだったため一旦消滅していたのである(代わりに4-4-2に455が搭載されるようになった)。ハースト/オールズは1972年型で突如復活するのだが、これにはとある事情があった。1972年型ハースト/オールズは同年インディ500のペースカーを務めたことでも有名だが、そもそもそのために生まれたのがこの年のハースト/オールズだったのである。

その原因とは、前年のインディ500で、ペースカーのダッジ・チャレンジャーが大事故を起こしたことであった。29人の負傷者を出す一大アクシデントであったが、これを理由として、自動車メーカーはいずれもペースカーの提供に及び腰となったのである。そのため、ハースト・パフォーマンスが仕立てたハースト/オールズがペースカーを務める形に落ち着いたのであった。

エンジンは変わらず455を搭載、3速ATのターボハイドラマチック400(もちろんハースト製デュアルゲートシフターを採用)と組み合わされた。最高出力は250hpが標準で、オプションで300hp仕様も選ぶことができた。1968-1969年型と比べると大分落ちた数字であるが、これは出力がNET表示となったためもある。ハードトップのほかコンバーチブル、さらにワゴンもあったが、生産台数は合計で630台ほどとなる。

残念ながらT字型シフターのパーツは付かない…
1972年型オールズ4-4-2はジョーハンでプラモデル化(1/25スケール)されていたが、スポーツクーペのみであり、しかもハースト/オールズは存在しなかった。そこを新たにキット化したのはレベルで、リリースは2010年のこと。ボディはコンバーチブルで、ハースト/オールズだけでなく4-4-2にも組める内容となっていた。ここでお目にかけているのは、自動車模型専門誌「モデルカーズ」の176号(2010年)に掲載された、このキットの作例であるが、詳細については以下、作者・畔蒜氏による解説をお読みいただこう。

「レベルのニューキットは完全な新金型。今なぜこのオールズかは謎で、しかもコンバーチブル。今後ハードトップを期待したいところだ。ボディ形状は全体的に固いイメージがあるが、アウトラインの捉え方はおおむね良好である。少々気になるのが、エンジンフードからフロントグリルのラインのアールが大きな点。グリルやヘッドランプの位置がわずかに下がりすぎの感じがする。また、ドア直後のリアフェンダーの立ち上がりも強調しすぎか? 作例では一切手を加えていないので、実車の写真と見比べて頂くと面白いだろう。

ハーストといえばT字型のシフトレバーを真っ先にイメージするが、キットには残念ながら球状のシフターが付くのみ。デカールはハースト・ゴールドの専用ストライプになっているが、オプションのインディ500ペースカーのレプリカ・デカールが付かないのが惜しまれる。シャシー、足周りもそのまま組んでみたが、トレッドやホイールベースは問題ない。4点接地も良好だが、車高がやや高い感じがする。ホイールの固定には金属製のリベットを使うようになっていて充分な強度が得られるが、ホイールを回転させようとするとタイヤがグラつくので、作例では固定している。

455ロケット・エンジンはなかなかリアルなモールドで、補器類も要領よく別パーツになっており、ミッションはマニュアルとオートマが選べる。デスビが奥まっているので見づらいのが惜しいが、プラグコードを追加した。ボディカラーはハースト/オールズに1色だけ設定されたCameo White(カラーコード11)である。実際のGMのカラーチップがe-bayに出ていたのでこれを入手してみたが、意外に濃いアイボリーホワイトであった。カラーチップの退色の可能性もあるが、ホワイトというよりベージュに近い色調である。

ホワイトをベースに微量のレッド、ブラック、イエローで同色に調色してから、ホワイトで倍に薄めて(明るくして)塗装した。ゴールドストライプはデカールを貼った後、軽くクリアコートした。特にトラブルはなかったが、クリアの厚塗りはクラックの入る可能性があるので、注意が必要。ハースト/オールズのインテリアは黒のみ。内張りなどのウッドパネルはデカールが付属する」

作例制作=畔蒜幸雄/フォト=羽田 洋 modelcars vol.176より再構成のうえ転載

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