ここまで改造しなけりゃ作れない!?ハセガワ製プラモ「レガシィ・ツーリングワゴン」を前期型にチェンジ!【モデルカーズ】

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ワゴン・ブームを巻き起こした大ヒットモデル

スバル・レガシィは、それまで低迷に喘いでいた富士重工(現・スバル)を立て直すことになった、言わば中興の祖とでも言うべき存在である。その登場は1989年2月のこと。この年は、R32型スカイラインやユーノス・ロードスター、トヨタのセルシオなどといった名車が多く誕生し、国産車の”ヴィンテージ・イヤー”などとも呼ばれているが、当然ながらレガシィもその顔ぶれにはまる、あるいは代表すると言ってもよい1台であった。

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1980年代の富士重工は、上から下までそのラインナップに旧態化が目立ち、好景気(バブル)の恩恵を享受することもない状態であったという。倒産や買収などの話題も公然と囁かれ、その行く末には暗雲が立ち込めていた。そうした状況を打開すべく、「完全に新規で2Lクラスのセダンを開発せよ」との命令が上層部から発せられ、「44B」というコードネームのもと開発されたのが、初代レガシィ(BC/BF型系)だったのである。

それまでのレオーネは、元を辿るとスバル1000に行きつく基本設計を有していたが、レガシィではプラットフォームから完全に一新された。ホイールベースは2580mmで、レオーネからは100mm以上延長、ボディサイズ的には当時の日産ブルーバードとほぼ互角となる。ボディ形式は4ドアのセダンとワゴン(ツーリングワゴン)で、全長はセダンが4510mm、ワゴンが4600mm、全幅はいずれも1690mm。サイズが大きくなったことから、当初は従来のレオーネも併売されていた。

スタイリングはくさび型を基本としたもので、モダンさと、レオーネからのイメージの継承をブレンドした、巧みなものであった。全体的にはオーソドックスでありながら、前後フェンダーをブリスター状に張り出させているのが特徴である。エンジンは、これも新設計となるEJ型。水冷・水平対向4気筒の16バルブで、1.8L OHCのEJ18(110ps)、2L DOHCのEJ20(150ps)、2L DOHCターボのEJ20G(220ps)の3種が設定されていた。EJ20Gを搭載するのはトップグレードのRSで、これにはモータースポーツのベース用モデルも用意されている。

サスペンションはそれまでのセミトレ式リアサスペンションを捨て、4輪ストラット式に一新された。駆動方式はFFを基本に、パートタイムおよびフルタイム方式の4WD。元より4WDは富士重工の得意技であったが、悪路走破性を重視するあまり、高速走行には全く対応できていないことが他社製スポーツ4WDとの比較であらためて認識され、富士重工の技術陣を奮い立たせたという。セダンRSでの世界記録への挑戦(10万km連続走行、平均速度223km/h)も、この弱点克服を確認しアピールする意味で行われたものであろう。

デビュー7ヶ月後の1989年9月には、それまで設定のなかったターボ仕様のワゴンを新設。これはEJ20Gを最高出力200psへとマイルド化し搭載したGTというグレードであったが(セダンにも設定された)、ハイパワーなステーションワゴンであること、しかもバンとの共用ボディではないスタイリッシュさが大いに支持され、大ヒットモデルとなったのである。このレガシィの成功を機にワゴン・ブームが訪れ、各社からライバル的な車種(しかしその多くはバン・ボディの流用)が次々に登場したのであった。

社運を賭けた新製品が失敗に終わった例は世の中にいくつもあるが、幸運にもと言うべきか(いや、これはやはり的確なコンセプト設定と真剣な技術開発の賜物であろう)、目論見通りレガシィは富士重工の救世主となったのである。その後もグレードの追加を挟み、1991年にはマイナーチェンジで後期型へ移行。目立たないながらもフロントノーズがよりシャープな造形となった。さらに、ツーリングワゴンに2.2Lモデルを追加したのち、1993年にフルモデルチェンジで2代目へと生まれ変わっている。

ワゴンのボディ後半とセダンのボディ前半を接合!!
さて、このように富士重工にとって会心のヒットとなったレガシィであるが、プラモデル化はいささか寂しく、ハセガワ1社のみから1/24スケールのものがリリースされている。しかし嬉しいことに、ハセガワはセダンとワゴンの両方をキット化してくれており、またセダンに関してはラリー仕様が各種存在し、再販も行われている。ノーマル仕様はセダンは前期型のRSだが、ツーリングワゴンは後期型GTの再現。つまり、後期型セダンあるいは前期型ワゴンを作りたい、となった場合には、わりと大掛かりな改造が必要になるということだ。

ここでお見せしているのはそのうちの後者、前期型ツーリングワゴンGTの再現を行ったものである。地味な違いながらもフロントセクションは全く異なる形となるだけに、改造の方法をどう考えるかは人によって違いが出るところであろうが、作例はセダンとワゴンのキットふたつを用意しボディを大胆に切断、組み合わせて前期ワゴン・ボディを再現している。

さらに、バンパーやサイドのモール部分は実車では共通だが、ハセガワ製キットでは表現方法が変更されていて、後期ではデカールによるモール表現が基本となっているため、当該部についてはモールドが入る前期キットの方が的確と判断、この点にも配慮したボディ切断・再接合となった。これらの作業や細かい仕上げについては、制作中の写真に付したキャプションをお読み頂きたい。

作例制作=Ken-1/フォト=服部佳洋 modelcars vol.275より再構成のうえ転載

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