007映画で見初めたロータス・エスプリ、アルピナB6など3台を格納するのはなんと狭小地!【ガレージライフ】

2022/06/18 18:00

構想になんと20年! リフト、ターンテーブルで土地のハンディをクリアにした苦心の秘密基地ガレージ

構想期間はなんと20年間。ロータス・ターボエスプリ、アルピナB6 2.8/2、プジョー206 SW S16が収まる念願の秘密基地が完成した。接道は2m、面積は30坪という敷地に建てられたOさんのガレージは、狭小地ゆえの面白い工夫がある。なんとエスプリはリフトの上にあり、リビングと書斎からその姿が見える!? 狭小地ながら3台を完全格納できるOさんのガレージを見せていただくことにしよう。

ご紹介するガレージの主は、いわゆるスーパーカー世代にあたる昭和40年生まれのOさんである。ブームの洗礼を受けて順調にクルマ愛好家となったOさんの今の愛車は、ロータス・ターボエスプリとE36型のアルピナB6 2.8/2である。特に、入手して20年になるエスプリは、中学に進学してもなおブームの余韻を引きずっていたOさんが、当時公開された007の映画で見初めた一番好きなクルマである。

以前の旧宅ではそのロータスをアコーディオンガレージに格納し、もう1台をカーポートで維持して来たが、2017年、満を持して建て替えに踏みきったという。

リビングからクルマが見える実例に衝撃!
Oさんが建て替えを考え始めたのは、20年以上前に遡る。そのキッカケは、ガレージ専門誌『GarageLife』のなんと創刊号であったという。当時、Oさんはその3年ほど前に今の土地を購入し、家を建てたばかり。だが、その頃のOさんには「クルマを家に入れる」という概念はなく、愛車のために用意したのは、縦列駐車で2台ぶんのカースペース。以前は青空駐車だったから、あとから屋根を付けただけで凄いことだと思っていたのだ。

そんなOさんだったから、『GarageLife』の記事でリビングにそのままがクルマを入れたような住宅が紹介されているのを見たとき、従来の常識が崩れ去るほどの衝撃を受けたのである。くしくも当時建てた家は、両親達の援助の下で進められた計画で発言権もなく、こうしたいという要望も明確ではなかったため、結果、出来上がったのは注文したのにもかかわらず、建て売り住宅とかわらない家。最初から使い難く、不満が募っていたこともあって、後悔と同時に建て替えを考えるに至ったのだった。

住宅展示場等を回り始めたのもその頃からで、以来、情報を蓄積して構想を練り上げ、長きに渡り夢を育んできたのである。そのOさんのガレージハウスは、東京都内のとある住宅街、袋小路の奥に立地している。敷地は接道2m、面積28.3坪の変形地。建築条件としてはかなり厳しい狭小地だったが、建築にあたり一番のテーマとしたのは3台を母屋に格納できる”基地”であった。それゆえ、かなり面白い工夫がされている。


リフトの設置でリビングからエスプリを眺める
まず一つは、個人宅では珍しいターンテーブルがエントランスに設置されていることだ。これは、接道の関係で敷地内での切り返しが困難だったため、旧宅を売却してほかで条件の良い土地を買って建てることも視野に入れて思案していたときに、偶然利用した駐車場のターンテーブルを見て閃いたものであった。これによって、建て替え計画はただの夢から一気に、現実のものへと踏み出すこととなったのである。

もう一つの工夫は、リフトの採用である。弊誌でも度々その実例を紹介しているので、Oさんもリフトを設置して母屋に3台を格納することはわりと直ぐにイメージできたのだという。おもしろいのは、2階をスキップフロアとし、リフトで上げたクルマを意図的に2階へ食い込ませ、その段差を使ってガラス越しに2階リビングから見えるようにしているところである。

Oさんの要望として、1階ガレージ奥の書斎からクルマが見えるように、というのがあって今回のガレージの大きなテーマであったが、結果的に想定してなかったリビングからも愛車を眺められることになった。それは、Oさんにとってうれしい誤算であった。

ウルトラ警備隊の秘密基地風ガレージの完成!?
こうしてでき上がったガレージハウスは、写真からもわかるようにガレージ内部に邪魔な柱がなく、使い勝手の良さを想像させるだけでなく、見栄えまでもが考えられている。そこはOさんのこだわりで、当初想定していた木造では不可能であり、1階だけは坪単価の高いRC構造とすることで実現したものである。その結果、外観はコンクリートと黒いガルスパンの組み合わせとなったが、それは『GarageLife』で見たガレージの影響も多分にあるが、無駄な装飾のない無機質な感じは、まさしくOさんが狙った基地のイメージであった。

ちなみにOさんのいう基地とは、子供時分に見たウルトラ警備隊の秘密基地。ターンテーブルやリフトは狭小であるがゆえに取り入れたものではあるが、Oさん好みの仕掛けでもあったのだ。基地感のある仕掛けはもうひとつある。それは書斎にも設けたラダーである。そのラダーは2階収納庫の隠し扉に繋がっており、2階と行き来できるのである。ラダーで降りて……たしかに基地である。

完成から半年が過ぎその住み心地を伺うと、
「20年温めてきた構想です。『GarageLife』誌や200棟以上を見て回る中で得た知識から出したすべての要望を99% 妥協せず取り入れましたから、満足度は高いです。ついにやったという、高い達成感に包まれて毎日を過ごしています」
というお答えであった。旧宅とは違い、今度ばかりはOさんの趣味にあった家となったようである。

リフトは色々なタイプがあるが、Oさんが選んだのは「テクニカル東新」の片側支持の2柱式。理由は壁際に設置すると上げたときに支柱が邪魔にならず、ガレージを広く使えるからだ。ガレージ奥にはOさん専用の書斎もある。レカロのバッファローレザーの特注座椅子や、厳選して選んだ掛け時計などこだわりの調度品を揃え、居心地の良い空間を構築している。

取材協力:田辺計画工房

『Garage Life vol.76』より転載

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