西海岸カーカルチャーの一つともいえるビートルにマッチさせるために求めた、こだわり抜いたアメリカンスタイルのガレージハウス。
『ガレージのある家』と『GarageLife』は、ガレージのあるライフスタイルに特化した雑誌媒体だ。『ガレージのある家』はビルトインガレージを持つ住宅系、『GarageLife』誌は別棟ガレージをメインとしたさらに趣味性の高いもの、という区別分けをしており、1年に50棟以上の物件取材を行っているのだが、どれ一つとして同じものには出会うことはない。
ただ、カーメンテナンスを楽しむようなものや、クルマの美しさを引き立てて眺めるショーアップしたもの、自然素材を多用したナチュラルテイストやビンテージ風、クールなイメージ持つモダンなものなど、そのスタイルという面に関しては、大まかに区別することができる。ここで紹介するTさんのガレージハウスはラップサイディングの外壁やカバードポーチを有したアメリカ西海岸スタイルでまとめられた物件だ。
Tさんのガレージハウスは、『ガレージのある家』と同じ出版社から発行されている雑誌『モデル・カーズ』の鵜飼編集長からの紹介だった。Tさんは元々モデル・カーズ誌の読者であったが、手掛ける作品がしばしば誌面でも取り上げるほどのモデリングスキルを持ち、イベントにも頻繁に参加、その結果鵜飼編集長ともつながりを持つこととなったのだという。そんなTさんが素敵なガレージハウスを建てたと聞きつけ、当編集部が取材に伺うことになったのだ。
【写真19枚】まるでカリフォルニア! ビートルに似合うガレージハウス
最寄り駅まで徒歩10分程度という好立地ではあるものの、気を利かせて駅まで迎えに来てくれたTさんのクルマに乗り、ガレージハウスへと連れて行ってもらう。竣工したのは2022年6月であり、「外構はまだ完成していない部分があるのですよ」と説明してくれたTさんの言葉だけでなく、綺麗な建屋からも完成したばかりということが伝わってきた。
2台格納することができるサイズで設定されたガレージには、20歳で手に入れてから今も乗り続けていると言うVW・ビートルが置かれている。アメリカンスタイルでまとめられたガレージハウスと、とても似合っている。
「この家を建てるまでは、賃貸アパートに暮らしていました。ビートルは購入した頃は毎日走らせていたのですが、その後実家のガレージに置いていたこともあって乗る頻度も減り、いつかはマイガレージを持つ! と以前から考えていました」とTさんは話してくれた。
家族が所有していた土地を譲り受けて建てた住まいは、三方を道路に囲まれた恵まれたスタイル。当初ガレージは1台用を予定していたそうだが、コスト差や後々ガレージを増やすことの労力などを考え、2台用に変更し、プランを進めることにしたそうだ。
最近は忙しくて手が付けられないと話すプラモデルを制作するための部屋が、住まいの2階に用意されていた。壁一面にストックされたプラモデル箱は圧巻。モデラ―仲間から家の完成祝いを兼ねてプレゼントしてもらったという塗装ブースもしっかりとセットされている。
プラモデルの制作を楽しめるプライベートルーム、そして長年付き合ってきた愛車ビートルを収めるビルトインガレージという、夢に描いた希望を現実のものとしたTさんの、ガレージのある生活は始まったばかりだ。
◆Planning Data
施 主:Tさん
家 族:ご夫婦
所在地:秋田県秋田市
竣 工:2022年6月
敷地面積:374.12平米
延床面積:152.36平米
ガレージ部面積:46.38平米
構 造:木造在来工法
外装/内装仕上げ:ラップサイディング/OSB合板
愛 車:1959年式 フォルクスワーゲン・タイプ1
◆Owner’s Check
・ここがお気に入り
オーバースライダータイプのガレージドアが気に入っています。
・ちょっと失敗
窓があるので気にしていませんでしたが、ガレージに換気扇を設置
してもよかったかもしれません。
・これからの夢
ハンドツールをはじめとしたメンテナンス設備を整え、充実させたいです。
・読者へのアドバイス
せっかくガレージハウスを建てるのであれば、できる限り大きく作った
ほうが絶対にいいです(笑)
『ガレージのある家 Vol.49』掲載