光と影が織りなす落ち着いたカフェ空間と、そこに寄り添うガレージの存在。
私は『GarageLife』というムック本の製作に携わっていることもあり、年中ガレージを訪問し、その便利かつ素敵な生活環境を目の当たりにしているわけだが、一般的にはまだまだガレージに関しての認知度は低いと考えている。ガレージは駐車スペースというだけでなく、愛車をメンテナンスしたり、くつろぐスペースを設けたりと趣味的な空間として使うものだ。という説明をしても、実際にガレージの存在を感じてみなければ、想像することは難しいことだとも理解している。
ここで紹介する「le buildscafé (ル ビルズ カフェ)」はカフェでありながらも、ガレージを有しており、身近にガレージ空間を体験できるスポットだ。
“オシャレなカフェ”などと耳にすると、何か女性客がメインな場所を想像してしまうのは私だけではないだろう。そんなカフェがガレージを併設しているということ自体が珍しいと感じながら足を踏み入れたのだが、そこは静かな時間の流れを感じられる、素敵な空間が広がっていた。
「パリが好きでよく行くのですが、いつも考えごとをしたりパリ特有の空気感を得たりしているのは”カフェ”だと気づいたことが、この店を作るきっかけでした。カフェというのはそこで流れる時間を買いに来る場所だと思い、居心地の良さに注力しました。その一角にガレージを設けたのは、私自身ガレージのある生活に憧れており、カフェに訪れる人にも興味を持ってほしかったのです」と、ル ビルズ カフェのオーナーであるHさんは話す。
店内は高い天井により広々とした印象を受けるメインホールと隠れ家のような雰囲気を持つライブラリコーナー、そしてメインホールの奥にガレージスペース、という構成となっている。照明の当たり方によって絶妙な表情を見せる壁のペイントや、あちこちに並んだアンティーク雑貨など、ゆったりとした時間の流れを楽しめる場所となっていることがわかる。
ガレージの中にもテーブルがセットされ、そこを”お気に入りの場所”として来店する常連客もいる。クルマを外に出せばかなりのスペースを確保でき、ガレージはクルマを置くだけではなく、映画を観たり仲間を呼んでBBQをしたりと生活空間の一部として楽しむことができる場所なのだと、伝わることだろう。ル ビルズ カフェは、素敵なカフェというだけでなく、ガレージライフを想像させる場所なのだ。
2階には輸入家具を取り扱うショップを併設
ポイントとなるのはやはりガレージ。今後は収まる車両を変更したり、夏季はオープンスペースとすることも予定しているそうだ。また、2階にはさまざまな輸入家具が置かれたショールーム。そこでの生活を意識できるような配慮がされたコーディネートが行われている。表通りから一本裏手に入った静かな場所に位置するそのカフェは、特別な時間を過ごせる隠れ家カフェだった。