今もイベントなどに登場する有名な個体
1973年型フォード・マスタングをベースにしたこのパトカー、1960年代後半~1970年代前半生まれの方なら、見覚えのある場合も少なくないだろう。栃木県警のマッハ1である。初代マスタングの中でもボディサイズが最大となったこの年式(1971-1973年型)に、白黒ツートンの日本のパトカー塗装の組み合わせはインパクトも大きく、『自動車図鑑』的な書籍で子供の頃に見て、衝撃を受けた方も多いのではないだろうか。
【画像43枚】見事に日本警察のパトカーとなったマスタングとその制作工程を見る!
実車は当時、栃木県警に地元の農協から寄贈されたもので、高速道路での速度取り締まりに10年以上使用されたという。ここでお目にかけているのは、1/25スケールのプラモデルでこのパトカーを再現した作品である。ベースキットについては、1971年型のキットがかつてオオタキからリリースされていたが(後にマイクロエースより再販。スケールは1/24と1/12の2種がある)、やはりアメリカ車の再現についてはアメリカ製プラモの方に一日の長があると判断。ズバリ1973年型のキットとしてはMPCとAMTが存在するが、作例はMPC製を使用した。
このMPCのキットにパトカーパーツをプラスするわけだが、そこで問題となるのがスケールである。今回はアオシマのパトカーパーツセットを利用したが、これは当然1/24。一方、MPC(およびAMT)は、アメリカンカープラモの標準的なスケールである1/25であるため、パトカーパーツが車輌に対して大きくなってしまう懸念がある。実際に組み合わせてみると、赤色灯などは問題なかったものの、やはり「栃木県警察」の文字のデカールがあまりに大きかったようだ。
しかも、このパーツセットに付属のデカールは書体のリアリティが乏しい。後にリリースされたデカールセット(最近の「POLICE」などの文字が含まれているもの)の方がその点は優れており、かつ大きさ自体もすこし小さめだったためそちらを試してみたのだが、それでもやはり大きいようだ。そこで作例では、このデカールをスキャン、縮小してプリントした自作デカール(協力:瀧上徳和氏)を使用した。
正確な1973年型を再現した上でパトカー化
模型の題材として魅力的なマスタング・パトカーだが、あるいは、前述のオオタキ/マイクロエース製の1/12スケール・キットをベースに、ド迫力の作品を作っても面白いかもしれない。その際には、実車は今も栃木県の免許センターに展示されているということなので、実物を取材してみるのもよいだろう。さて、以下は作者・畔蒜氏のコメントである。
「今回は、日本では珍しいアメリカ車のパトロールカーとして知られる、栃木県警で使われていた1973年型マスタングのパトカーを再現してみよう。実車の写真から推測すると、スタンダードのスポーツルーフ仕様にオプションの351エンジンを搭載した所謂マッハ1で、ラムエアフードを付けた個体と思われる。
1973年型のアニュアルキットはAMTとMPCからリリースされていたが、作例では、MPCオリジナルの1973年型を使用。工程としては、正確な1973年型にした上で(キットにはディテールに前年型のままの部分がある)、パトカー用の塗装とスペシャルパーツを追加するということとなる。なお、リアには小さな丸型リフレクターを追加するべきところであったが、これは再現漏れとなってしまった」