タイヤの上に顔が座ってる!?エアフィックス製プラモで「ボンド・バグ」を知る!【モデルカーズ】

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若者のためのファンなスリーホイラー

第二次大戦後の経済的疲弊に喘いだヨーロッパで、カビーネンローラー(キャビンスクーター)と言われる簡素な小型車――その多くは三輪車――が一時期隆盛を極めたことはよく知られている。メッサーシュミット、ハインケル、トロージャン、イソあるいはBMWのイセッタなど、スクーターをベースに耐侯用ボディを載せたそれらマイクロカーの数々は、その可愛らしい姿から今もファンが多い。だが、ここでご紹介しているボンド・バグは、似たような三輪の小型車ながら、それらとは趣旨を異にするものである。

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ボンド・バグは、1949年に創業されたボンド・カーズが、リライアントに吸収された直後の1970年に発売した。ボンド・カーズは、オープン・スポーツ風スリーホイラーのミニカー(車名である)を皮切りに、様々な三輪車を世に送り出し、1960年代には四輪の自動車も手掛けている。もともとイギリスは三輪車が税制面で優遇されており、かつてのモーガン・スリーホイラー(近年復活して注目を集めた)を思い浮かべれば分かるように、戦前から多くの三輪メーカーが存在してきた。1969年にボンドを吸収したリライアントも、同じく三輪車メーカーであった。

バグの発売はその翌年だが、若者に向けた遊びのための三輪車というコンセプトは、1960年代前半から企画され、デザインも進められていたという。バグのデザインを手掛けたのは、トム・カレン。彼はオーグル・デザイン(ミニがベースのSX1000で知られるあのオーグルである)のデザイナー兼マネージングディレクターであった。そのルックスは、”新時代のファンカー”というコンセプトにふさわしい、くさび型の斬新なもの。ボディカラーもオレンジのみが設定され、印象をひときわ強烈にしていた。

バグは後輪ではなく前輪を一輪とした三輪車で、フレーム式シャシーのほぼ中央にエンジンを搭載、後輪を駆動する。サスペンションはフロントがリーディングアーム+コイルスプリング、リアがダブルトレーリングアーム+コイルスプリング。エンジンは直列4気筒OHVの701ccで、29psと31psの2仕様が用意された。1973年には排気量を748ccにアップ、こちらは出力32psとなる。

前述のようにバグは若者向けのファンカーであり、自動車としての本格的な構造は走行性を重視したがゆえのもので、実際に最高速度は120km/h以上を誇った。しかし、そのためか価格を抑えることができず、セールス的には成功したとは言い難い。結局、1974年に生産・販売を終えている。

素朴ながらリアルな、プラモならではの味わい
ここでお目にかけているのは、実車現役当時にエアフィックスから発売された、1/32スケール・キットのボンド・バグを組み立てたものだ。このキットについては、袋詰めされた状態で販売されていたのをご記憶の方もいらっしゃるだろう。小さなスケールながらシャシーやエンジンまでしっかりと再現された好キットで、制作にあたっては特に手を加えておらず、ディテールアップなどは行っていない。

キットはキャノピー、ボディ、シャシーの3つのパートに分割することが可能で、スケールの限界の中で極力、しかし肩の力を抜いてディテールを再現している。この点に、「実車の構造を知ることができる」という、プラモデル本来の楽しさが感じられよう。エンジンやサスペンションなども具えたシャシーは実に秀逸な出来だ。

作例制作=棚瀬和重/フォト=羽田 洋 modelcars vol.167より再構成のうえ転載

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