ボクらのヤングタイマー列伝:第44回『アルファロメオ33』かの悪名高き(!)アルファスッドの後継としてアルファの近代化を担ったエントリーモデル

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遠藤イヅルが自身のイラストともに1980年代以降の趣味車、いわゆる”ヤングタイマー”なクルマを振り返るという『ボクらのヤングタイマー列伝』です。今回は久しぶりのイタリア車……ということで、第1回の164以来(!)取り上げていなかったアルファロメオから、33をピックアップ! あのア、ア、ア、アルナも登場しちゃいますヨ!

ボクらのヤングタイマー列伝第43回『BMWアルピナ B9 3.5クーペ』の記事はコチラから

個人的には75風の前期モデルと164風のフロント&リアを持つ後期モデル、どちらも捨てがたいところです!

現行型『アルファロメオ・ジュリエッタ』の元を辿っていくと、みなさんご存知のアルファ147、145が歴史にあがってきます。でも”そういえば145の前って何?”と聞かれて、すぐに答えられる人は、少ないかもしれません。というわけで今回は『アルファロメオ33(アルファ33)』を紹介します。

33は1983年から1994年まで製造されたモデルで、アルファスッドの後継にあたります。生産当時の車格では2代目ジュリエッタや75などよりも下に位置するエントリーモデルで、スッド譲りの水平対向エンジン+FFレイアウトが最大の特徴でした。また、33はアルファロメオに”工場のロボット化”、”設計にコンピュータを積極的に導入”など大幅な近代化をもたらしたクルマでもあります。

当時まだ国営だったアルファロメオが、欧州進出を目指した日産と提携したことで両社によって1981年に設立された『ARNA(アルナ)』は新工場を建設。パルサーの車体にスッドのエンジンを積んだモデルの生産を開始しました。そしてこの工場には、日産の最新工場施設が詰め込まれていたのです。アルナは商業的には失敗に終わりましたが(アルナの話だけでここが埋まるほど面白いのですが……割愛・涙)、品質が悪いことで知られたスッドの悪夢を振り払うほどの素晴らしい技術がアルファロメオに残ったのでした。スッド後継の33は、工場こそスッドと同じでしたが、部品点数の削減、防錆など品質向上に日産の技術を反映していたのです。

しかしその代わり、理想主義的設計なスッドで採用されていたフロントインボードブレーキ、4輪ディスクブレーキなど贅沢な装備は姿を消しています。セダン風のクリーンな5ドアハッチバックはアルファロメオ自身がデザインした一方、1984年追加のジャルディネッタ(ワゴン)はピニンファリーナがリスタイルしていました。エンジンは当初1.3/1.5リッターのOHCフラット4で、後に1.7リッターやVM製1.8リッター直4ディーゼルターボ、1989年の大幅マイナーチェンジではDOHC ヘッドを持った1.7リッターエンジンも登場。1984年には4WDも追加してバリエーション拡充を図っています。

33は日本に正規輸入されなかったこともあり、現在ではわずかな台数が日本に残るのみですが、ビート音がスポーティなフラット4エンジンは痛快で、希少性も相まってなかなかツウ好みな存在になっています。個人的には75風の前期モデルと164風のフロント&リアを持つ後期モデル、どちらも捨てがたいところです。ちなみにぼくはスッドを2台乗ったほどのスッド好きなので、この33と145の初期にあったフラット4搭載版(そう、あったんですよ!懐かしい!)はいつか手に入れたい車種だったりするのです。

カー・マガジン499号より転載

この記事を書いた人

遠藤イヅル

1971年生まれ。東京都在住。小さい頃からカーデザイナーに憧れ、文系大学を卒業するもカーデザイン専門学校に再入学。自動車メーカー系レース部門の会社でカーデザイナー/モデラーとして勤務。その後数社でデザイナー/ディレクターとして働き、独立してイラストレーター/ライターとなった。現在自動車雑誌、男性誌などで多数連載を持つ。イラストは基本的にアナログで、デザイナー時代に愛用したコピックマーカーを用いる。自動車全般に膨大な知識を持つが、中でも大衆車、実用車、商用車を好み、フランス車には特に詳しい。

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