ビュイックにキャデラック、メルセデスがお気に入り!? 3年ぶりにインドネシアのモーターショー「GIIAS 2022」を観た 番外編・歴代大統領専用車

全ての画像を見る

みなさんは各国大統領専用車や大使館の車両に興味はありますか? 私はすごくありまして、日本でも”外”、”領”などの外交官ナンバーのクルマを見かけるとじっと見て、何国大使館のどんな人のクルマだろうかと思いを馳せます。時々日本にないクルマやグレードを見ると心躍ります。
また、G20大阪ラウンドの時も、アメリカ大統領専用車”ビースト”のように各国首脳がどのようなクルマを持ち込んでくるのか、大使館にはどんなクルマがあるのか?興味津々で見に行きます。

【画像79枚】インドネシアのモーターショー「GIIAS 2022」に展示されていた歴代の大統領専用車はコチラ

それは海外でも同じです。国家元首や大臣クラスが移動する場面に行き合わせるとしばし予定を中断して見ています。警備が厳しくてそんなに近づけないし、その場にあまり長居できないことがほとんどですが。
インドネシアでもGIIASのようなモーターショーにはVVIPとして大統領が来場しますし、都合が悪くても大臣クラスは必ず来場するので、大統領・副大統領の場合は専用車を間近で見ようとしますし、大臣ならどんなクルマに乗ってくるのかを見に行きます。
専用車だけでなく、”お召し車列”(必ずしも本物のお召し車列ではなく、護衛付き大臣や高級官僚の車列、一般人向け有料先導車も含む)もしっかり見て撮ります。
さて、GIIAS 2022の会期中に、前月にリニューアルオープンした国営サリナデパートのエントランス広場で歴代大統領専用車展が開催されたので見に行きました。
サリナデパートは1966年8月15日にインドネシア初の国営デパートとして開業した由緒あるデパートで、ジャカルタ市内の背骨であるタムリン通り沿いにあります。
大統領専用車は全てが残っているわけではなく、大統領宮殿に保管されている個体と現役で使われている専用車だけですが、日ごろ見られないクルマばかりでした。
展示されていたのは次の7台です。

  • 1939年ビュイック・エイト(スカルノ大統領)
  •  

  • 初代大統領スカルノ氏専用車の何台かあったうちの1台です。
    関係者によると、ビュイックは一度日本に輸入されてからインドネシアに輸入されたため右ハンドル仕様だとのこと。理由は不明。同型車が3台存在するそうです。
    調べてみるとおもしろい史実が発見できるかもしれません。
  • 1980年キャデラック・フリートウッド・ブロアム(スハルト大統領、B.J.ハビビ大統領)2台
  • 本国直輸入の左ハンドル車。2台ありますがどちらも特別な改装はしていません。第二代大統領スハルト氏と後を継いだ第三代大統領B.J.ハビビ氏の専用車でした。1台は国賓の送迎用にも使われたようです。
  • 1980年メルセデスベンツ280Sガラスのみ防弾仕様(W116)(スハルト大統領、B.J.ハビビ大統領、アブドゥルラフマン・ワヒド大統領)
  • 本国直輸入の左ハンドル車。有事には車内から直接指令が発信できるよう特別な専用通信機が搭載されていたことが3本のアンテナからもうかがえます。ガラスだけ防弾とは珍しい仕様です。牛乳瓶の底のようなガラスと、合わせ面が浮いてできたアメーバか細胞の拡大図みたいな模様に年月を感じます。ポルシェ911(930)のフロントガラスにも似たような模様を目にすることも多いですね。
    ちょっとだけドアを開けて大統領が座っていたシートをチラッとだけ見せてもらいました。
  • 1982年メルセデスベンツ280Sガラスのみ防弾仕様(W126)(スハルト大統領、B.J.ハビビ大統領、アブドゥルラフマン・ワヒド大統領)
  • 本国直輸入の左ハンドル車。これもガラスだけ防弾の珍しい仕様です。合わせ面の模様はW116と同じ。現役時代のナンバープレートは”B 1”、”B 2”、”B 3”を時々使い分けていました。
  • 1998年メルセデスベンツS600L Guard(W140)(アブドゥルラフマン・ワヒド大統領、メガワティ・スカルノプトゥリ大統領、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領)
  • 本国直輸入の右ハンドル車。この時代からは右ハンドルの完全防弾仕様に。現役時代のナンバープレートは”B 1”でした。(Bはジャカルタの都市コード。ジャカルタにある1番のクルマという意味)
  • 2008年メルセデスベンツS600L Guard(W221)(スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領、ジョコ・ウィドド大統領。現役で使用中)
  • 現役の大統領・副大統領専用車でナンバープレートは”RI 1”と”RI 2”の2台存在します。
    庶民派を売りにしているジョコ・ウィドド大統領は就任当初キジャン(1977年に生産が始まったトヨタの歴史と伝統あるアジア専用車。現行は6代目)でいいと言っていたのですが、さすがにそれではセキュリティー上どうかということになり、スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領から引き継いで使っていると聞いています。
  • 実際に使用されている現役の大統領専用車
  • 他にも現存する過去の大統領専用車
  • スカルノ大統領時代の専用車が経緯は定かではありませんが個人所有になっているキャディラックです。2018年4月開催のIIMSで特別展示されていました。
  • 大統領専用車のナンバープレート
  • 特別展ではビュイック・エイトには”REP-1”、それ以外には”INDONESIA 1”のナンバープレートが取り付けられていますが、ほとんどは展示用で現役時代のナンバーではありません。いや、使われていたこともあるけれど時々変わっていたというのが正しい表現です。
    長く使われていたのは“B 1”、続いて”RI 1”です。Bはジャカルタの都市コードでジャカルタの1番という意味、RIはRepublik Indonesia(インドネシア共和国の略)です。
    この展示会以降のニュースを見ていると“INDONESIA 1”のナンバープレートが装着されてましたが、基本はRIです。
    ちなみに、大統領以下大臣の公用車にはRIで始まるナンバーが序列順に付けられています。
    護衛車列のムードと共にいくつかご紹介いたします。
  • 撮影の際には細心の注意を払って!
  • ところで、今回紹介したインドネシアの場合、実際の使用シーンに関しては警護隊員および関係者に事前に撮影と記事掲載の打診をして了解を得ています。ユスフ・カラ前副大統領には“あること”がきっかけでご本人と話す機会があったので直接確認を取りました。
    しかし、国や場面によってはいきなり撮影するとシャレにならない事態になることもあるので絶対に真似しないで下さい。私も何度か冷や汗どころか汗だくの事件に発展したことがあるので。見て記憶に止めておくことが肝要です。
  • (取材・写真・文:大田中秀一)

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!