1970年に登場した2ドアハードトップの初代ハコスカGT-R(KPGC10型)に、スカイラインの名称がなくなり、日産 GT-Rとなった現行モデルのエンジンを搭載するというなんとも贅沢な企画。初代ハコスカGT-Rの価格が数千万円と高騰し、オリジナルの価値が高まっていく中なかなかそうしたカスタマイズを実車で行う方は稀だ。しかし、想像の世界をいかにも実際にいそうなスタイルで、プラモデルにフィードバックしていくことも贅沢な楽しみといえる。ここでは、そんな想像上のイメージをモデラーの想像力と技術力で具現化する「モデルカーズ チューニング」の作例の中から「NISSAN SKYLINE 2000GT-R KAIDOU-ROD with R35 GT-R MOTOR」を紹介していこう。
ハコスカはもう飽きた!?
「もうハコスカは飽きたよ」と仰る方も少なくないのではないだろうか。かくいう自分もそのクチで、まさかここ一年程のうちに3台ものハコスカを作ることになるとは夢にも思わなかった。しかし、何をどうボタンをかけちがえたか、今、私的にハコスカが大ブームなのだ。始まりはタミヤのストリートカスタム仕様だった。これを純正の黄土色に塗ったのが運のつき。どうせなら、傑作の誉れも高いフジミのハコスカも同じ色に塗ってやろうと思い立ち、即実行。やるならば徹底的にということで、車高をカチ上げ、タイヤ&ホイールを私が思う適正なものに変更し、素組した。ところがコレがニヤニヤしてしまうくらい素敵。でも、何だか面白みがない。そんな時、友人がそんな最近の私の趣味嗜好を嗅ぎつけたのか、セミワークス仕様のフジミのハコスカをくれた。さりとてこれを典型的な日本グランプリ仕様に組んだところで、完成形は見えている。
そこで沸々と湧きあがるちょっとやんちゃな街道レーサーっぽいものへの憧れ。しばし悩んだ後、大好きなアオシマの引っ張りタイヤを履かせたくなり作業開始。シャシーを作り終わって、ボディのスジ彫りなどやっていると、ボンネットが切り取れてしまった。これはエンジンを積めと言う、プラモ神様のお告げかしら、と判断して、たぶん誰もやらなそうなR35のエンジンスワップを思いついた。事の顛末は以上終わり! というほど単純で、作業も簡単だったのだが、久しぶりに完成後もニヤニヤ眺めたくなる、面白いヤツが出来あがったのである。今回のベースに用いたのはフジミのハコスカ。1/24スケールの中ではボディのプロポーションはピカイチだと思う。昨今はエッチングエンブレムやメタルシールも付属したノーマル仕様が入手可能だ。一方のセミワークス・フェンダーがモールドされた日本グランプリ仕様はやや入手難だが、改造パーツの入った街道レーサーパッケージのものはまだ手に入りやすい。ギャラリーでは、R35GT-Rエンジンを積んだハコスカGT-Rを1/24で実現した、そのディテールと改造工程を収録。是非ご覧いただきたい。