美しいモノは売れる、というポリシーのもとで幾多のサイドカーを生み出し、やがて自動車メーカーへと発展したジャガー。Eタイプの後継モデルとして登場したXJ-S/XJSも商業的に成功し、いまでもユーズドカーをゲットできる。
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究極の”水色”オープンモデル
いきなり私事で恐縮だが、1974年式のアルファロメオGT1600ジュニア(通称:水色号)を愛用している筆者は無類のクーペ好きだ。
ということで、トム・ウォーキンショー・レーシングがETCで走らせていたXJ-Sクーペやボブ・テュリウス率いるグループ44がトランザム・チャンピオンシップにてドライバーズ/マニュファクチャラーズタイトルを獲得したXJ-Sクーペのカッコよさには以前から気づいていた。さらに付け加えると、XJ-S クーペはEタイプのデザインを手がけたマルコム・セイヤーが考えた原案を基礎とした空力ボディなので、とにかくスタイリッシュだ。
今回ピックアップしたのは筆者が恋するXJ-S/XJSクーペではなく、高年式のXJSコンバーチブルだったので、正直に告白すると取材前の期待値はそれほど高くなかった。外装色が水色なのでその点だけは好意を寄せていたが、襟付きのシャツと同じぐらい筆者に似合わないアイテムだと思っていたからだ。
しかし、である。撮影現場までXJSコンバーチブルを移動したことにより、試着ならぬ試乗をすることができたわけだが、その短い間にすっかりXJSコンバーチブルの虜になってしまい、ブレスへの返却時には欲しくなっている自分がいた。そんな気になるとはまったく思っていなかったが、好きになってしまったのだ。ではどこがどう魅力的で、ハマってしまったのかをXJ-S/XJSの簡単なヒストリーと共に記すことにしよう。
XJ-SはEタイプの後継モデルとして、1975年9月にデビューした。ベースとなったのは、XJシリーズのサルーンだ。Eタイプが純然たるスポーツカーであったのに対し、XJ-Sはメルセデス・ベンツ450SLC等と同じカテゴリーに属する、いわゆるパーソナルな高級4座グランドツアラーだった。
グランドツアラーだが、ジャガー・スポーツの一員なので、既述したようにクーペはサーキットにおいても活躍。1983年にタルガ式トップと折りたたみ式のリアウインドーを持つカブリオレが追加設定され、1988年にそれに代わるモデルとして、フルオープンになるコンバーチブルがラインナップされた。
筆者の勝手なイメージでは、XJSコンバーチブルは美しいプロポーションと優雅なオープンエアモータリングを楽しむためのクルマだと解釈していたのだが、実際に乗ってみたらそうではなかった。十分スポーティで、ドライブするのが楽しいクルマだったのだ。
このクルマ軽快だな、とまで思ったが、それは4リッターエンジンがパワフルだからで、ブレスに帰ってから聞いてみたら、X300型XJに積まれたのと同じパワーユニットを搭載しているとのことだった。実は襟付きのシャツのほうは、とある人に買ってもらって頻繁に着るようになったので、水色のXJSコンバーチブルを相棒とした自動車趣味生活も、いざ実践してみれば身体に馴染むのかもしれない。う~ん、増車してみるかな。