木造カーポートからリノベ! 建築家の自邸ガレージはまるでショールーム【ガレージライフ】

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リノベで叶えた夢のガレージは、映画を楽しんだりバーベキューをしたりと、家族で使えるスペースに変貌

静岡県浜松市。最寄駅からほど近い住宅街に案内され、今回の取材先となるガレージは木造のガレージでガラスサッシによりガレージのなかが見渡せるショールームのようなガレージ。このガレージの主は、建築事務所の代表取締役を務める建築家・Oさんだ。2015年に建築事務所を立ち上げ、店舗設計や病院、戸建てなどを設計している建築家として活躍。2014年に現在住んでいる母屋を、自分で設計をして新築で建てたという。

それから数年後、自宅の隣の土地が買えることを知り、賃貸の駐車場として運営することで利益を生むことや、自宅横に建物が建たなくていいようにと、その土地を購入。その際、自らがガレージやガレージハウスを提案していることにも触発され、自分が所有しているクルマを保管するために木造のカーポートを、友人である「遠藤建築」に依頼して建築したのが、2018年のことだった。

【写真14枚】簡易なカーポートからガレージに変貌! 

カーポートを建築後2年が経過した頃、Oさんはこのスペースをガレージにリノベできないかと考えた。そこで地元の工務店「キーストン」に相談。レッドシダーで壁面を造作して、うまく交互に張り合わせることで壁面を形成。その壁面とガラスを組み合わせることで、輸入車ディーラーのようなショールームがイメージされる仕上がりに。木製の躯体に合わせて壁面はレッドシダーを採用し、ガレージシャッターには木目の外観に合わせて「三和シヤッター」製オーバースライダー「威風堂々」を設置した。カーポートだったスペースに壁面を造作したことで、ガレージ空間へとリノベーションすることに成功した。

Oさんがこだわって考えたのは、自分の仕事で携わっていた自動車メーカーのショールームのようなガラスで囲まれている空間のイメージ。そこで壁面はすべてレッドシダーにするのではなく、セミオーダーによってサイズの大きなアルミサッシを入れることで、ガラス面を大きくすることで圧迫感がなく、かつ自宅の出入りするときにクルマを眺めることができるようにした。

筋交いには耐震補強の意味も強いが、木製の筋交いだと目立ちすぎるため、金物を用いた筋交いにするなど細かな部材はすべてOさんが指示を出した結果、現在のショールームのようなガレージとなった。施工時には「横張りしたレッドシダーの割付けと、角の組付け部分が苦労していました」とOさん。

その後、ガレージはイメージチェンジをするため内装にはブラックの有孔ボードが貼られ、現在ではロードバイクやメルセデスのアイテムが展示できるように改良。床面にはモルタル仕様だったスペースも「サンゲツ」製ブラックスレートを専用の接着剤で貼ることでトーンを落とし、クールなイメージに仕上げている。

しかもスクリーンを設置することで映画やゲームなどができるスペースになり、夜な夜なここでリラックスできるような空間になったという。そんなガレージが完成したことで天候に左右されることなく、友人たちとバーベキューを楽しむこともでき、利便性が非常に広がったという。クルマを入れるスペースとしてだけでなく、家族で使えるスペースとして活用できるようになったのだった。

浜松市で設立した「O建築事務所」、これまでもガレージやガレージハウスを設計してきたが、今後もクルマ好きな方に向けて積極的にガレージに取り組んでいきたいと代表であるOさんは語る。さらに、既成概念にとらわれず、多くの人にガレージのある暮らしを体感してほしいと語るOさんは、アルファ・ロメオ・ジュリアスーパーをドライブするクルマ好きな一面も見せる。

「ニンジャは、季節のいいときにツーリングに行くだけですね」と、ガレージに保管されたニンジャも、たまに満喫しているようだ。ときにこのガレージは施主に見本として提示することもあり、リノベーションをしたことで仕事にも大きなプラスを生んだガレージとなっているようだ。

◆PLANNING DATA
 施 主:Oさん
 所在地:静岡県浜松市
 構 造:カーポートをリノベーション
 土地面積:379.04平米
 ガレージ面積:75.40平米
 外装仕上げ:ウエスタンレッドシダー、ベベルウェッジ下見板張り
 内装仕上げ:有孔版
 愛 車:2018年式 アルファロメオ・ジュリア スーパー
     2020年式 メルセデスベンツ G350d、2021年式 カワサキ・ニンジャZ1000SX

◆OWNER’S CHECK
 ・一番気に入っているところは?
 ガレージのガラス越しに見えるクルマが、輸入車ディーラーのショールームのようでカッコいい点。壁は有孔ボードのため、気分に応じて壁に装飾するアイテム等を模様替えできる点。ウエスタンレッドシダーの下見板張りは珍しくファサードにインパクトがある点。
 ・ちょっと失敗したところは?
 敷地形状や貸し駐車場のスペース確保のため致し方ないが、もう少し自家用ガレージスペースを広く取りたかった点。
 ・次の夢はなんですか?
 貸し駐車場にしている南側の2台分のカーポートを、北側ガレージと同様に木板張り・全面サッシ・オーバースライダー工事をして、ガレージ内にランボルギーニやフェラーリを置きたい(スーパーカーが買えるようになるまでお仕事がんばります!)。

◆COMMENT FROM A BUILDER:一級建築士事務所 Oさん
木造の在来工法でも、全面ガラス張りという意匠上のオーダーを実現するため、構造上の耐力壁である筋交いがほとんど見えないコボットというステンレス製の細い金属による筋交いを全箇所採用することにより、鉄骨造のような自由度が高い意匠性を確保しています。

Photo/Keigo-KIMURA(木村圭吾)  Text/Jun-ISHIHARA(石原 淳)『GarageLife Vol.92』より転載

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