キャンピングカーのベースカーに最適! イタリア産まれの商用バン『フィアット・デュカト』の素顔に迫る!!

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国産ブランドの十八番ともいえるミニバン界に新たな刺客が登場!……と、フィアット・デュカトを見るのは早合点。実物を見ると、ミニバンどころかバンでもなく、むしろトラックの佇まい。そう、キャンピングカーのベース車として、日本に導入されたのだ。そんな素のデュカトを駆り、素顔に迫ってみた!

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小さな子どもの頃のワクワクが蘇る!

フィアット・デュカトをドライブして気持ちの中に残ったのは、なかなか楽しいクルマだな、ということだった。いや、もちろんスポーツカーのようなエキサイティングな快感を伴う楽しさ、ではない。子どもの頃の”働くクルマはカッコいい”という憧れを少し埋められるというのもある。イタリアの街角で周りを眺めれば必ず目に入るくらい彼の地の暮らしを支えているクルマの、逞しさと優しさに触れられるというのもある。だけど最も大きな理由は、広大な荷室に夢と希望をたくさん詰め込むことができて、それをカタチにするには最適のクルマなんだな、と素直に実感できたことだろう。

フィアットの商用車部門であるフィアット・プロフェッショナルが手掛けるデュカトは、人や荷物を運ぶための業務用のクルマとして、ヨーロッパではかなりポピュラーなモデルだ。が、デュカトにはもうひとつの貌がある。フロントのオーバーハングから車軸にかけてエンジンを配置しフロントタイヤを駆動するFWDであるために床が低く、室内高が稼げて車内レイアウトの自由度も高いため、キャンピングカーのベース車としても大人気なのだ。ステランティスジャパンもそれを前提としていて、デュカトの販売ディーラー5社はいずれもキャンピングカー作りに定評のあるところばかり。クルマも前の2座席まわりは装備類もかなり充実していてほぼフルスペック状態なうえ、シートも肘掛け付きの回転式とされてるのに、そこから後ろの箱の方はといえば鉄板と鉄骨が剝き出しで未塗装の部分すらあるという、キャンピングカーに架装するための仕様で販売される。後付けができない仕組みや装備は最初から盛り込み、後で無駄になってしまいそうな部分はオミットした状態。ユーザーに優しい仕様とされているわけだ。

トラックのように高い運転席によじ登ってみる。見晴らしがいいのは予想どおりだが、ダッシュ周りにもドアの内側にも小物入れやホルダーが多いこと多いこと。フロントとサイドの3面を除けば窓はすべてハメコロシの状態で、前席と後ろのハコの間を仕切る取り外しが容易そうな隔壁にも孔すらないのだが、左右のサイドミラーは巨大だしルームミラーはデジタル式だし10インチのモニターにバックカメラの映像が表示されるしで、視界に悩むこともまったくない。今回の試乗車は3種類ある車体のうち最も小さなモデルだったが、それでも全長5410mm、全幅2050mm、全高2525mmとハイエースあたりよりも遙かに巨大。にも関わらず取り回しに対して苦労しなかったのは、こうして視界が稼げていることと、最小回転半径6.3mという意外なほど小回りが効きっぷりのおかげ。

走ってみての印象も、実は結構よかった。パワートレインは180psに450Nmを発揮する4気筒2.2Lのディーゼルターボとワイドレシオな9速ATの組み合わせ。これが空荷の状態で2・1トン近い車体を期待以上の力強さで引っ張っていく。100km/h巡航どころか120km/h巡航だって可能だし、登り坂も苦にしない。架装が加わればもちろんかなりの重量増となるだろうけど、さほどの不満は感じないんじゃないか? と思える動力性能だ。

乗り心地は、この手のクルマにしては良好な部類だと思う。空荷で後ろ足のリジッドが跳ねるような動きを感じさせたりもしたが、不快な感じはしなかった。ムチッとしたシートが見た目より遙かに快適で、ロングを走っても疲れは少なそう。それに操舵量は大きいけど、見かけ以上に素直に曲がる。

つまり、僕は気に入っちゃったのだ。この白いキャンバスのようなクルマに自分の気に入った絵を描いて、日本中を旅したい……

【Specification】フィアット・デュカト L2H2
■車両本体価格(税込)=¥5,125,000
■全長/全幅/全高=5410/2050/2525mm
■ホイールベース=3450mm
■車両重量=2080kg
■エンジン種類=直4DOHC16V+ディーゼルターボ
■内径/行径=83.8×99.0mm
■総排気量=2184cc
■最高出力=180ps(132kW)/3500rpm
■最大トルク=450Nm(45.9kg-m)/1500rpm
■燃料タンク容量=75L(軽油)
■燃費(JC08/WLTC)=16.4km/L/15.7km/L
■トランスミッショッン形式=9速AT
■サスペンション形式(F:R)=マクファーソンストラット/コイル:リジットアクスル/コイル
■ブレーキ(F/R)ディスク/ディスク
■タイヤ(F:R)=225/75 R16CP:225/75 R16CP

フォト=市 健治 ルボラン2023年4月号より転載

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