知る人ぞ知る”根っからの自動車趣味人”が選んだ、500坪のガレージ付き住居でのリタイアメント・ライフ【ガレージライフ】

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渋滞にハマらない場所を選んで構築した、旧車用の趣味的ガレージ

日本グランプリを1963年に開催された第1回大会からずっと観てきたというTさんは、根っからの自動車趣味人だ。60年近く前から自動車趣味人をやっているというのだから驚かされる。Tさんという名前とガレージ内に入っている水色の「シトロエン2CV AZU」を見て、出張店舗にてレアなオートモビリアを販売している「OT オートモーティブ サービス」のことを思い出した人が少なからずいるはずだ。

そう、Tさんは、エンスーな品揃えでお馴染みとなっているOT オートモーティブサービスの店主であり、フィアット600および850のパーツを販売している業界人としても広く知られている。実車の世界では”FIAT おじさん”として有名なので、このニックネームのほうでピンとくる人も多いだろう。

OT オートモーティブ サービスの取扱商品が魅力的なのは、Tさんが自ら海外まで赴いてオモシロそうなアイテムを直接買い付け、イベント会場ですぐさま販売しているからだ。実はTさんは外資系の自動車部品会社に長年勤務し、サラリーマン時代に海外での快適な過ごし方やスムーズな移動方法などを培った。つまり、海外に行き慣れており、彼の地でも臆することなくレンタカーで動けるため、68歳になった取材当時でも、年に8回ほど海外へ行っているようなお人なのだ。

「一年の渡航スケジュールを簡単に説明すると、イギリスに2回、パリに3回、アメリカに2〜3回、たまにドイツに行くといった感じです。アンティークの買い付けと聞くと皆さん、いいですねと仰りますが、イベント会場内を歩き回って疲れるし、買い付けた品々が重いし、結構なハードワークなんですよ。

ちなみに、イギリスとフランスでオートモビリアを買い付け、ドイツとアメリカで主にフィアット600と850の部品を調達しています。そういえば、社会人になって懐具合がよくなり、初めて愛車の2台持ちが可能となったタイミングで買った趣味車が初期の850クーペでした。いまから40年ぐらい前の話になりますね。

それ以来、850のベルリーナやスパイダー、アバルトなどを乗り継ぎ、いまは私にとって2台目の850クーペとなる850スポルトクーペを所有しています。今日に至ってもフィアットのインポーターから感謝状が来ていませんが、アウトビアンキ、パンダの1000CL、4×4、45、そして、プントに至るまでを購入してきました」

オートモビリアの代表格だといっていいオールド・サイン(片面・両面、いろいろあり)もTさんが得意としている販売アイテムのひとつ。販売用の部品もガレージ内にストック。外資系の自動車部品会社に勤めていたTさんは、サラリーマン時代に培ったノウハウを最大限活かし、フィアット 600/850用の各種部品を仕入れることができる独自ルートも開拓した。

車歴をざっと聞いただけでも、さぞかし置き場所に困ったであろうことを容易にイメージできるが、Tさんは渋滞にハマらない&広い土地をゲットできる、といったメリットがある郊外に住み、そこを基点としてガレージを設けることで、複数の趣味車をパートナーとしたカーライフをラクラク満喫してきた。

「以前住んでいた家では、自宅に2台置いて、100mぐらい離れた貸しガレージで2〜3台保管していました。その後、クルマで10分ぐらい行った山の中にあった鉄骨の骨組みを利用し、プロにガレージを造ってもらい、そこに7台入れていました。55歳からの数年間、そんな感じでガレージライフを楽しみ、60歳のときにココへ引っ越してきました。

リタイアメント・ライフなので、できるだけお金をかけないようにしたかったので敷地面積は広いけれども安価な当地に来ました。約500坪もあるんですよ。リタイアし、アンティークを売る仕事が本格的に始まってからどんどん手狭になってきたので、本当は7台分の駐車スペースがあるはずなのに、もはや5台しか収納できなくなりました。そろそろ何台も抱え込まないで、愛車を減らしていくべきなのかもしれません」
そうは言いつつも、Tさんは捨てられそうな欧州製の傑作小型車を見つけると救出せずにはいられない性分なので、ガレージを再訪したら旧いヨーロッパ車が増えているに違いない。

「昔から小さなクルマが好きでしたね。自分でエンジンをおろせるフィアット 600/850はサンデーメカニックにピッタリのクルマです」と語ってくれたTさんは、これからもガレージライフを存分に楽しんでいくだろう。

photo/Akiko-OSAKI(大崎晶子) text/Hidenori-TAKAKUWA(高桑秀典)

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2022/06/01 14:00

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