二十歳前後の新社会人がクルマを買うなら、何がいいだろう? 予算100万円前後、せいぜい120万円までで、新生活を楽しめて、長いカーライフのスタートに相応しい、そんなチューコ車を、渡辺敏史さんに聞いてみた。前回のフィアット・パンダに引き続き今回はプジョー208をピックアップ。
オトク感の高いコンパクトフレンチハッチ
2012年に登場した先代208は先々代の207よりダウンサイジングして全長4m以下に。塊感とコンパクトさを強調したデザインとなった。現行208(数字は据え置き)は2019年に登場。
次いで選んだのは先代プジョー208です。これは購入時のコスパやその後の維持費を重視した、なるべく高年式なところで、ワインディングもロングドライブも楽しめるというバランスの良さをかっての推しになります。
こちらも出来ればMTで乗って欲しいモデルですが、とりわけお得感があるのはGTです。搭載される1.6L 4気筒の直噴ターボはBMW系列のユニットとなり156PSを発揮。ミニでなぞらえればクーパー以上クーパーS未満という力自慢です。これを6速MTで操るわけですが、車格に対しては充分な余力があり低回転域からのトルクも分厚いですからとても乗りやすい。その上、GTの名が物語るように足周りもオールマイティに躾けられており、猫脚と称されるプジョーライドもしっかり味わえます。取材個体はタイヤがお疲れ気味でしたが、それでも乗り心地の良さには驚かされました。
予算的にはもう少し頑張れば明快にスポーツ系な208GTiも範疇に入ってくるのも確かです。が、GTはその性格上丁寧に扱われた個体が多いこともポイントでしょう。ちなみに取材個体に残された、過去3500km走行分くらいの平均燃費は13km/L超。どういう乗られ方だったかはこんなところからも察することが出来ます。
【写真14枚】パフォーマンスの高さの割に丁寧に扱われてきた個体の多いプジョー208GTの詳細を写真で見る
同様にMTの流通量が多めなニューミニは、価格に掘り出し物感がないのが玉に瑕ですが、敢えて初代・2代目クーパーSなどをお安く味わってみるのも面白いかもしれません。そのハンドリングは代々のニューミニが唱えるゴーカートフィールの、最もピュアでソリッドなところを表しているはずです。
ジムニーは流通価格は高め安定ですが、耐久性に長けリペアビリティも高い。道あるところ、どこにでも連れて行ってくれるクルマという歓びは何にも代えがたいものです。車中泊の猛者も多いようですが、テントと寝袋を積んでシンプルな一泊キャンプを楽しむだけでも楽しい想い出を作れます。
あるいはもう少し大人数・大荷物でアウトドアドライブを楽しみたいなら、同門のエスクードという手もあります。先代は堅牢な車台や本格的なメカニズムを維持しながら価格もこなれており、トヨタ日産ホンダ辺りの同級SUVはもちろん、ぶっちゃけ軽のジムニーよりも買い得感は高いです。
そして最後はiQをば。いびつなディメンションが織りなす痛快なほどの機動力や独特の敏捷性と、意外やハンドリング推しの1台です。流通量は少ないながらも6速MT+1.3L 4気筒の組み合わせは走り好きをも結構アツくさせてくれるものがあります。とあらば気になるスマートも堅牢な車台+RRで走りはちょっぴり911的な手応えもあったりしますが、こちらは大人3人なら割と普通に乗れてしまうユーティリティが鍵。思えばドライブも会社の昼飯も、3人連れくらいが意外と居心地いいもんですよ。
【Specification】2018年式プジョー208GT
■全長×全幅×全高:3960×1740×1470mm
■ホイールベース:2540mm
■トレッド(F&R):1470mm
■車両重量:1200kg
■エンジン:直列4筒DOHCターボ
■総排気量:1598cc
■最高出力:156PS/6000rpm
■最大トルク:24.5kg-m/1400-3500rpm
■サスペンション(F/R):ストラット/トーションビーム
■ブレーキ(F/R):Vディスク/ディスク
■タイヤ(F&R):205/45R17
■中古販売価格:114万円(取材時)