ルノー4(「キャトル」あるいは「カトル」)は、ルノー4CVの後継車として1961年より販売された、フランスを代表する大衆車の1台である。1992年まで生産され、同じフランスのシトロエン2CV同様のロングライフモデルとなった。
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4CVはフォルクスワーゲン・ビートル以降小型車の主流となっていたリアエンジン・レイアウトを採用していたが、シトロエン2CVやミニなどの登場により、小型大衆車の潮流はフロントエンジンのFF車になりつつあった。当然4CVではスペース効率の観点からも他車に対する競争力低下が目立つようになる。もちろん、4CVは戦後すぐのデビューで陳腐化も甚だしかった。そこで開発されたのが4だったのである。
その設計にあたっては、当時堅実な人気を得ていたシトロエン2CVを徹底的に研究し、同様のFF機構を採用。さらに、2CVはラゲッジスペースの小ささが弱点であったが、この点で打ち勝つべく4はリアゲートを装備したハッチバックスタイルを採ったと言われている。FF+ハッチバックという意味では、現在の小型大衆車に受け継がれるこのスタイルを確立した、「元祖」的存在と言ってよいだろう。
エンジンは縦置きに搭載されるが、2CVとは異なりエンジンの前にデフとミッションを配置。サスペンションはフロントがトーションバー併用のダブルウィッシュボーン、リアはトレーリングアームに横置きのトーションバーを組み合わせたもので、こうして見ると全体の機構的な特徴は、同じシトロエンでも2CVよりトラクシオン・アバンに近い。ただしシトロエンの後輪はリジッドだが、4では独立式。左右それぞれにトーションバーを具え、それが嚙み合うように配置されているので、ホイールベースが左右で異なっている(右側が長い)。エンジンは4CVから引き継いだ直列4気筒OHVで、当初は750cc。デビュー当初は600ccの3(トロワ)も設定されていた。排気量はのちに850cc、1.1Lなどへと拡大されている。
車体後半をカーゴスペースとした商用バン(フルゴネットあるいはフルゴン)は、ヨーロッパ車では昔からよく設定されてきたボディ形式だが、4ではデビュー時の1961年から早々にラインナップされている。リアエンジンの4CVではこうしたモデルが設定できなかったため、さらに先代にあたるジュバキャトルのフルゴネット(およびそのワゴン版であるドーフィノワーズ)が継続生産されていたのである。4のフルゴネットはジュバキャトルのそれ(別名カミオネット)と違い、車体後半を四角くするだけでなくさらにルーフを高くしており、見るからに積載能力が高い。フルゴネットも1992年まで生産された。
開閉選択式の各ドアを可動式に改修!
ルノー4のプラモデルは長らく”穴”となっていたが、2010年代半ばにエブロとエレールから1/24スケールでキット化された。エブロは4Lと4TLの、エレールは4LとGTLのコンバージョンであったが、のちにエブロからはGTLも登場。また、エブロではフルゴネットもキット化しており、これについてはアスカモデルとのコラボレーションでブランジェリー(パン屋)仕様もリリースされた。エブロのフルゴネットは、ノーマル仕様とルノー・サービスカー仕様の2種類があるが、ここでお見せしているのは後者を制作した作例である。
キット内容はノーマルのフルゴネットに、屋根に載せる大きなルノー・エンブレムの看板パーツと、専用デカールが追加されたもの。作例はキットをほぼそのまま制作したものであるが、開閉選択式の各ドアを可動式とするなど、すこし手を加えてある。その詳細は、工作中の写真に添えたキャプションをご参照頂きたい。なお、作者の棚瀬氏曰く、「インターネットでサービスカーの画像を検索すると、屋根にエンブレムを載せた実車は、グリルとヘッドライトが分離している初期型しか見つけられなかった」とのこと。この仕様が時期的に初期型にあたる期間にしか存在しなかったのかは不明だが、こだわる方は初期型のグリルに改造するというのも楽しいだろう。