全国で数台のみ配備されたFD3Sパト
マツダ(アンフィニ)RX-7のパトカー仕様とそのプラモデルについて、前編記事(下の「関連記事」参照のこと)に引き続きご紹介していこう。ここでお目にかけている作例は、自動車模型専門誌「モデルカーズ」244号(2016年)の巻頭特集のために制作されたものだ。以下、このときの作者・棚瀬氏による説明をお読みいただこう。
【画像38枚】車内外の細かな作り込み・その制作工程を見る!
「各都道府県の警察は、交通取締用の車輌にスポーツカーを採用することがあり、マツダのRX-7は初代からすべてのモデルで採用されている。この三代目(FD3S型)については全国に7台配備されたそうで、ネットで検索すると『宮城、新潟、栃木、埼玉、千葉、京都、広島の各高速隊で活躍』と出てくるが、実際にはこのキットにもあるようにそれ以外の群馬県警にも配備されており、実車の画像から判断すると、レーダーを装備していない車両が前述の7台以外にも採用されていたのかもしれない(あるいは、県警を跨いで配置転換がされたのだろうか?)。
FD3Sの1/24スケールキットは、実車の人気と相まって、デビュー当時から現在までタミヤ、フジミ、今はなきロッソ、そしてこのアオシマから、様々なバリエーションで発売されている。アオシマからは当初、前期型が発売され、そののち金型を改修しフロントバンパーを差し替えることなどで、中期型と後期型も展開された。アオシマのパトカーのキットは、ずっと以前には前期型のボディを使用したものが発売されていたが、今回制作したキット(2015年12月発売)は、実車同様に、リアコンビネーションランプを丸型3連式に変更し、リアウィングが大型化された中期型(Ⅳ型)のボディで再現されている。
キットについては、小型タイプの警光灯やバグガード、無線機等、パトカー部品は全てパーツ化されており、そのまま組むだけでも、希少なFD3Sのパトカーが手に入る。また、ボディの塗り分け用に、マスキング作業がやり難いフロントノーズの、曲線部マスク用シールが用意されているのが嬉しい。今回の制作では、ドアを開閉可能として室内をよく見られるようにし、実車画像を参考にディテールアップを行った。通常ならカーオーディオが設置されるところにパトライトのアンプ等が備わるので、プラ板や延ばしランナーで追加している。また助手席用のルームミラーを他キットより流用した。
ヒンジの自作にはプラパイプを活用すべし!
ドアの開閉に関してネックとなるのはヒンジの追加だが、今回私は、あらかじめプラパイプを通した洋白線を曲げてヒンジを作り、ボディやドアへの固定にもプラパイプを活用した。金属とプラは確実な固定はできないが、プラ同士ならそれができるので、ハンダ付け等の金属加工が苦手な(私のような)方は、一度試してみてはいかがだろうか。また、閉じた時にドアがボディにきちんと収まるよう、パーツ同士の擦り合わせは塗装の厚さも考慮しつつ、入念に行うことが重要である。
その他、制作において注意することは、フロントバンパーとボディの合いがあまり良くなく、バンパーのパーツの厚みも均等でないということ。このため、一旦埋めた筋彫りを彫り直す際にも深さが均一にならなかったりするので、パーツを接着する時には気を付けたい。また、警光灯やバグガードの取り付け位置がボディには全く記されていないので、取り付け用の穴を開けるためのアタリのモールドを、ボディにあらかじめ入れておいて頂けると、制作時にすごく助かるのではないだろうか」