車体が長くなってる!ボンネットバスのマイクロエース製プラモから「いすゞBX552」を制作【モデルカーズ】

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BXDのようで少し違うフロントマスク

1970年代後半、にわかに保存の機運が高まったボンネットバス。その当時から同じ事業者あるいは仕様のまま現存する車両もあれば、そうではなく塗色も変更されているもの、そして新たに復活した車両――廃車体からレストアによって奇跡的な生還を果たしたもの――もある。とはいえ、やはり保存車両の中で一番多いのがいすゞBXなのは、当時も今も変わらないようだ。それはやはり現役当時のシェアの大きさによるものと思われる。

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BX、および同じノーズを持つトラックであるTXの歴史を辿ると、そのルーツは戦前まで遡れてしまうが、戦後型のTXトラックは1946年発表のTX80が最初で、これは5トン積みガソリン車であった。この頃はまだ大型トラックでもガソリン車が主流である。1948年には戦後初の本格的ディーゼルバスシャシー、BX91を発表。ホイールベース4.3mと当時としては大型であったが、翌1949年にはホイールベース5mのBX95を追加した。

フロントノーズのデザインを戦前型から継承してきたBX/TXだが、1950年のマイチェンでヘッドライトがフェンダーと一体になった。1954年には再びマイナーチェンジを行い、上段ラジエターグリルと側面エンジンフードのスリット本数が少なくなっている(スリットが太くなった)。1956年にはエンジンの改良とともに型式の数字が変わり、BX91はBX341へ、BX95はBX351へと称号を変更(以下、記述はバスのみに限定する)。

1959年のモデルチェンジでは完全にデザインが変更され、エンジンフードがアリゲーター式となったが、型式称号もBX5××となり、ホイールベース4mはBX521、4.3mはBX531、5mはBX552と呼ばれる。さらに翌年の改良でBX7××に移行、そして1962年のマイナーチェンジでグリルを変更した。

このとき型式の命名法が少し変わり、ガソリン車は「G」、ディーゼル車は「D」を付けて区別するようになった。BXDはディーゼルエンジン搭載のバスを意味するが、基本的にはバスにガソリン車はないようだ。さらにマイナーチェンジを行い、お馴染みの四灯ライトのフロントマスクとなったのは、1964年のことである。

ボデーを延長し細部も修正!
さて、ここでお目にかけているのは、1959年式いすゞBX552を1/32スケールで再現した模型完成品である。ボンネットバスのプラモデルといえば、かつてエルエスがリリースし、金型を引き継いだマイクロエースのキットが知られているが、この作品もそのキットを元に改造したものだ。キットは1962年以降のBXD30で、丸2灯ライトの前期型と4灯ライトの後期型の2種があるが、この作例は前期を元に、フロントグリルを自作して、より年式の古いものとしている。

BXD30はホイールベース4.3m車であるが、BX552は5mであるので、ボデーをふたつ使って延長。またそればかりでなく、キットのボデーは川崎航空機製の再現であるが、作例では主にフロントウィンドウ周りを大きく加工して、新三菱重工のボデーを再現している(架装メーカーの社名はいずれも当時のもの)。ベンチレーターや方向幕(サイドおよびリア)も自作したが、ボデー後端は実車でも大きく変わらないので、作例も基本形状はそのままとした。

事業者は東京都交通局ということで、クリーム色はMr.カラーC316ホワイトFS17875+C44タン+C4イエロー+C2ブラックで塗装。赤い部分はC100マルーン+C68モンザレッドだ。シートカラーのブルーは推測によるもので、実際のところは不明。また、キットは金型共用の都合上フロントフェンダー側面のプレスが後期型の形になっている(前期型BXDとしても正しくない)ので、正確な形に作り直している。同じ作者の手がけた日野トヨタのボンネットバスも併せてご覧頂ければ幸いだ。

作例制作=周東光広/フォト=羽田 洋 modelcars vol.131より再構成のうえ転載

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