クラス3を7シーズン連続制覇、その幕開けを飾る
1985年から、Gr.A規定に則って全日本ツーリングカー選手権(JTC)が始まった。その歴史の中でも、最も熾烈なメーカータイトル争いが繰り広げられたクラスが、1600cc以下のクラス3である。そしてそこにホンダが送り込んだのが、ZCエンジンを積むシビックSi(通称:ワンダーシビック)であった。
【画像50枚】細部まできっちり1987年仕様となったシビックとその工程を見る!
当時、Gr.Aレースの経験がなかったホンダにとっては手探り状態でのスタートであったというが、驚いたことにデビューわずか2戦目の鈴鹿で、倍以上ある排気量のBMW635CSiやターボ付きのスカイラインRSを向こうに回し、中嶋悟/中子修のシビックが総合優勝という快挙を成し遂げたのである。1985、1986年を熟成期間とし、チーム自体も成長した1987年、F1へ行った中嶋の代わりに岡田秀樹を迎えた無限シビックは数多くの好成績を残し、結果としてホンダは、1987年からGr.A最後の1993年まで、7シーズンを連続してクラス3のメーカータイトルを獲得することとなった。
今回、1/24スケール・プラモデルで制作したのは、その1987年シーズンを戦ったMOTUL無限シビックSiである。ベースキットは、11年ほど前に久しぶりに再販されたものの即座に店頭から姿を消した、幻のタミヤ名作キットだ。このキットは1986年仕様をモデル化したものであったので、これに3MD製デカールを使用して、1987年仕様へと作り変えた。
後期型へ改修、ホイールなど細部も変更!
詳細は工程写真のキャプションを参考にして頂きたいが、ボディにおける大きな改修点は、フロントバンパーの延長である。1987年はワンダーシビック後期型がベースとなるため、フロントバンパーが長くなるのだ。縮尺換算で1.5mmの延長となるため、一度バンパーを切り離し、1.5mm分のプラ板を挟んで再接着、成形した。塗装はホワイト、レッド、ゴールド、ブラックのマスキングワークで対処。今回は、デカール貼り付け前に窓枠等のモール類も塗っておいた。これは、発色は良いが厚みのある3MD製デカールへの対処でもあり、厚塗りクリアーによるモールドの消失に備えたものでもある。
また外観では、ホイールの変更も大きなポイントとなる。市販版MR-5のプロトタイプとなるこのホイールは、アオシマのプレリュード(Sパッケージ)から流用加工した。オフセットの関係から前後輪のセンターナット部の造形が異なるので注意したいが、このあたりも実車のセッティングが垣間見れて楽しい。
こうして形となったワンダーシビックSi Gr.A。アオシマ/BEEMAX製EF3シビック、およびハセガワのEG6シビックと並べて、無限ホンダの7連覇の歴史に触れてみるのも、レース好きには一興であろう。