ドイツ~オーストリア~イタリア~スイスへ約2000kmの旅
2月~3月が暖冬気味だったせいで、自宅のすぐ近所のオリンピック公園の桜がいつもにも増して一瞬で咲き、一瞬で散ってしまいました。なのに、4月に入った途端に積雪予報が出るとは⁉
しかし運が良いのか、その積雪予報の前日に丁度イタリアのイモラへ行く予定がありました。燃料計を見ると8Lしか残っておらず、これではオーストリアの国境までは辿り着けません。オーストリアはドイツよりもガソリンが安いので、何とかドイツ国内では必要分の給油だけ済ませてオーストリアで満タンにしたいものです。取り敢えず15Lをアウトバーンに乗る手前のガソリンスタンドで給油していきました。相変わらず2ユーロを超えていてがっかりです。
ところで、ドイツ国内は高速道路の料金が無料で料金所はありませんが、オーストリアでは高速料金が必要となります。ガソリンスタンドやサービスエリア等でシールタイプのものありますが、今回は機械で愛車のナンバーを登録して自動でゲートを通れるタイプにしました。
オーストリア国内10日間乗り放題で9.50ユーロ(約1300円)とイタリアとの国境にあるブレンナー峠という関所を通る通行券10.50ユーロ(約1440円)を一緒に購入。
ナンバーを登録しただけでブレンナー峠のゲートのバーが本当に上がるのか、いつもドキドキです(笑)。このブレンナー峠を越えるとイタリアなので、その前に一旦高速を降りて、給油を満タンにします。案の定、ドイツよりも1Lにつき40セント以上(約54円)も安く、とても嬉しく思いました。
かなり寒い日だったのでブレンナー峠を通過する頃にはみぞれが降り出しました。自宅のあるミュンヘン市ではそこそこ雪が積もったようです。
イタリアの高速道路の制限速度は100~130km/hと場所によって変わりますが、ドライブ的にはあまり楽しくはありませんので、私はイタリアに行く際には少し早めに出て、毎回ルートを変えながら景色の美しいアルプスの峠越えルートをチョイスします。この日はオーストリア領からは特に雨が激しく、大好きなアルプス峠越えを諦めて高速道路を通って取材先のイモラに直行する事にしました。
イタリアの高速道路には日本と同様に区間ごとに料金所が設けられています。フランスの料金所の支払機の設置位地の高さや奥まってはいませんが、日頃料金所がない国に住んでいるとイタリアでも料金所が憂鬱で仕方がありません(苦笑)。
そんな時にADAC(ドイツ自動車連盟)からイタリア・フランス・スペイン・ポルトガルで使用できるETCが発売されたと知り、このイタリア出張の前にそれを注文していたのです!……が、なんという事でしょうか。出発前日までには届かないというハプニングが!!
宅配便も日本のように、予定通りに届く事なんか期待してはいけないという事をすっかり忘れていましたよ。
料金所では丁度の金額を揃えて、精算機に入れているのに、幾ら足りませんと表示が。慌てて追加するも、まだ足りませんと。幾ら取るねん!? と思わずひとりごとも出ます。結局実際の金額よりも随分多く支払い、やっとバーが上がりました。経費精算の為に領収書を貰っておかないといけないのですが、これまた出る所と出ない所があって本当に困ります。うっかりとカード支払い専用のゲートに並んでしまい、いざドイツのカードを差し込んでもうんともすんとも反応しない場合もあって、後ろに並ぶクルマがどんどん増えて焦る焦る! こういうストレスはもう勘弁! という事で念願のETCを買ったのに……!
なんやかんやで夕方ラッシュのヴェローナ、モデナ、ボローニャの激混み大渋滞に遭いながら、やっとイモラに到着。閉店前のスーパーマーケットに駆け込み、飲み物等を買ってからホテルへと向かいました。トスカーナ特有の美しい丘陵地という名のめちゃくちゃアップダウンが楽しい道です。しかし、陽が沈みかけの薄暗く狭いその丘陵地という名の山道を10km程走るという最後の罰ゲームのようでした(笑)。地元の方は走り慣れているので、物凄い勢いで煽ってくるんですよね。ちょっと広くなったところで先に行って貰いますが、それまでは後ろにぴったりとくっつかれて焦ります。ガードレールも柵もない薄暗い細い山道はただでさえ慎重になるのに!
イタリアの高速道路のサービスエリアのガソリンスタンドでもちょっとフシギに思っていたのですが、ガソリンがドイツよりもずっと安いのです。普段のイタリアはコロナ禍や戦争等関係なくいつもドイツよりもずっと高いのですがどうしたのでしょう。高速道路でも1.80ユーロ前後(約246円)でドイツよりは随分と安くて助かります。とは言え、十分高いですよね。
イモラではMotoGP王者のヴァレンティーノ・ロッシのGTレースデビューを楽しく取材し、取材後はミラノ近郊の小さな町に1泊しました。
これまたイモラからミラノ郊外への約280kmの道のりがどしゃ降りで前が良く見えません。早朝からフルにサーキットを歩き回っているので、眠気もマックスでどしゃ降りの視界の悪さはキツいですね。サービスエリアで何度も休憩をして宿には23時過ぎに到着しました。
翌朝は宿からクルマで10分程にある念願のアルファロメオのミュージアムに行ってきました。かなり規制は緩和されたとはいえ、まだまだコロナ禍ですのでミュージアムもガラガラです。広い館内はほぼ貸し切り状態で、思う存分に楽しむ事ができました。
カフェテリアもまた私ひとりの貸し切り状態でゆっくりとおいしいコーヒーを頂きました。イタリアはコーヒーがおいしくて安いですね。ミュンヘンの半額程で頂けてお得な気分です。帰りにはエントランスにあるオフィシャルショップで、お目当てだったクワドロフォリオの四つ葉マークマグネットをひとつ購入しました。(5ユーロ 約675円)
ミラノはアルファロメオが誕生した街なのに、意外とあまり走っておらずちょっとがっかり。私の住むミュンヘンはBMWの街なのでBMWだらけなんですけどね。アルファも本社があるトリノ付近に行けばもっとたくさん走っているのでしょうか。
そんなこんなで、あまりゆっくりはしてられません。翌朝の取材先であるドイツのホッケンハイムへ向けて700km以上の道のりを走ります。ナビを設定して、ミュージアムを出るとすぐ前が高速道路なのですが、なんだかナビの様子が……。何度もミラノ近辺でナビがグルグルあっちこっちと違うところを指し、その度に私は苦手な高速道路の料金所を通過するハメになりムダなお金は掛かるわ、また精算機から領収書が出ないわ、またお金を多めに取られるわ、時間ロスをするわで、もうカチンカチン!
コモ湖畔を抜けるといよいよスイス入りです。このルートを通るのは初めてでワクワクです。意外とガソリンがとても安かったイタリアを出る前に、もう一度満タンにしようと思っていたのに、うっかりと通り過ぎてしまいました。高速道路走行中にコモ湖が一番きれいに見えるであろう場所で、前を走っていたフランスナンバーのクルマが突如止まってビックリです!
景色を見る為なのか、家族全員が道路に降りてきました。車間は開けていたものの、並走車がいた為に咄嗟の車線変更はできず、急ブレーキを踏む羽目になりヒヤヒヤものでした。高速道路の真ん中で走行中にクルマをいきなり駐車して景色を見る人がいるなんて、誰が想像できるでしょう? 恐るべし、フランス人観光客!
スイスに入ってすぐのガソリンスタンドで高速道路のステッカー40ユーロ(約5480円)を購入しに寄りましたが、案の定ビックリな価格差で、イタリアで入れ損ねたのを後悔です。この辺りはイタリア語圏のスイス。スイスは日本の10分の1程の国土らしいのですが、多言語国家なので地域ごとに交通案内の看板も変わり、何度行ってもフシギな感覚です。ガソリンスタンドでもドイツ語は通じませんでした。
イタリアに行く途中には悪天候でアルプスを走るのを諦めた事もあり、スイスではちょっとひとっ走りしたかったのですが、まだ気温が低く通行禁止となっていたのが残念でした。
スイスの最高制限速度は120km/h、そして物凄くスピード違反の罰則が厳しく高額なので、スイスナンバーに煽られようがゆっくり走ります。
いや~それにしても山が美しくうっとりします。そして、このゆっくりな制限速度のお陰で景色を楽しみながら走れるのは良いですね。しかし、ドイツ領に入ればふぅ~っとちょっと気分的にも開放された感じでやっとアクセルを踏める感じがなんだか久しぶりで嬉しかったです。
しかし、ガソリン高い、ガソリン高いと呪文のように唱えて何とか160km/h以上は出さないようにぐっとこらえたのでした(笑)。そんな中、夜中は空いていますのでガソリン節約でスピードをセーブしている私が走行車線で160~180km/h、真ん中の車線が恐らく190~210km/h位、追い越し車線はそれ以上という状況なので、160で走る私は物凄く遅く感じで、あ~ドイツに戻って来たな、という感じがしました。
今回の旅で5回給油したガソリン価格(1Lの価格)
- ドイツ:2,11ユーロ(約289円)
- オーストリア:1,78ユーロ(約244円)
- イタリア:1,66ユーロ(227円)
- スイス:2,07フラン(約277円)
- ドイツ:1,99ユーロ(約272円)
久々にイタリアを走りましたが、交通ルールがあってないようなめちゃくちゃな運転をするドライバーも相変わらず数多く見掛けました。毎年何回かはヒヤっとさせられる事もありますので、今回は行く前にカブリオレの愛車のリアにもなんとかDIYでドラレコを着けて、もしもぶつけられた際にも証拠だけは残せるようにしておこうと思います。
この記事を書いた人
武蔵野音楽大学および、オーストリア国立モーツアルテウム音楽院卒業。フリーランスの演奏家を経て、ドイツ国立ミュンヘン大学へ入学。ミュンヘン大学時代にしていた広告代理店でのアルバイトがきっかけでモータースポーツの世界と出会い、異色の転身へ。DTM、ル・マン/スパ/ニュルブルクリンクの欧州三大24hレースを中心に取材・執筆・撮影を行う。趣味は愛車のオープンカーでヨーロッパのアルプスの峠をひたすら走りまくる事。蚤の市散策。
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