さらにひと工夫でトランスキットの効果が最大に!タミヤ製934で「ポルシェ911カレラRS」1978モンテ優勝車を再現【モデルカーズ】

全ての画像を見る

大番狂わせで勝利した、ジタン・カラーも小粋な911

1964年に登場したポルシェ911は、数回のモデルチェンジを経て現在も生産されている、まさに名車と呼ぶべき1台であるが、ロードカーとしてもコンペティションカーとしても成功したクルマとなると、唯一無二の存在かもしれない。特に、1989年まで生産された初代911は、4回のモンテカルロラリー優勝を初めとする、様々なモータースポーツシーンで優秀な成績を収め、その地位を確立させたモデルである。

その4回のうち3回は初期のナローモデルによるものだ。1968年から1970年にかけて3年連続で1-2フィニッシュを獲得したというのがそれで、この偉業は今なお語り草になっている。残る1回の優勝がここで採り上げているカレラRS 3.0によるものなのだが、この勝利はいささか趣が異なる。この頃のWRCはランチア・ストラトスが圧倒的な強さを見せた後で、フィアットの主力マシーンはストラトスから131アバルト・ラリーに移りつつあった。

1978年モンテカルロラリーは参加台数216台と例年を上回る活況を呈していたが、例によってフィアット⁻ランチア勢が優勝をもぎ取っていくという、いつも通りの展開が予想されていたという。しかし蓋を開けてみると予期せぬハプニングの連続となり、結果は全くのプライベーターであるポルシェ911が優勝という驚きの展開となったのである。ドライバーはかつてアルピーヌのワークスチームの一員であったジャン・ピエール・ニコラ、しかもその911は借り物のマシーンであったというのだが、それがこのジタン・カラーのRSなのだ。

この車両は、南フランスに本拠を置くチューナー、アルメラス・フレールにより、独自のモディファイが施されたカレラRS3.0である。フロントバンパー下のスポイラーに、同時期のグループ4レーシングカー、934ターボのデザインを流用した、大きな開口部を持つのが外観上の大きな特徴だ。当然ながらと言うべきか、この仕様をきっちり正確に再現したプラモデルがある訳ではない。ここでお見せしているのは、タミヤ1/24の934ターボに、レジモデルズ製のトランスキットを組み合わせて制作した作品である。

このトランスキットでは、エレールの934ターボ(元はエッシー)をベースに使用することを勧めているが、エレールのキットはロードカーであるため、作例では、より入手し易くしかもコンペティションカーを再現しているタミヤのキットを用いた。ただし、実車は934ターボではなく自然吸気のカレラRSである。エッシーの934にもこの1978年モンテ優勝車仕様があったが、実際はフェンダーの張り出し、バンパーやリアウィング等の形状が異なるので、今回の作例のような改造は必須だ。さらに、タミヤのキットとはシート形状や排気系(ターボチャージャー)が異なるので、その対処も必要となってくる。

タミヤ製934のボディをもろもろ改修
トランスキットの内容はレジン製のホイールやフォグランプ、エッチングやデカールなど。レジンパーツは大きな気泡もなく成型は良好であった。ボディはタミヤの934を使用、まずフロントフェンダーを切り離し、1mmプラ板を細長く切って曲げたものをボディ側へ接着。切り離したフェンダーの下端を切断しボディに再接着、幅も削って詰める。934より大人しめになったのが解るだろうか(並べた写真の右が加工後)。リアフェンダーはプラ板で裏打ち後エッチングソーで幅を詰め、上面を削って張り出しをなだらかにした。

バンパーも形状が異なるのでフロントはスポイラーを一旦切り離し、プラ板を貼り付けて成形。スポイラーはより前方に位置する(バンパーとツライチ)ので、1mmプラ板をかましてボディに再接着した。リアバンパーも同様に余計なディテールを切除したうえでプラ板を貼り付け、成形。リアウィングはもっと大型なので、プラ板の積層で前後左右に拡げた。ホイールはリムとディッシュの2パーツ構成だが、後輪はレジンの収縮かリム内径よりディッシュが小さかったので、プラペーパーを巻いてフィットさせた。また、タイヤを車幅に収める為、ディッシュパーツの厚みをかなり削り込む必要がある。

ボディにはホワイトのプラサフを吹き、傷などを修正後またプラサフを吹く。シルバーサーフェイサーを成型色の染み上がり防止に吹き付け、ガイアのExホワイトで塗装。マスキングしてブルー、ゴールドを塗り分ける。デカール(とても良質)を貼り付け後、クリアーコートして磨き出した。シートはラリーカーなので助手席も必要となるが、形状も異なるのでハセガワのランサーから流用。ライトポッドの4連ランプには手芸店で買ったスワロフスキーでバルブを追加、レンズはハセガワ製ランチア037ラリーから流用した。フロントバンパーのフォグランプもハセガワ製037のライトマウントを流用し、ステーはプラ板で自作。

このほか、排気系はフジミ製ポルシェ911カレラRS 1973 ラリーバージョンのパーツを使用。このキットからはラリー用タイヤとヘッドライトハウジングも利用している。

作例制作=棚瀬和重/フォト=服部佳洋 modelcars vol.243より再構成のうえ転載

注目の記事

「ル・ボランCARSMEET」 公式SNS
フォローして最新情報をゲット!