精密な内容に見合うようプロポーションを正す
三代目チェイサーとそのフジミ製プラモデル(GX71)に関しては、前編の記事(下の「関連記事」参照のこと)で説明した。このプラモデル作例は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」の250号(2017年)における巻頭特集「リベンジモデリング」用に制作されたものである。この特集の趣旨は、モデラー諸氏が心残りな結果に終わったキットへ、もう一度挑んでみるというものだった。後編では、その点も含めて特集記事に掲載された作者・棚瀬氏による文章をお読みいただきたい。
【画像38枚】ボディだけでなく細部にも力を入れて制作!その様子を見る
「1977年にマークⅡの姉妹車として登場したトヨタ・チェイサーは、二代目以降はクレスタとともにいわゆる“マークⅡ三兄弟”を構成した。特に三代目(X70型系)は、1980年代のハイソカー・ブームの中核をなしたクルマのひとつである。2008年5月発売の「モデルカーズ」誌146号でそのハイソカーの特集が組まれ、私はフジミのチェイサーを担当した。その時は、低い目線で見てサマになるようにと、マッドガードのディテールアップや、細かくパーツ化されたエンジンルームの再現に注力しすぎて、ボディ外観(特にフロント)の実車との違いに気づくのが遅れてしまった。
編集部からの発注は『素組みで』ということであったものの、心残りな仕上がりであった。案の定、表紙には後姿で載っており、編集部にもその辺りが伝わったのかなと反省しきりだったことを記憶している(モデルカーズ編集部より注:特にそういう理由ではないです)。そのため今回の特集にあたって、編集部から『もう一度挑戦したいキットは?』と問われ、まず浮かんだのがこのチェイサーだ。
フジミのGX71チェイサーは、インチアップ・シリーズでも発売されていたが、エンジン付きのキットは当初アバンテ・ツインカム24として発売され、その後金型追加・改修でGTツインターボとなった。エンジンはその後のエンスージャスト・シリーズにも通じる精密な再現がされ、足周りは前輪ステア機構はないものの、ハブ周りを別体化して、実車と同じように4本のスタッドボルトとホイールの穴を合わせるという、凝ったものになっている。
この構造は残念ながら固定が確実でなく、タイヤがボディから外れやすいという欠点もあるが、現在でも採用してほしいスタイルである。ホイール側に金属棒を接着しハブに磁石を仕込んだら、しっかり固定できるようになるもしれない。尤もこれも、完成させた後で気が付いたのだが。
スポーティイメージながら、そんなに低くは構えていないフロント周り
今回は前述したフロントの改修を、実車画像を参考に行った。実車よりもヘッドライトとバンパーの間隔が狭く、グリル下のスリットも再現されていないので、ライト位置を2mm程上にあげて、スリットを0.3mmプラ板で追加している。また、前回制作の際も悩んだのは、ボディにはヘッドライトからウィンカーを囲むモールドがあるのだが、ボンネット部分を切り離すと、その一部がボンネット側になってしまう点である。その部分も、今回の制作では整合性がつくよう整理したつもりだ。
それ以外については、各所のメッキモールの再現にハセガワ・トライツールのミラーフィニッシュを使用した以外、前回の制作とほとんど同じである。キットは30年以上前の金型による製品であり、ボディパーツはかなりの傷やバリが見られ、モールドがもやっとした箇所もあるので、下地作りの段階からボディをシャキッとさせる方向で作業されることをお勧めする。
また、エンジンレスのキットに後付けでエンジンルームのパーツを追加したものであるためか、エンジンルームのパーツとインパネのパーツがそのままではキチンとボディの中に収まらず、擦り合わせを慎重に行う必要があるので、皆様も制作の際には気を付けて欲しい」