憧れを形にしたナガノ製ケンメリのノーマル戻し
四代目スカイライン、通称ケンメリの実車とその限定車GTX-Eゴールドカー、そしてそれを再現したプラモデル作例については、すでに前編の記事(下の「関連記事」参照)において述べた通りだ。この作品は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」297号(2021年)のスカイライン特集にて掲載されたものである。ここでは、その時の誌面に掲載された作者・坂中氏による説明をお読みいただこう。
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「今回はナガノ1/20のケンメリをベースに、スカイライン誕生20周年記念限定車である“ゴールド・カー”を制作してみました。同社1/20スケール・キットをリアルタイムで体験したのは1976年、ホンダ・シビックGLが最初でしたが(当時小学6年生)、箱の側面にはケンメリGT-Rやトヨタ2000GT、フェアレディ240ZGのラインナップが載っていました。あの頃からバンダイ/ニチモを筆頭にナガノやオオタキ、フジミ等の1/20スケール・キット隆盛の時代に育ちましたが、中学時代に初めてナガノのケンメリGT-Rを買いました。
当時組んだ印象としては、Rの割には腰高な感じなのが気になりました。ドアは外開き(ドア先端がボディ外側に出る開き方)、ドアノブがオーバースケールですし、タイヤ/ホイールは迫力不足、S20型DOHCエンジンもモーター内蔵で簡素な作り……。ボディの形は大変素晴らしいのに、完成すると全体に少々違和感のあるバランス、銅製ドライブシャフトがむき出しで、フロントスポイラーも少々大袈裟な出来でした。
月日は流れて1985年、ついに出逢った「モデルカーズ」誌で、ナガノ製GT-RのオリジナルがGT-Xであったと知り、箱絵の画像を見て、憧れの念を抱くに至りました。少々個人史的な話が続きますが、その後に就職で関東に移り、イベントで奇跡的にナガノ製GT-Xを入手しました。しかしながら、数年後に金欠で泣く泣く放出。手放す前に、模型の世界での相棒がGT-Xとしての主要パーツをレジン複製してくれていたので、さらに後の2015年、本誌227号の作例でこれらの部品を使いGT-Xへとグレード戻しを実現できました。そして今回再び、後期マスクでこのキットを仕上げた訳です。
後期型キットならバンダイがあるものの……
本来ならバンダイ版の後期型ケンメリをキレイに組みたかったところですが、当該キットは肝心のボディ/シャシーがなんとも……な出来で、大柄でお尻下がり、見るからに鈍重なイメージの造形でありました。ケンメリの実車は全体的に見て小顔であり、ネコのようなプロポーションと感じていますが、バンダイ版ケンメリはボディだけでなく顔も大きな印象で、リアグリルに至ってはテールライトの配置が妙に離れていて、非常に間の抜けたオカシナものとなっていました。
いくら「あばたもエクボ」という程のバンダイ・チルドレンな私であっても、巻頭作例で御覧頂くには如何なものかと感じる造形のため、ここはプロポーションに優るナガノ製にバンダイのパーツを組み合わせようと考えました。すなわち、L20Eエンジンやブリヂストン・ラジアルタイヤと後期アルミホイール、小物類をバンダイから移植し、ベストな作例にしようと考えたわけです。
編集部との相談の結果、具体的な仕様はゴールドカーのGTX-Eとなりましたが、まさに結果オーライ、リアワイパーはケンメリではGTX-E・S仕様のみの装備なので、その再現はまたの機会のお楽しみとしておきたいところ。大好きなケンメリ摸型道、まだまだ道の途中です。……金色は最強の金運上昇カラーと言いますので、モデラーの皆様もゴールドの作品にトライしてみてはいかがでしょう」