「毎日1テーマずつ読めば、1か月後に所さんみたいな思考になれる!」
「所ジョージの世田谷ベース」の最新号は記念すべき50号目。雑誌『Daytona』で6年以上連載を続けてきた「トコロ辞典」の膨大なアーカイブを再編集し、一冊にまとめた完全保存版です。ひとつのテーマは約5分で読みきれるので、毎日1テーマずつ読み進んでいけば、おおよそ1か月で完全読破。翌月には、所さんみたいな思考回路に近づいてしまい、楽しくてしょうがない毎日がやってきてしまうというコンセプトで制作、ここではその一部をチラ見してみましょう。
ころばぬさきのつえ【転ばぬ先の杖】
失敗しないように、前以て用意をしておくこと。前もって用心していれば、失敗することがないというたとえ。広辞苑及び大辞泉参照
トコロ辞典的「 転ばぬ先の杖」の解釈
自らの責任回避の道具にしてはいけない。相手の立場を思いやって、その人が転ばないように杖となるような情報などを差し出してあげることが大切。万全を考慮した結果、太くて重くて頑丈な杖を常に持ち歩いているような人生になってしまうと、笑顔が希薄になってしまう。
所:ウチの近所の電柱にさ、猫探しています! っていう貼り紙があったのね。それが気に食わないって人が、役所に電話して剥がさせたっていうんだよ。その貼り紙はさ、愛情じゃん、飼い主さんの。猫の写真だけじゃなくて、自分の電話番号も載せて、身分を明かした上で電柱に貼ってるわけじゃん。それをね、電柱に貼り紙するのは法律違反だ! って言い出して。
そんなこと言われたら、役所だって対応せざるをえないってんで、剥がすわけじゃん。違反を承知で広告を電柱に貼る業者だったら分かるよ。でもさ、愛情じゃん。それをいちいち役所に言いつけるんじゃないよって思いましたね。
そもそも法律ってのはみんなが楽しく暮らすためのもの。そりゃ、文句つけた人は猫探していますの貼り紙が楽しくないんだろうけど、その人ひとりだけの話だよ。そんなの無視しなさいって。そういう人の言い分を全部聞いていると、どんどん殺伐としてきて、眉間にシワ寄せて暮らすような世の中になっちゃうでしょ? じゃ、たとえば下町の狭い道路で、植木鉢を道においている地域があるじゃん。そこではさ、やれ子供がつまずいてアブナイだの、消防車が通れないだとか、通報する人はいないわけじゃん。
つまり、そういうところは、普段から火が出ないように暮らしていたり、通りに目を配って、子供が危なくない場所に植木鉢を置いたりしてるってことだよ。みんなそうして長年暮らして来ているからOKなの。だから、植木の小さな花で季節を感じたりしながら、みんなが笑顔で暮らせるんだよ。ちょっと考えればわかるじゃん。それがわからない人が重箱の隅つつくような小さなクレームをつけてくるっていうね。
【写真7枚】一家に一冊!? 思わずうなづく、所さんの「名言」たち。
編集部:愛情とか小さな花の季節感とか、そういうの無視して通り一辺倒に”法律で禁止されてるからダメ”ってなっちゃうと、どんどん息苦しい世の中になっちゃいますよね。
所:そうなんだよ。災害が多く発生した年なんかはさ、テレビの放送で「命を守るための最善の行動をしてください」とか、各局言ってたじゃん。なにその言葉? 今まで聞いたことない変な日本語だと思ったよ。元はどこぞの役人が避難命令出せないけど、危険は伝えないとクレーム来るからまずいってんで、考えた言葉なんだろうけどさ。それをテレビ局もそのまんま使っちゃうし。
放送でいきなり具体的にすぐ避難所に行ってください!って言ったら、被災者から、行く間に被害にあったぞ! とか、お前が言うから避難所行ったら、ひどい所だったぞ! とか、そういうクレームが来るのが嫌なんじゃないの? この国全体がクレームを受けないようにする方向にいってる感じだよね。「命を守るための最善の行動をしてください」なら、何をしても個人の責任ですから、うちらは関係ないですよ! になる。
結果、じゃあ具体的に何をすれば良いかって言う情報が視聴者に伝わらないわけで、実際に被害を受ける人達が出ちゃう可能性なんて気にしてないように感じちゃうよね。もう、国全体の言い訳大作戦! クレームをはねつけるための大きな門を作るみたいな。家で言ったら、泥棒が入れないように、大きな門を作って閉めきったはいいけど、友達もご近所さんも入れなくなっちゃったみたいな感じ。悪いことを防げるかもしれないけど、良いことも入れなくしちゃったら意味ないじゃん。門は作ってもいいけど、友達が入りやすいように、開けておけよと。で、泥棒はお前が見張って入らないようにしろってこと。
編集部:友達来なくなっちゃったら、意味ないですもんね。
所:そう、法律やルールも人の気持ちも、転ばぬ先の杖ばかり優先しちゃってる。もはや杖じゃなくて、ぶっとい大木。ラグビーが人気だけどさ、ぶつかり合って危険ちゃあ危険なスポーツじゃない。じゃあ、包帯やら絆創膏やら消毒液入れたバッグを背負って試合するか? ってことじゃん。ぶつかっても良いように体を鍛え、危なくないようなテクニックを磨き、頭を使って試合するから楽しいんだよ。暮らし向きも同じ、毎日笑顔になるよう、頭と体を使えと。太くて重い転ばぬ先の杖を持ちながら暮らしても、楽しく笑顔にはならないんだからさ。
所さん的「情報」の続きは、所ジョージの世田谷ベース vol.50をご覧ください!
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・掲載テーマ
あいそ【愛想】
あつ‐くるし・い【暑苦しい】
いそがし・い 【忙しい】
おとしあな【落とし穴】
おも‐しろ・い【面白い】
おもい‐つ・く【思い付く】
おんきせ‐がまし・い【恩着せがましい】
かた‐づ・ける【片付ける】
かんが・える【考える・勘える】
き‐しょう‐てん‐けつ【起承転結】
クリエーティブ【creative】
クレーム【claim】
けっ‐こん【結婚】
けん‐ぜん【健全】
こ‐せい【個性】
ころばぬさきのつえ【転ばぬ先の杖】
し‐あわせ【幸せ・仕合(わ)せ】
じっ‐しつ【実質】
しっ‐ぱい【失敗】
じょう‐ほう【情報】
そうぞう‐りょく【想像力】
ちゃく‐ち‐ てん【着地点】
て‐ま【手間】
てい‐ へん 【底辺】
てん‐ごく【天国】
ととの・う【整う】
のり‐しろ【糊代】
ヒーロー【hero】
ひにちじょう(せい)【非日常(性)】
ひょう‐げん【表現】
べん‐り【便利】
まと‐はずれ【的外れ】
まん‐ぞく【満足】
め‐くじら【目くじら】
メリット【merit】
やくにたつ【役に立つ】
やり‐なお‐す【やり直す】
よ‐ゆう【余裕】
ルール【rule】
わ・る【割る】